『シン・ダレンカイガン!』『デッドリー・オメガドライブ!』
『リボンズ・フィニッシュ!』
六枚の翼を生やし、飛翔したのちに急降下して放つ、踏みつけるような蹴り。長剣から繰り出される、黄金のエネルギー波。
ちょうどそのとき、ダレンのライダーキックとお菊の二刀流による斬撃が、ダレンのコピー体を全滅させた。二人は百合・BLレンジャーへ合流し、ゼニスと対峙する。
「まだ分からないの? あなたと同化していた超次元生命体たちは、あなたを神だなんて認めていないわ!」と叫ぶお菊。
「貴様は世界を造るだけ造って、その後はほとんどほったらかしにしていた。それどころか、自らが生き延びるために、自分の生み出した命さえも犠牲にしようとした。超次元界の誰も、貴様のことなど神だとも創造主だとも思ってはいない。もはや貴様は、この世界から必要とされていない!」
ダレンも手厳しく指摘した直後、ふらふらとナオヤが立ち上がった。
「高次元界出身である俺からしても、お前を神だと認めることはできない。お前はただ、自分好みの箱庭を作って自己満足しているだけだ。その醜く愚かな心は、亡き父……次元大魔王の足元にも及ばない!」
彼を追うように、カイリたちも歯を食いしばって再起する。戦士たちの闘志は、消えてはいなかったのだ。
「立て、皆! もう一度……もう一度戦うんだ! ゼニスの体内で抵抗している、超次元生命体たちの努力を無駄にするな!」
「「おうッ!」」
光に包まれ、一同は再変身した。足取りはおぼつかないながらもゼニスへ近づき、同時に必殺技を見舞う。
「スペリオル・受け攻めショット!」
「エクセレント・ネコタチエックス!」
「BL・一撃ストライク!」
「百合・イタダキストライク!」
「BLディフェンダー・ファイナルモード!」
色とりどりの光弾が乱れ飛び、X字の赤い斬撃がそれに続いた。
「『ブレイザー・珈琲インパクト』!」
『来部・ジャスティスフィニッシュ!』
オメガ珈琲シルバーが珈琲色の光弾を連射しつつ接近し、ソードモードに切り替えたブレイザーの青い刃で斬りつける。超次元ライダー来部も、蝙蝠型の白い破壊エネルギーを帯びた右足でキックを叩き込んだ。
「『零の一撃』!」
そして零騎士ヒョウガが、黒い雷を纏った回転斬りを浴びせる。
皆、大なり小なり怪我をしていた。消耗は激しく、強化フォームへ再変身するほどの余力は残っていない。ゆえに、基本形態のまま必殺技を放った。
だが、基本形態とはいえ百合・BL、及び「年上好き」性癖のバフ効果はまだ持続している。威力は申し分なかった。何より、体内の超次元生命体の抵抗を受けているゼニスは、百合・BLレンジャーの攻撃をすべてノーガードで受けるより他なかった。通常の何倍ものダメージを喰らっていることだろう。
「お、おのれ……」
全身の皮膚からスパークを飛ばし、魔人は苦悶の声を漏らした。
「うぬぼれるな、人間。その程度の攻撃では、神を殺すことなどできぬ。忌々しい反逆者どもを押さえ込んだら、すぐにでも返り討ちにしてくれる!」
「――ならば、私たちならどうだ」
体力的に限界を迎えつつある戦隊に代わり、ダレンとお菊が決定打を与える役目を買って出た。
獅子モチーフで、たてがみ状のパーツを備えた白と青のアーマーにチェンジしたダレン。ベルトに差した剣を引き抜き、必殺技を発動する。
「ゼニス。誤った道を歩み、紛い物の神という化け物になった貴様に、戦士たちが紡いできた意志が負けるはずがない!」
『流水(ナガレ)・抜刀!』『ダレン・氷牙斬り!』
弱りきった魔人へ高速突進し、鋭い一太刀を浴びせた。刃が敵の皮膚へ触れた瞬間に凍結が始まり、あっという間にゼニスの全身は氷の層に呑み込まれる。
「私の命を懸けて……世界を守る!」
『リボンズ・フィニッシュ!』
リボン状の破壊エネルギーを蜘蛛の脚のように足に纏わせ、お菊も続いた。魔人の全身を、分厚い氷の層ごと木っ端微塵に粉砕する。
「この星を……世界を、私は舐めていたようだな……」
氷が砕ける寸前、自称「神」が呟いたのが聞こえた気がした。
パリン、と小さく音を立てて氷が割れ、飛び散る。ただそれだけの、静かな幕引きだ。光弾で派手に爆撃するのを好む彼にとっては、不本意な最期だったかもしれない。
(――ありがとう。百合・BLレンジャー)
砕け散った氷の中から、ゆらゆれと揺れる白い光が幾筋も立ち昇った。おそらく、ゼニスの体内に閉じ込められていた超次元生命体たちだろう。千年以上にも及ぶ長い時を経て、彼らはようやく解放されたのだ。
テレパシーのようにして伝わってくる彼らの心は、喜びに満ちていた。「ありがとう」というたった五文字。短い言葉だが、超次元生命体たちの感謝してもしきれない様子が伝わる。
光は高く上昇し、どこかへ飛び去っていく。百合・BLレンジャーは変身を解き、彼らをいつまでも見送っていた。