百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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6 サバトの幕引き!

「さっきのパンチは効いたぜ」

 

 痛そうに胸をさすりながら、ルーカスはダレンへ歩み寄ってきた。クロードも徐々に距離を詰めてくる。

 

「ミスター・ダレン。やっぱりお前、神に味方するふりをして、内側から俺たちを潰す機会を虎視眈々と窺ってたってわけか? アンビリーバボー!」

「裏切りも、裏切ったふりをするのも、二号戦士の十八番だからな」

 

 ダレンは悪びれずに淡々と応じた。

 

 

「――神に楯突くとは良い度胸だ。ルーカス、クロード、彼はもう用済みです。始末しなさい」

 

 光球の声に二人が「はっ」と恭しく頷き、武器を構える。

 

「調子に乗るなよ、ダレン。お前は生前の俺に勝てなかった。何度やっても結果は同じだ!」

「俺の『年下好き』のデバフはお前に効きづらいかもしれないが、二対一で勝てると思ったらビッグ・ミステイクだぜ! アーユーオーケイ?」

「……私が何の策もなく裏切るわけがないだろう。貴様らを葬る方法は既に考えてある」

 

 

 対するダレンは一度変身を解き、ルーカスが今使っているものと同型のドライバーを腰に巻き付けた。オレンジ色の手裏剣型プレートを中央にセットし、回転させる。

 

「ルーカス。貴様が使用している原典、それが放送されている世界線での二号戦士の力を見せてやろう。変身」

『踏んだり! 蹴ったり! ハッタリ!』『超次元ライダー・ダレン!』

 

 背後に出現した大きな蜂から防具が現れ、橙色のそれを全身に纏った。頭部には三方手裏剣の意匠がある。

 

「貴様を片腕五秒で倒す。ハッタリではなく、マジでな!」

「ハッ、やれるものならやってみろ!」

 

 

 ルーカスとダレンは共に短刀を召喚し、激しく斬り結んだ。形勢は互角。やがてダレンがバックステップで距離を取り、両手で印を結ぶ。

 

『カチコチ・忍法!』

 

 ダレンの掌から冷気が放たれ、ルーカスを全身氷漬けにした。と思ったのも束の間、紫の忍者は氷の内側から炎を湧出させ、脱出を果たした。

 

「残念だったな、ダレン。こんなこともあろうかと、氷遁の術を受ける直前に火遁の術を自分自身へかけておいたのさ!」

「くっ、眩しい……」

 

 

 炎の鎧を纏った状態で凍結されたせいで、氷は温度差により凄まじい輝きを放っている。目がくらんでしまったダレン目がけ、ルーカスは必殺技を発動した。

 

「そろそろ幕引きと行こうぜ」

『フィニッシュ・忍法!』

 

 紫のエネルギーを帯びた短刀で連続斬りを浴びせる。

 しかし、ダレンが使っているのもまた忍者系の戦士の原典。身代わりの術のようなものを使い、煙に包まれて姿を消すと、負けじと必殺技で対抗した。

 

『ファンタスティック・忍法!』

 

 肉体を無数の蜂へと変えて敵を翻弄したのち、ジャンプしてライダーキックを放つ――と見せかけ、忍術で敵の背後へ瞬間移動、短刀で一閃するという技である。

 

 

「おっと、そうは行かないぜ」

 

 これも瞬間移動するところまでは決まったのだが、殺気を感じ取ったルーカスは「おねロリ」性癖のパワーで自身と植物の苗の位置を入れ替えた。ダレンの斬撃は、宿敵ではなく苗を爆発四散させてしまった。

 

「ヘイヘイ、まどろっこしいのはディスライクだぜ。ネクストタイムは俺に戦わせろ!」

 

 お互いに身代わりの術やら何やらを使えるせいで、なかなか技が命中しないのに痺れを切らしたのだろう。それまで静観していたクロードが、剣を振り上げて乱入した。

 

「喰らえ。『雷電残光』!」

「ぐあっ⁉」

 

 

 稲妻を受け、後退するダレン。彼の右手には、いつの間にか青い指輪がはまっていた。銀色の扉のような形状に変化したベルトへ、指輪を押し込んで変身する。

 

「ならば、奥の手を使わせてもらおう」

『ハイパー! ゴー!』『ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイパー!』

 

 顔と胸にライオンのたてがみの意匠がある、青と金の戦士へと変わった。手にしたマグナムから光弾を撃ち、クロードたちを狙う。

 

「――馬鹿め。自ら機動力を捨てて遠距離攻撃主体になったところで、ルーカスの忍者の力に勝てるはずもない。さっさととどめを差せ!」

「はっ」

 

 嘲笑うような神の声を受け、ルーカスは身代わりの術で光弾を避けつつ、素早くダレンの背後へ回り込んだ。

 

 

「どうやら判断を誤ったようだな。今度こそ終わりにしてやる!」

『ビクトリー・忍術!』

 

 短刀で鋭い突きを放ったルーカス。が、ダレンは何を思ったか、振り向くとその突きを自らのベルトで受けた。

 

「な、何の真似だ⁉」

「奥の手を使うと言ったはずだ」

 

 ベルトが破壊され、変身も解除された。にもかかわらず、顔に傷を負った男は微笑を浮かべていた。

 

 

「この二号戦士の原典には、『敵の武器によってベルトを自ら破壊した場合、変身能力を失う代わりに、敵の偉大な計画を阻止する』というパワーが秘められている。私は貴様らの使う原典の性質や、使用可能な技などを調べ上げた上で、この力を解放するときを待っていたのだ」

 

 中央が損傷したベルトから、ライオン、カメレオン、イルカ、牛、隼の五種類の動物を一体にまとめたような、キメラ的なモンスターが出現した。キメラは咆哮を上げると、ルーカスとクロードへ襲いかかった。

 

「何をする……ぐあああああっ⁉」

「オーマイゴッド⁉ せっかくリバイブしたのに、そりゃないぜ。シーユーアゲイン!」

 

 五種の動物の特徴を持った獣は、瞬く間に二人の体をすり抜けた。すると戦士はもがき苦しみ、ばたりと倒れてしまう。その肉体は徐々に身体的特徴を失っていき、元のマネキン人形同様の姿へ戻った。

 

 

「この合成獣は貴様らが受肉したかりそめの体ではなく、そこに宿る残留思念のみを喰らい尽くす。いかなる術を使おうとも、思念や魂が牙から逃れることは不可能だ」

 

 もはや聞こえていないだろうに、ダレンは死者へ告げる。彼なりのけじめであり、復讐であるのかもしれなかった。

 

「……ルーカス。貴様の怨念、確かにこの私が葬ったぞ」

 

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