百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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8 チャイナシティよ再び

「ならば、これでどうだ」

『ダレンリバイブ・疾風!』

 

 対するダレンも、高速移動によってキャサリンの攻撃を巧みにかわしていく。

原作では変身者へ負荷がかかる設定があったフォームだが、まあ原作でもいつの間にかデメリットなしで変身していたことだし、たぶん大丈夫だろう。慣れれば解決。

 

 

「――これを使いなさい。猫を相棒とする戦士の力だ」

 

 形勢が互角になったのが不満だったのか、「神」は次なる原典をキャサリンへ与えた。携帯電話と改札鋏を一体化させたような妙な物体と、一枚の切符である。

 

「天空変身! キャーサ・キャサ・キャサリ~ン☆」

 

 彼女はそれをキャッチし、奇妙な改札鋏で切符を切ることで変身した。今装着している超次元ライダー系のアーマーは解除し、新たに金色の鎧を纏う。

「神」に操られているからだとは思うが、割とノリノリで呪文を唱えていた。

 

 

「輝く、太陽のエレメントにゃ! 天空勇者、マジキャサリン!」

 

 赤いマントをなびかせ、アラビアン風の戦士が現れた。召喚したランプ型の銃、通称「マジキャサリンバスター」を構え、高速移動を続けるダレンへ弾丸を連射する。

 

「――マジキャサリンバスターは、ランプのダイヤル部分をこすることで弾の軌道を自在に変えることができる。ダレン、いくら君が速く動いても、逃れることはできないよ」

「何っ⁉」

 

 光球の言葉通り、キャサリンの放った弾丸は執拗にダレンを追尾した。まるでホーミング弾だ。僅かに移動速度が落ちた隙を突かれ、これまでに射出された弾たちが一斉に彼へ襲いかかる。アーマーから火花が散り、ダレンは倒れた。

 

 

「くっ……」

 

 地面に這いつくばる彼へと、キャサリンはゆっくり近づいてくる。マジキャサリンバスターの銃口を、こちらへ向けて。

 無駄や情け容赦のない、冷徹な戦いぶりではあった。それでもダレンには、変身前の彼女が垣間見せた悲しそうな表情が忘れられなかった。助けを求めているかのような、今にも泣き出しそうな顔だった。

 

 そうだ。あのときだって、彼女は助けてほしかったはずだ。雪山でルーカスに致命傷を負わされたとき、キャサリンは自分のことを優しいと言ってくれた。ずっと秘めていた思いも打ち明けてくれた。助かることなど諦めているようだったけれど、本当はこれから先も、ダレンと一緒に楽しい思い出を作りたかったはずだ。

 

 

「……息を引き取る直前、キャサリンは私に大切な想いを伝えてくれた。貴様をもう一度殺すような真似は、私にはできない。だから私は、貴様の心を救う」

 

 残された力を振り絞って立ち上がり、ダレンは頭と胸にカードが何枚も刺さったようなデザインのアーマーを装着した。銃型アイテムを空に向け、引き金を引く。

 

「思い出せ、キャサリン。二人でチャイナシティへ行ったときのことを。あのとき、私は貴様と共に戦った。悪を倒すために!」

『ジゲン・ライド! 超ブラゴクウ!』

 

 中華風の鎧を着た戦士を召喚し、ダレンはキャサリンと戦わせた。チャイナシティの警備責任者だった彼の姿を見れば、彼女があの日のデート(?)のことを思い出し、正義の心を取り戻すのではと期待してのことだった。

 

 

「――そんな小細工が通用する相手か。キャサリン、距離を取って弾丸を浴びせ続けろ」

「分かったにゃあ!」

 

 が、「神」の造った人形は心を持たない、完全な操り人形。ダレンの策が成功するはずもなかった。加えて、単純に相性が悪い。近接特化型の超ブラゴクウでは、距離を問わず精密射撃が可能なマジキャサリンに手も足も出ないのである。

 

「も、もしかして僕のこと、舐めてるんじゃないでしょうね⁉ 許せません!」

 

 これが市街地での戦闘であったならば、建物などの遮蔽物に身を隠すという手もあったろう。けれども植林活動の真っ最中の荒れ地が舞台では、マジキャサリンのホーミング弾から逃れるのは不可能に近い。いくら回避を試みても鎧の一箇所を集中的に狙い撃たれ、ブラゴクウは激昂していた。

 

 

「距離を取って、安全圏から一方的に攻撃してくるというのなら、僕にも考えがあります。ズバリ、『肉を切らせて骨を断つ』作戦です!」

 

 仮面の下でくわっと目を見開き、ブラゴクウはキャサリン目がけて疾駆した。走りながら矛のトリガー部分を押し、「ブラコン奥義!」と音声を鳴らす。

 

「僕はスピード型の戦士ではありませんが、必殺技を発動した一瞬だけは移動速度がアップします。君の弾丸が僕の装甲を貫くより先に、この一撃で決めますよ。『ライトニング・ブラコンフラッシュ』!」

『溺愛之舞! ア~お兄様ァァァァァッ!』

 

 

 しかし、キャサリンはそれすら読んでいた。赤く光る矛を手に向かってくるブラゴクウへ、素早く銃口を向け、呪文を唱える。

 

「ルーマ・キャー・キャサリ。『キャサリン・シャイニングアタック』!」

 

 マジキャサリンバスターの中から、白猫の精霊が出てきた。白猫と言っても、やけにマッチョだしシルエットはちょっと人っぽいのだが、そんなマッチョな猫が弾丸のように飛び出したから大変である。精霊はブラゴクウを軽く吹き飛ばし、地面へ叩きつけてしまった。

 

「うわあああああっ⁉」

 

 要は、互いに必殺技を撃ち合った結果、キャサリンが華麗に競り勝ったのだ。

 

 

「――良い調子だ。とどめを差せ、キャサリン」

「了解だにゃあ。キャー・キャサ・サリン。さらに、キャー・キャー・キャサリ~ン☆」

 

 光球の命に従い、彼女は呪文を唱えた。天空から青と金の巨大な蒸気機関車が下って来たかと思うと、それらはロボットに変形する。

 変形完了した機関車ロボへ「にゃっ!」と叫び、飛び乗るキャサリン。操縦席でレバーを握り、お約束のごとく名乗った。

 

「完成。『魔法鉄人・キャサベリオン』!」

 

 

 一方、超次元ライダーの二号戦士の原典のみを使うダレンは、キャサベリオンに対抗できるほどのサイズ感の巨大戦力を有していない。頼みの綱は、今しがた「ジゲン・ライド」で呼び出した超ブラゴクウだった。

 

「やむを得ん。……痛みは一瞬だ」

『ジゲン・フォームライド!』『超ブラゴクウ!』

 

 

 別のカードをセットして銃の引き金を引くことで、ブラゴクウを橙色の虎と紫色の龍のメカモンスター形態へ変化させる。二体の巨大モンスターは、龍が虎を内側へ抱え込むようにして一体のロボットになった。

 最後にダレンがコクピットへ搭乗し、静かに告げる。

 

「完成。『兄妹攻神』!」

 

 双方が巨大化し、第二ラウンド開始である。

 

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