「くっ。ならば!」
他の原典に切り替え、ダレンが蝙蝠モチーフの騎士の姿になった。剣型の召喚機にカードをセットすると、「トリック」と音声が鳴る。
分身の効果を発動し、四人へ分裂したダレンがフィリーレン・ファイヤーを包囲。一斉に斬りかかろうとしたのも束の間、フィリーレンの技が炸裂した。
「『スコポフィリシュート』。」
盾に付いている、眼のような模様から連続で光弾が放たれる。くるりと一回転しながら光弾を撃ち放ち、エルフは瞬く間に分身すべてを吹き飛ばしてしまった。
「お生憎様。近接攻撃だけじゃないんだよね、この形態。」
「……なかなかやるな」
怯んだダレンは、後退しつつ変身解除。懐から取り出したウエットティッシュで手を入念に拭いてから、携帯電話型のアイテムを構える。
『standing by』
「変身」
『complete』
彼の全身を黄色い光のラインが覆い、アーマーが装着されていく。頭部にはX字の模様と、紫色のアイレンズが備わっていた。
「私のことを好きにならない人間は、邪魔なんだ」
同じくXの形をした専用銃を、腰のホルスターから抜き放つダレン。「exceed charge」と音声が流れたのち、銃から光弾を撃った。
フィリーレンはそれを盾で防いだ。が、ダメージこそ殺せたものの光弾の特殊効果でロックオンされ、全身が黄色い光に包まれて上手く動けなくなってしまう。
「――ハアッ!」
専用銃から光の剣が伸びる。腰を落として剣を構えたダレンは、フィリーレン・ファイヤー目がけて高速突進した。ターゲットの体内を通過するかのように斬りつけ、その背後に着地する。
刹那、赤い騎士の体にX字のマークが浮かび、爆発が起こった。
「まだまだ行くぞ!」
続いて、ダレンは青いスクリーン状のものをくぐり抜けてクワガタムシモチーフの赤い戦士へ変身。銃へ三枚のカードをスラッシュし、必殺技を発動させた。
高くジャンプし、空中で二人へ分身。火炎を纏った足でオーバーヘッドキックを繰り出した。
「おっと。」
フィリーレンは左のキックを剣で、右のキックを盾で防御。ダメージを最小限に抑え、反撃の機会を窺っている。
「あまり効いていないようだな。貴様が全力で攻撃してきていないこのタイミング、対強敵特化の原典を使うにはまだ早かったか」
独り言ち、ダレンはまたもや変身解除。全部乗せのマジェスティが使えなくなってからというもの、彼はフォームチェンジを多用する傾向にある。まあ、本人が楽しそうなので何も言うまい。
「たまには、これを使ってみよう」
手の中に出現したのは、鬼の面のような装飾のあるホイッスル。それを吹き鳴らすと、ダレンの周囲に竜巻が起こった。
「ハッ!」
手刀で風を切り裂き、変身完了する。歌舞伎役者のように青で縁取りされたマスクと、上半身を覆う管楽器の管のようなものが特徴的な、鬼の戦士だった。
トランペット型の武装を召喚し、フィリーレンの方へ向ける。バルブを操作して石のような弾丸を浴びせたのち、トランペットを口に当て、演奏を始めた。
「『疾風一閃』!」
清めの音を奏で、妖怪変化を爆散させる必殺技である。
けれども、防戦一方のフィリーレンではない。彼女もまた竜巻を、それも炎の竜巻を巻き起こすと、熱風と共に剣を振り下ろし、斬撃を飛ばした。
「『スコポフィリ・ストームスラッシュ』。」
ダレンの「疾風一閃」を凌駕する、圧倒的な破壊力。炎の太刀は一瞬で清めの音を弾き飛ばし、ダレンの胴へ炸裂した。
「チェックメイト。」
静かに告げ、フィリーレンが剣を収める。ダレンの体表からスパークが乱れ飛び、大爆発が起こった。
「……まだだ」
全身にカードが刺さったデザインのアーマーへ変わったダレンが、爆風の中から躍り出てくる。彼の手には、やや小型のタブレットが握られていた。
「たとえマジェスティにはなれなくとも、私にはこれがある」
タブレットの画面に浮かぶ謎のマークを順番にタッチしていき、最後に腰のベルトへ合体させる。「ファイナル・ジゲンライド! ダレン!」と音声が鳴り、頭と胸に9枚のカードが貼りつけられた。手足の装甲が、一部銀色に変わる。
「何なの、その格好。」
カードには様々な超次元ライダーの首から上だけが描かれていて、まるで遺影のようである。引き気味に尋ねたフィリーレンにダレンは、「現時点での私の最強形態、その名も『コンプリートフォーム』だ」と答えた。
「マジェスティよりも扱える原典の幅は狭いが、戦闘力自体は折り紙つき。とくと味わうがいい」
『ジゲン・ライド! 劇場版!』