百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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6 狂獣ハンター

「お前らを倒しても、お前らの心は壊れねえだろ? 俺はお前らが信じる繋がりが切れて、絶望する姿が見たいんだよ!」

 

 見れば、海賊モチーフで青い皮膚の怪人が、フック状の義手になった左手を振り回して暴れている。右足も義手のようで、眼が六つある頭部は海賊帽っぽい形だ。口元には、髭のような触手のようなパーツが垂れ下がっている。

 

「待て!」

 

 露鬼とフィリーレンが駆けつけると、海賊っぽい怪人はゆっくりと振り向いた。

 

 

「何だあ、お前たちは?」

「我が名は露鬼。旅の者だが、悪事を見過ごすわけにはいかない」

「私は『葬送のフィリーレン』。」

 

 青年が狼を模したヘルメットを被り、エルフが魔法の杖を構える。怪人は二人を見回し、「葬送の何とかってのは聞いたことがあるな」と呟いた。

 

「初めまして、だな。俺の名はネンクロフィ。超次元界をバリバリ股にかけるハンターだ」

「目的は何だ。どうしてこの村を襲った!」

 

 三日月型の大剣を召喚し、吠える露鬼。

 

 

「名前の通り、俺の性癖はネクロフィリア、死体嗜好症ってやつでな。定期的に新鮮な死体を見ねえと、欲求不満で頭がバグっちまうのさ。だから狩るんだよ、この世界に転がっている命をな!」

 

 死体嗜好症。異常性癖であるそれは、レジスタンスのダレンのと同じ性質である。しかし、ダレンが自身の性癖を恐れ、一時期は隠していたのに対し、ネンクロフィは開き直っているというかあけっぴろげだ。堂々と性癖を明かし、欲望に忠実に生きている。殺しさえ厭わない。

 性癖を持つ者の性格が攻撃的であるか否かによって、ここまで大きな差ができてしまうものなのだろうか。

 

 

 ネンクロフィはゲラゲラと笑い、おもむろに右手を前に出した。

 

「冥土の土産に教えてやるよ。俺の右手にはな、触れた人の記憶を読み、その記憶の中にある過去の存在をコピーして実体化させる能力がある。殺す寸前の獲物をこいつで精神的にいたぶるのが、俺は大好きでね」

 

 二人の表情が強張ったのにも構わず、続ける。

 

「追い詰めたターゲットの前に、そいつの亡くなった母親のコピーを出現させてやるのなんかが定番だよなあ。で、まず母親の方から斬り殺す! 次に、母との二度目の別れを体験し、絶望しているターゲットを殺す! バリバリに面白い娯楽だぜ。ガーッハッハッハ!」

「――黙れ」

 

 

 低い声で露鬼が言い放った。目にも止まらぬ速さで大剣を振るい、斬撃を飛ばす。

 

「ぐあっ⁉」

 

 不意を突かれ、ネンクロフィは反応が遅れた。橙色の斬撃をもろに喰らい、数メートル吹き飛ばされる。

 

「悪いな。お前の話を聞いていると、虫唾が走っていけない」

 

 不機嫌そうに首をゴキゴキ鳴らし、剣士はフィリーレンの方を向いた。

 

「さっさと片付けるぞ」

「それなら、いい方法があるよ。」

 

 

 意味ありげに微笑むエルフ。

 

「言ったでしょ。『私の性癖と相性が良さそうだね』って。」

「……そういうことか!」

 

 黒い仮面の下で、青年が大きく目を見開いた。

 

「試してみる価値はありそうだ」

 

 

「何をごちゃごちゃ相談してやがる!」

 

 体勢を立て直したネンクロフィは、怒り狂い、左腕のフックを掲げて突進してきた。

 

「頭に来たぜ。お前ら二人とも、記憶を読み取ってやる。家族や恋人のコピーを出しまくって、俺がそいつらを全員殺して、絶望させてから殺してやるぜえ!」

「……行くぞ、フィリーレン」

「うん。」

 

 一方の二人は頷き合うと、まず露鬼から動いた。身に着けているすべての鎧を装着解除し、辺りへ脱ぎ捨てる。端正な素顔と、シャツの上からでも分かる引き締まった肉体が露わになった。

 さらに、シャツをも脱いだ。腹筋が割れた、細マッチョボディーを晒す。

 彼が脱衣していく様子を、エルフの魔法使いは真顔でじっと眺めていた。

 

 

「一体、何を……」

 

 するつもりだ、と言おうとして、ネンクロフィは息を呑んだ。なぜかは分からないが、二人の戦闘力がみるみるうちに上昇していくのを感じる。

 彼は知らなかったのだ。フィリーレンの性癖がスコポフィリーで、露鬼の性癖が露出狂であることを。

 

 

 脱衣する様子を見られることによって、技の威力が上がる露鬼。他者が脱衣しているところを眺めることで、技の発動速度を上げられるフィリーレン。とあることをやるだけで、両者の性癖のパワーは最大限に引き出すことができる。すなわち、露鬼が脱いで、フィリーレンがそれをガン見すれば良いのだ。

 

「脱いだついでに、こちらの姿へチェンジさせてもらうぞ。『露出アクセス』! ハアッ!」

 

 青年の腕に、ブレス型のアイテムが装着された。それを取り外し、携帯電話のようにパカッと開いて突き出す。

 

「サモン、スピリットオブジアース!」

 

 

 狼モチーフの、銀色のヒーローの姿へと変わった。黒い剣士の原典は、この銀色の戦士の原典と表裏一体。状況に応じて、露鬼はそれらを使い分けることが可能なのである。

 

「閃烈の銀狼! ロシュシルバー!」

 

 そして、かっこよくポーズまで決めた。

 

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