漆黒のバイクで颯爽と駆けつけたBLACON・SUNが、意気揚々とゲートを開く。そこから、ツカサやカイリをはじめとする百合・BLレンジャーが、一人また一人と姿を現した。裕介、美明日、ヒョウガやゴークイーンズ三名も含めた、フルメンバーでの豪華な登場だ。
全員が超次元界に降り立ち、状況を確認する。どうやら自分たちが到着するまでの間、レジスタンスに所属していない有志たちが、第一位を足止めしてくれていたようだった。
「来たか、百合・BLレンジャー!」
ヤンデレーオーの操縦席から、翼竜の戦士はまるで悪役みたいな台詞を吐いた。まあ、原作ではほぼずっと悪役なのだけれども。
「そこのビーエル族の青年と俺は、ともに不死の力を持っている。俺たちがビッグ・ファーストの攻撃を食い止めるから、他の奴らはアタッカーとして、ありったけの攻撃をお見舞いしてやってくれ!」
「私からもお願いするよ。」
と、そこにやばいコスプレイヤー、もといフィリーレンも駆けてきた。ダウンしているクヴァルと露鬼を、魔法でふわふわ浮かせて連れて来ている。以前会ったときよりも、ひどくしょんぼりした表情だった。
「ごめん。元はと言えばクヴァルの能力が原因なんだけど、もう私たちだけじゃ収拾がつかなくなっちゃった。」
「あとは貴様たちだけが頼りだ。すまないが、もう一度だけ超次元界のために戦ってくれないか」
お菊に肩を貸し、ダレンもよろよろ近づいてきた。その肩を叩き、カイリが「任せろ」と力強く頷く。
「俺たちが……最後の希望だ!」
「VSスワットモード・オン!」
「『BANG・解』!!」
「『ゴークイーンズ・デリシャスタンバイ』!」
百合・BLレンジャーの面々は一斉に強化変身し、マシンガンによる光弾をはじめとする、ありとあらゆる攻撃をビッグ・ファーストへ浴びせかけた。
「ハーッハッハッハ! 無駄だ無駄だ!」
案の定、第一位にはノーダメージ。爆発が乱れ飛ぶ中から無傷で現れ、両手を広げる。
「雑魚が束になったところで、最強を倒すことはできん!」
「……だったら、これでどうだ!」
零騎士ヒョウガが、「年上好き」性癖を発動させた。普通の人間である彼と比べれば、超次元生命体であるビッグ・ファーストの方が長く生きているのは自明だ。したがってヒョウガ自身にバフがかかり、第一位にも負けない――なんてことは起こらなかった。
『オール性癖・コンバイン!』『マキシマム・ゼロ・タイフーン!』
強化されたパワーを乗せ、零騎士最強の技を繰り出すヒョウガ。光の刃はしかし、ビッグ・ファーストの振るったバトンの前に叩き折られてしまう。
零騎士の性癖は、彼我の力の差を埋めることができる。だが、力の差があまりにも大きすぎる場合には埋めきれないのが欠点だった。ゼニスと戦ったときにあと一歩及ばなかったのも、そういうことである。
「話にならんな」
第一位はヒョウガをバトンで突き、吐き捨てるように言った。
「俺を倒したければ、『他殺願望』性癖を持った奴でも連れて来い!」
フィリーレンの持った杖から淡い光が溢れ出し、ダレンとお菊を包んだ。徐々に傷が癒えていく。
「ありがとう。これは一体?」
「『HPを半分くらいまで回復させる魔法』。」
ダレンの問いに、エルフが答えた。
「助かったけど、何というかちょっと中途半端な効果ね……」
疲労が溜まっているからだろうか、お菊はつい正直な感想を漏らしてしまった。
まあ、ゲームだとあまり重宝されなさそうな効果なのは確かだ。全回復とまで行かなくても、せめて7割くらいは回復しておきたい。本当に色んな魔法をコレクションしているエルフである。
「中途半端……」
一方、ダレンはお菊の言葉に目を見開き、ぽつりと呟いた。
そのとき、遠くでビッグ・ファーストの「俺を倒したければ、『他殺願望』性癖を持った奴でも連れて来い!」という声が聞こえた。お菊と第一位、二人の発言がヒントになり、顔に傷を持つ男はぽんと手を叩いた。
「待てよ。そうか、中途半端か」
「えっ? ダレン、どうしちゃったの?」
「確かに、ルーカス本人を召喚して第一位を倒させるのは危険だ。だが、奴の性癖のパワーを引き継いでいたあの者なら、この状況を打開できるかもしれない」
「つまりどういうこと……??」
頭の上に疑問符をたくさん浮かべているお菊をよそに、ダレンは銃型のアイテムで変身した。体にカードが無数に刺さっているようなデザインの、青と黒の戦士へ変わる。
「今から、ルーカス以外で『他殺願望』性癖を持っている者を呼ぶということだ」
「どうやって呼ぶの? だって、他殺願望を持っている人ってかなりレアじゃない。仮にそういう人を探したところで、名乗り出てくれるとも限らないし」
「まあ見ていろ」
カードを銃へ装填し、天へ銃口を向けるダレン。
『ジゲン・ライド!』『超次元ライダー・他殺願望!』
「あ!!」
鳴り響いた音声を聞いた途端、お菊もぽんと手を打った。
「忘れてたわ。その手があったわね!」