百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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28 俺たちの性癖アカデミア

『Connection! Connection! Complete! TASATSU-GANBOU!』『Quartet with united will!』

 

 刹那、頭部にアンテナのようなパーツと多角形のアイレンズを持つ、紫のアーマーを纏った戦士が降臨した。

 ルーカスが残した原典の一つに、歪みすぎていた彼の性癖が宿って自我を持った存在。それが超次元ライダー・他殺願望。かつて零騎士ブルブラックによって葬られた戦士が、今甦る。

 

 ダレンがルーカス復活をためらったのは、ルーカスに他殺願望を発動されて制御不能になるのを恐れたからだ。しかしこの超次元ライダーなら、性癖発動中にもかかわらずブルブラックに惨敗した実績がある。万が一コントロールできなくなっても、自分たちで倒すことは容易いだろう。

 

 

「行け、他殺願望」

『OK.』

 

 召喚された紫の戦士は、ダレンの命に素直に従った――まだ他殺願望を発動していないのだから、当たり前かもしれないけども。

 

『BIG-FIRST will be extinct.』

 

 百合・BLレンジャーと第一位の間に割って入ると、ビッグ・ファーストを指差してこう言う。相手はたちまち怒り狂った。

 

 

「何だ、失礼な奴だな。こいつから先に殺してやる!」

「やってみろよ。後悔するぜ?」

 

 エックスチューナーを撃つ手を止め、カイリがニヤリと笑う。

 

「そいつは超次元ライダー他殺願望といって、ルーカスと同じ性癖を引き継いでいる。つまり、お前が彼に致命傷を負わせた瞬間、他殺願望のパワーは発現する。お前の最強無敵の能力も、一分間は無効化されるって寸法だぜ!」

「馬鹿ーっ! 何でネタをばらしちゃうのよ⁉」

 

 仮面の下で涙目になっているツカサにぽかぽか殴られながら、カイリはようやく「あっ、やべっ」と青くなった。

 

 

「あんたがそのまま黙ってれば、何も知らないビッグ・ファーストは他殺願望をボコボコにしてたかもしれないじゃない。これじゃ他殺願望に攻撃してくれないわよ!」

「い、言われてみれば……」

 

 こんなときにまでしょうもない漫才を繰り広げている二人を睨み、第一位は「お前たち、ひょっとして俺をコケにしているのか⁉」とバトンで打撃を加えようとした。けれども、超次元ライダー他殺願望に行く手を阻まれる。

 

「クソッ。邪魔だ、そこをどけ!」

『No.』

 

 

 梃子でも動かない他殺願望。

 かといって彼に過度のダメージを負わせれば、自分の方がピンチに陥ってしまう。名前に「他殺願望」と冠しているだけあって、ルーカスと同じ性癖を持っているというのもあながち嘘ではなさそうだ。大体、他殺願望を持っていない雑魚をわざわざこの局面で投入してこないだろう、と第一位は考えた。

 

『他殺願望・インパクト!』

 

 ならばこっちから行くぞ、と言わんばかりである。

 紫の戦士が素早くベルトを操作し、必殺技を発動した。「他」「殺」「願」「望」と一文字ずつ、虚空に文字が浮かび上がる。続いて高く跳び上がり、破壊エネルギーを帯びた右足でキックを放った。

 

 

「フン!」

 

 ビッグ・ファーストは両腕をクロスさせ、難なくそれを防御する。もちろん、ダメージはゼロだった。

 他殺願望の攻撃は第一位に効かない。第一位の攻撃は他殺願望に効くが、一定以上のダメージを与えると相手の性癖が発動するため、迂闊に攻撃できない。両者は膠着状態に陥ってしまった。

 

「……」

『……』

 

 

 他殺願望より先に百合・BLレンジャーを倒せればそれに越したことはないのだけれど、第一位の能力はあくまで「戦いに勝利する」であって、高速移動みたいな特殊能力は持っていない。行く手を頑なに塞いでくる他殺願望を突破できるような便利な力は、ビッグ・ファーストにはなかった。

 要するに、他殺願望をどうにかしない限り、この戦いは次の局面へ移ることはできなくなってしまったのである――他殺願望が悪いわけではなく、口を滑らせたカイリが大戦犯だけどね!

 

 第一位はしばし「おのれ~」とか「小癪な真似を!」とかブツブツ言っていたが、やがて決心したようにバトンを握り直し、超次元ライダー他殺願望へ突進した。

 

 

「ええい、もう我慢ならん。まずはお前を殺してやる!」

 

 容赦なく何度もバトンで打ちすえ、徹底的に痛めつけた。

 

「こうなれば一か八かだ。お前を潰し、他殺願望性癖で能力が無効化される、一分間を耐えてみせる。そこさえ凌げばこっちのものだ。俺は再び、無敵の王として君臨するのだからな。ハーッハッハッハッハ!」

 

 ダレンが他殺願望を再度召喚する可能性は考慮していない様子で、高笑いをするビッグ・ファースト。五度目の打撃でついに他殺願望の体はくの字に折れ曲がり、がくりと崩れ落ちた。

 そして、性癖のパワーが発動した。

 

『TASATSU-GANBOU’s ability !』『Mammoth’s ability !』

 

 

 アーマーの損傷箇所がすぐに修復され、湧き上がる膨大なエネルギーに任せて巨大化。他殺願望は、身長五十メートルにも届かんとする巨人へと変貌した。

 

『Go to Utopia!』

 

 第一位を見下ろす、紫の巨人。既に「特殊能力の無効化」は発動している。最強無敵でなくなったビッグ・ファーストは一分間、巨人から逃げ回るより他にない。

 

「フ、フン。こんな木偶の坊にやられるわけが……」

 

 巨大戦力を有していないことが裏目に出た格好だが、精一杯強がっているビッグ・ファースト。巨大化した他殺願望の悪口を言いまくっている。

 

 

「大体何なんだ、お前は。ダレンのジゲン・ライドで召喚され、大人しく命令に従うことしかできないくせに。今だって、能力無効化の対象を俺一人に絞っているから、ダレンに反抗できないんだろう?」

 

 矛盾する効果の能力が同時に存在するときは、強い方の能力が優先される。ダレンと他殺願望とではダレンの方が強いため、他殺願望は「無効化対象にダレンを追加し、制御下から逃れる」ことができなかったのだ。

 

「無個性で役立たずで、お前は本当に出来損ないだな。聞いているのか、この木偶の坊めが!」

「――いつまでも、雑魚で出来損ないの木偶の坊じゃないぜ!」

 

 

 素早く散開した百合・BLレンジャーが、第一位を包囲。先刻の失敗を巻き返すように、カイリが吠えた。

 

「こいつはな……『頑張れ‼』って感じの木偶の坊なんだ! ほら、ルーカスに比べたら可愛いもんだしよ」

「どういう感じだよ⁉ 意味不明なことをぬかすな、雑魚ども!」

「何が『雑魚』だ。最強の力を封じられた今のお前なんて、全然怖くないぜ! 行くぞ、皆!」

「おうッ!」

 

 退路を断たれて狼狽しているビッグ・ファーストへ向けて、各々が渾身の必殺技を繰り出した。

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・僕のヒーローアカデミア

※次回の更新は1週間後の予定です。
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