「ダレンを引き離した程度で、調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「今のうちに自称『神』を叩いてやるわ!」
カイリとツカサが手を繋ぎ、百合ブラックとBLホワイトへ変わった。
「俺たちも行くぜ。……『BANG・解』。『喫茶斬月』!」
「ええ。『大紅蓮NTR丸』!」
オメガ珈琲シルバー、ネトルティ来部もそれぞれパワーアップを果たす。
「まだ分からないのか。諸君らでは私に勝てない。無限の戦力を有する私に対して、君たちの力はあまりにも有限すぎるのだよ」
彼らを潰すべく、光球は次なるマネキン人形を生み出そうとした。どこからともなく湧いてくる人形たちは、泥の塊のような状態から徐々に人の輪郭を獲得していく。
「――させないわ。『NTR百華葬』」
舞い落ちた雪が触れた瞬間、マネキンたちの全身は厚い氷の層に覆われた。氷の花が静かに咲く。
「私にこれ以上の人形を使わせないつもりか」
自称「神」が唸った。
「だが、その凍結技の効果範囲とて無限ではないはずだ。範囲外でまた新たに戦力を生み出せば……」
「範囲外というのは、ここのことか?」
ナオヤの方が一足早かった。ファイナルモードにしたBLディフェンダーを一振りし、十メートルほど先で生まれようとしていたマネキンどもを圧縮冷凍している。
「しまった……!」
動揺の気配を見せる光球。彼が対処に迷った隙を突き、百合・BLレンジャーは一気呵成に畳みかけた。
「「百合&BL・マーブルスクリュー‼」」
ツカサとカイリが、螺旋状に融合した稲妻を手のひらから撃ち出す。
「『オメガ十字衝』!」
『ネトルティ・パーフェクトフィニッシュ!』
漆黒の剣を分離させ、裕介が十文字に振るう。美明日も、専用武器「来部ガン」から羽の形をしたビームを放った。
「推し推しカノン、発射!」
ケイイチロウたちも、バズーカ砲から光を帯びたエネルギー弾を発射。光り輝くボディーに四連撃を受け、爆発の中で自称「神」が苦悶の叫びを上げる。
「くっ。お、おのれ人間ども……」
ここまで追い詰められても、まだ彼は自ら原典を使って戦おうとしない。まだマネキンを造ろうと試みているが、美明日とナオヤの手でその都度凍らされて妨害されている。神を騙るプライドの高さが、完全に仇になっていた。
「今だぜ、ヒョウガ!」
「最後はあんたが決めなさい!」
「はい!」
カイリ、ツカサから合図を受け、零騎士は力強く頷いた。ゼロライアットの柄のボタンを素早く押し、最強の技を発動する。
『オール性癖・コンバイン!』
ガンモードへ変形させた長剣を天へ、否、天を覆い隠さんほどに大きな光球へと向けた。
「――自称『神』。お前が本当に超次元界を創造したのだとしたら、お前は今まで戦ったどの超次元生命体よりも長寿だということになる。つまり、俺との年齢差は過去最大。『年上好き』性癖の効果で、俺の力も過去最大だ。この一撃で終わらせてやる!」
『マキシマム・ゼロ・サイクロン!』
ゼロライアットから、竜巻上の巨大エネルギー波が撃ち出される。それは自称「神」の全身をも軽く呑み込み、空を焦がし大地を震わせる大爆発を引き起こした。
「……やったか?」
反動で自身も吹き飛んでしまったヒョウガだったが、ふらふらと立ち上がって爆炎に目を凝らした。いくら神を名乗っていても、無傷では済まないはずだ。
「――おのれ」
はたして、黒煙の中から現れたのは、無数の穴を穿たれた光球だった。けれども、穴から垂れているのは血や体液などではなく、白くぼんやりとした光のようなものだった。
「あれって……もしかして、原典のイメージを付与される前の超次元生命体?」
うねうね動く光を前にして、ツカサが気味悪そうに漏らす。図星だったらしく、光球は激怒した。
「見たな。私の、私だけの秘密を、見てしまったのか!」
光のうち、いくつかは自称「神」の体内から外へと出て行った。しかし大部分は中に留まっている。彼らは既に、光球の一部となっているようであった。
そう。自称「神」の正体は「物凄く強い一体の超次元生命体」ではなく、「普通くらいの強さの超次元生命体が無数に集合したもの」だったのだ。球状の体内に他の超次元生命体を閉じ込め、時間をかけて自らの一部として取り込んできたのである。
「一体、どういうことなんだ??」
「――見られてしまっては仕方ない。冥土の土産に教えてやろう」
首を捻っている裕介に、光球はためらいがちに語り出した。
「世界の創造を終えた後、私はひどく消耗した。生き長らえ、力を保って超次元界を見守り続けるには、自ら生み出した超次元生命体を定期的に取り込むしかなかったのだ。……のちに失敗作だったと悟ることになる、超次元生命体とな」
確かに、この光球も最初は神に限りなく近い、完全な存在だったのかもしれない。しかし、生きるためにやむなく超次元生命体を取り込む中で、彼は不完全になった。「神」ではなくなった。
つまり、自称「神」こそが、彼が蔑んできた「失敗作」を取り込んだ出来損ないだったのである。自分に対するコンプレックスは計り知れず、だからこそその裏返しのように、今の世界を一度破壊しようと思い立ったのかもしれない。
「だが、この醜く卑しい姿は本当の私ではない。私は本来、何よりも美しく、気高く、最強で最上の生物だったのだ。先に言っておくが、同情してくれるなよ。私にとって最大の侮辱は……同情だ!」
そのとき自称「神」は、初めて自らに原典のイメージを付与した。自身の正体が失敗作、超次元生命体の集合であることを自虐的に認め、開き直ろうとしているかのようだった。
巨大な球状だった体が縮み、人型へ変わっていく。銀色の細身の魔人のような姿であった。背中には同色の翼が備わり、両腕の先は鋭い刃になっている。
「私の真の名は『ゼニス』。さあ、続けようじゃないか。楽しいゲームを」
全身から凄まじい殺気を放ちながら、魔人は百合・BLレンジャーを見回した。
「私にとって戦いとはゲームのようなものでね。せいぜい、ワンサイドゲームになってくれるなよ?」