「……調子に乗るなよ、雑魚の分際で!」
マスクの下で歯ぎしりし、第一位は再びバトンを振り上げた。
「たとえ不死身で、かつ攻撃力が高くても、俺に勝てるということにはならない。『負けない=勝てる』ではないのだ!」
ヤンデレキラーは腕のトゲでガードを試みたが、強烈な打撃はそれを呆気なく粉砕して吹き飛ばす。
ビッグ・ファーストの無敵能力は、「彼に対して効力を発揮する」あらゆる攻撃及び能力を無効化する。つまり、ヤンデレモードの超パワーを難なく捻り潰すことはできても、「キラー自身にのみ影響する」不死身能力までは無効化できないのである。
それでも、形勢逆転は叶わない。
「どうだ。これで終わりに……」
「私のことを忘れてはいないか?」
追撃しようとしたのも束の間、死角からイセイナイトの澄んだ声が響いた。銃に赤い弾丸のような形状のアイテムを取り付け、「断罪の女体化パワー!」と告げる。
「『女体化ダイナミック』。パニッシュ!」
何発もの緑色の破壊光弾が、一斉に射出される。ダメージこそほぼゼロだったものの、衝撃を喰らって第一位は後退した。
「意味が分からん。不死身のヤンデレキラーはともかく、なぜお前もピンピンしている⁉」
「私も彼と同様、原典の特性を最大限に引き出しているだけだ」
銀の騎士は、専用銃をソードモードへ変形させた。赤い刀身へエネルギーを溜め、討つべき敵へ接近する。
「この原典には、『メインの五人よりも明らかに強そう』という特性がある。最強とまではいかずとも、結構強い。お前が相手でも、ある程度粘ることは可能だ!」
「小癪な!」
バトンで応戦したビッグ・ファーストへ、イセイナイトは「女体化メタリック!」と叫んで一閃を浴びせた。やはり防御されたし、ダメージを与えられてはいないけれど、普通の相手だったなら今の攻撃で戦闘不能に陥っていてもおかしくない。何なら1/2の確率で女体化するまである。
「お、おのれ~。レジスタンスの構成員でもないくせにわらわらと湧いてきおって、目障りだ!」
ヤンデレキラーとイセイナイトの共通点は、「とにかくしぶとい」ことだった。前者は文字通り不死身、後者は原典由来の戦闘力で食らいついてくる。なかなか決着がつかないため、第一位はだんだんと辟易してきた。
「俺を誰だと思っている? 無貌支持派の行動隊長にして元第一位、ビッグ・ファーストだぞ。雑魚ごときが勝てるとでも思ったか!」
「別に俺は、レジスタンスの連中に頼まれて来たわけじゃない。ただ、超次元界の平和を乱すお前が気に食わなかっただけだ!」
だが白の戦士が怯まず、言い返す。
「目障りなのはお前だ、ビッグ・ファースト。今やお前は、この世界のすべてを敵に回したと言っても過言ではない!」
「……『第一位』か。くだらないな」
イセイナイトは首を振った。
「無貌支持派など、既に滅んだ過激派グループに過ぎない。行動隊長だか何だか知らないが、そんな肩書きにもはや意味はないと知れ!」
「……!」
彼の台詞に、第一位は数秒間、言葉を失った。
分かってはいたのだ。自分が戦死し、自分を倒したルーカスも死亡しているらしいということは、無貌支持派はとっくに壊滅してしまっているのだろうと。現に、元第二位のダレンだって、組織を抜けてレジスタンスと仲良くやっているではないかと。
分かってはいたが、あえて事実を直視していなかった。
「そうか。やはり、皆死んでしまったのか」
辛い現実と強制的に向き合わされ、彼に隙が生じた。キラーとナイトが目で合図し、「今だ!」と巨大戦力を呼び出す。
「完成。『ヤンデレーオー』!」
『コンバイン! イセイグランド!』
翼竜とステゴサウルスに似た姿のモンスターを召喚したヤンデレキラーが、二体をロボへ合体させて乗り込む。自身をライオン型メカモンスターへ変形させたイセイナイトが、他二体のマシンを呼び出して三体合体を行う。
ヤンデレーオーはスリムなボディに大きな槍を構え、イセイグランドは黒と銀の頑丈なアーマーを誇る。二体のロボは同時に必殺技を発動し、元第一位を狙った。
「ヤンデレ必殺、『病みスティンガー』!」
恐竜ロボが槍に力を込め、高速で投擲する。
「『女体化ラスティック』!」
その直後、イセイグランドは両肩からミサイルを発射。自身も弾丸のように低空飛行し、ビッグ・ファーストへ強烈な体当たりを見舞った。
「効かないと言っている!」
けれども、これだけの超火力を受けてもなお、虹色模様を持つ戦士は無傷のままであった。
「いい加減に理解したらどうだ。お前たちがどれだけ粘ったところで、ジリ貧だということを!」
巨大ロボを前にしても、一歩も引かない。露鬼に対して「俺が巨大戦力を使わないのは、そもそも使う必要がないからだ」と言い放ったのは、誇張でも強がりでも何でもなく、真実らしい。
『デンジャラス・グール!』
『スリー・ツー・ワン!』
「「変身!!」」
そのとき、また新たな二名の乱入者が現れた。文庫本を携えた青年と、桃色の髪の女子高生である。女の子の方はアニメ三期の影響なのか、少し作画が変わっている。
『デンジャー! デンジャー! デス・ザ・クライシス! デンジャラス・グール!』
「超次元ライダー・ナデシコ! テントを張らせてもらうよ!」
青年はゲームカセット型アイテムを、女子高生はスイッチ型のものを二つベルトへ装填し、変身した。
「ゆりキャンΔ族と、東京ビーエル族か。仲が悪いことで有名なお前たちが、なぜ?」
思わぬプレイヤーの登場に、第一位が眉をひそめる。
「あのビッグ・ファーストが復活したんだ。もう喧嘩している場合じゃないからね」
「私たちも加勢するよっ!」
クロードが死亡したことにより、彼に原典を取り上げられていたカネコ青年の元へ、無事「デンジャラス・グール」の力は戻ってきた。これによりカネコは、原作通りの不死の力を発揮できる。なお、人間を喰らうことでその力はさらに増大するが、ここには超次元生命体しかいないのでさほど意味はない。
ゆりキャンΔ族は元々ノーダメ。ただ、皆が安心してキャンプできる世界を守るために、辺境の地からわざわざ馳せ参じたのだった。
「死なない奴が二人に増えたか。面倒だな」
舌打ちするビッグ・ファースト。しかし、都合の悪いことというのは連続するものである。
「――さあ、加勢してくれ! 加勢しないと、許さん!」