百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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22 第一位の完璧な複製体

 二戦目。ダレンVSヴァルク(=クヴァル)。

 フィリーレンはダレンが消耗することを期待していたのだが、二戦目は一戦目の後、三十分の休憩を挟んでから開始された。三十分もあれば、ちょっとお昼寝するくらいのことはできるだろう。つまり、そんなには疲労が蓄積しないと予想される。

 

『ダレンリバイブ・疾風!』『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバイブ・疾風~! 疾風!』

 

 青いスピード特化形態に変身したダレン。先ほどと同じく、高速攻撃で一気に勝負を決めにかかるつもりのようだった。

 

 

「『超次元生命体を殺す魔法』!」

 

 対するクヴァルは、杖から黒い光線を連射。魔法攻撃を高速移動でかいくぐり、ダレンがクヴァルへと肉薄する。

 爪型の武器を振るうダレン。その先端がクヴァルの胸部へヒットしたのも束の間、機械怪人はダレンの腕をがしっと掴んだ――ネンクロフィの腕を移植した、右腕で。

 

「中距離から攻撃し続ければ、早い段階で距離を詰めてくると読んでいました。そして、ほぼ確実に打撃を加えてくると。いかにあなたのスピードが速くとも、攻撃が当たった一瞬ならば位置を把握することはもちろん、こちらから反撃することも容易い!」

 

 

 強い力で腕を掴み、離そうとしない。クヴァルはネンクロフィから継承した能力を使用し、ダレンの記憶を読んだ。

 千年間ゼニスの中にいた自分とは違い、ダレンには膨大な記憶がある。露鬼との戦いで漏らしていたように、その中には悲劇の記憶も多かった。とてもじゃないが、すべてに目を通すことはできそうにない。

 

「……元々ネンクロフィのものだった、私の右腕に命じます」

 

 ゆえにクヴァルは、アナログな手法を取った。ハーフメカニカルな自身の体へ、肉声によって直接命令を下したのである。

 

「この者の記憶の中で、最も強そうな戦士をコピー及び実体化しなさい!」

 

 

 ダレンが最も憎んでいた相手は、言わずもがなルーカスだ。

 が、彼のことを「最強だ」と考えていたわけではない。事実、ダレンは相手が強ければ強いほど効果を発揮するタイプの原典をいくつか用意し、ルーカスのことは対策済みだった。マジェスティ状態で追い詰めたことだってある。

 結果的には「サウザー」で原典を封じられて劣勢になってしまったが、それは実力差というよりは、能力の相性の問題かもしれない。ダレンにとってルーカスの強さは「簡単に勝たせてもらえる相手ではないが、勝てる可能性がゼロではない」と思えるくらいのものだった。

 

 

 では、ダレンにとっての最強とは誰か。

 無貌支持派の序列には、決して覆すことのできない力の差が存在する。第二位の彼でも歯が立たなかったのは、第一位のあの男しかいない。

 戦闘用の白いスーツに、赤いマント。顔と胸には虹色の紋様が刻まれている。

 

 

「……無貌支持派の元第一位にして元行動隊長、ビッグ・ファースト。改めて、よろしく」

 

 クヴァルの隣へ現れたのは、かつてルーカスに倒された第一位。正真正銘の最強だった。

 

「完璧な複製体だね。記憶も能力も引き継いでいるみたいだ。」

 

 試験を見守っていたフィリーレンが、感心したように呟いた。

 

「行きなさい、ビッグ・ファーストとやら。ダレンを攻撃するのです!」

 

 クヴァルはビッグ・ファーストがどういう人物だったのか、能力は何かなど、詳しいことは一切知らない。ただ、「無貌支持派の元第一位」という肩書きを聞いて「こいつは使えそうだ」と判断しただけだ。

 

 

「久方ぶりの戦場。腕が鳴るというものよ!」

 

 白い戦士はバトン型の武器を召喚すると、ダレンへ向かって行った。まさかビッグ・ファーストを召喚されると思っていなかったダレンは、慌てて高速移動で回避しようとする。

 

「――見切ったぞ。そこだ!」

 

 しかし、ビッグ・ファーストの最強無敵能力は健在だった。ダレンの高速移動をあっさり見切り、素早く跳び蹴りを食らわせた。苦悶の叫びを上げ、倒れるダレンリバイブ。

ビッグ・ファーストにはいかなる攻撃も通用せず、彼の繰り出す攻撃はすべてが決定打になる。「苦戦したシーンが一度もない」という原典の特性を活かした、恐ろしく凶悪な能力である。

 

 

「その形態に見覚えがなかったから咄嗟に思い出せなかったが、お前、元第二位のダレンだな? 二位が一位には勝てないということを、体に教えてやる!」

 

 第一位はなおも、執拗に攻撃を続けた。立ち上がろうとしたダレンの頭部をバトンで打ち、胴を蹴り飛ばす。

 

「その辺にして下さい」

 

 一級レジスタンス試験の合格条件は、ダレンにある程度のダメージを与えることだ。既に十分なダメージを与えていると判断したクヴァルが、ビッグ・ファーストを止めにかかる。

 

 

「もう結構です。私の目的は達成されました」

 

 あとは杖を一振りし、コピー体を消滅させるだけ……のはずだった。が、杖を振っても、ビッグ・ファーストは光の粒子にならない。依然として、圧倒的な存在感を放っている。

 

「ば、馬鹿な。なぜ消えない⁉」

「俺を現世へ呼び戻してくれた礼として、さっきは命令に従ってやったが……」

 

 動揺する機械怪人を睨むと、第一位はダレンから離れ、彼へ近づいてきた。

 

「注文が多いぞ、三下。お前ごときの指図、俺はこれ以上受けん!」

「そんなぁーっ⁉」

 

 

 ビッグ・ファーストのバトンによる打撃が、クヴァルの脳天を襲う。情けない悲鳴を上げ、怪人は崩れ落ちた。

 第一位の「最強無敵」能力は、クヴァルのコピー体をコントロールする能力をも破ったのである。

 

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