百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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4 ほくろで無双!ダレン死す!?

「……分かってたまるものですか」

 

 離れて立っていても聞こえるほど、お菊の歯ぎしりは大きかった。スタンプの上部を押し、「クワガタ!」と音声を鳴らす。

 

「大義名分を掲げて、殺しを正当化する奴の言うことなんて……分からないに決まってるわ! 変身ッ!」

『アメリカン・ファイター! オーバーリボンズ!』

 

 変身完了した直後、お菊は電気ウナギとオクトパスのリボンミックスを連続発動。手から放つ電撃で敵を怯ませつつ、接近して機械アームによる打撃を浴びせる戦法に出た。

 

 

「そうだった。君はまだ、僕の原典の能力を知らないんだったね」

 

 フレッドはまたしてもノーガードだった。電撃を受けても微動だにせず、アームを叩きつけられても同様である。

 

「僕には『超次元ライダーをぶっ潰す力』がある。条件が限定的なビッグ・ファーストみたいなものだと思ってくれればいいよ。……すごいでしょ、これ? 対レジスタンス用に、僕自らセレクトした原典なんだ。超次元生命体を皆殺しにして原典を解放する上で、どうしてもレジスタンスは邪魔になってくるからね。対策は万全さ」

「万全かどうか、確かめてやろうじゃない!」

 

 オオクワガタのスタンプをお菊が手にしたのを見て、フレッドは間髪入れずにベルトを操作。必殺技を発動した。

 

『フレッド・ゾンビストライク!』

 

 

 左腕の爪にエネルギーを纏わせて、オーバーリボンズの胸部装甲を鋭く切り裂き、激しくスパークを散らす。その衝撃で、スタンプはお菊の手から落ちた。

 

「戦隊系の原典を併用すれば勝てると思ったかい? ベースとなっているのがライダー系である限り、僕には勝てないよ。もっとも、それ以前に使わせないけどね」

「――お菊、無事か!」

 

 そのとき、彼方からダレンが駆けてきた。

 

「私も加勢しよう。変身!」

『ダレンリバイブ・剛烈!』『リ・バ・イ・ブ・剛烈~! 剛烈!』

 

 レジスタンス最強の男の参戦を、フレッドは「良いねえ」と笑顔で迎えた。

 

 

「ベストタイミングだよ、ダレン。何と言っても僕のこの原典は、リボンズ軍団はもちろん、君を完膚なきまでに叩き潰すために選んだんだからね!」

 

 鋸型の武器を振るい、フレッドを攻撃するダレン。しかし、案の定効いていない。

 

「なるほど、対超次元ライダーの秘密兵器というわけか。ならば二人がかりで……」

 

 ダレンはお菊へ振り返った。彼女が体をくの字に折り曲げて呻いているのを見て、顔色を変える。

 ほどなくして、オーバーリボンズへの変身も強制解除された。和服美人は本当に苦しそうで、「お」に濁点がついた痛ましい呻きを漏らしている。また、時折口元を手で押さえ、吐き気を堪えているようだった。

 

 

「おいお菊、どうした!」

 

 妙だ。先刻フレッドの必殺技を受けた時点では、変身解除に至るほどのダメージは受けていなかったようなのだが。何か他のダメージが、時間差で彼女を襲ったとでもいうのだろうか?

 

「言い忘れていたけど、僕の性癖は『ほくろフェチ』だ」とフレッド。

「胸やお尻にほくろがある女性を好む男性って、一定数いるだろう? あれだよ、あれ。そしてその能力は、『ほくろのある箇所へ攻撃をヒットさせたとき、物理的ダメージ以外にも精神的ダメージを与える』というもの。噛み砕いて言うと、相手の神経に『痛みが加わった』と誤認させることで、実際には存在しない激痛を加えるのさ」

 

 

 歴戦の戦士であるお菊さえ吐き気に襲われるほど、凄まじい激痛なのだろう。フェチ神の名に恥じぬ、実にいやらしい能力だった。

 

「生憎、私にはほくろが少ない」

 

 心底興味なさそうに、ダレンが吐き捨てる。

 そういえば、お菊には口元に小さなほくろがあったように記憶しているが、それ以外の箇所については知らない。もしかしたらさっき攻撃された胸部にほくろがあったのでは……いや、今はそんな破廉恥なことを考えている場合ではない。

 

 

「……だ、ダレンっ」

 

 青い顔で、お菊は絞り出すように言った。

 

「ごめんなさい。じ、実は私、胸の真ん中辺りにほくろがあって。こんないやらしい体でごめんなさい! う、うっぷ」

「馬鹿め。こんな緊迫した状況で、しょうもない告白をするな! せっかく考えないようにしたのに!!」

 

 珍しくツッコミに回ったのち、ダレンは敵に向き直った。

 

「やむを得ん。私一人でどうにかする」

「馬鹿は君だよ、ダレン。君の所持している原典はすべて超次元ライダー系、それも二号戦士のものだけだ。どの形態になったところで、僕の力を攻略することはできやしない」

「やってみなければ分からないだろう!」

 

 

 素早くベルトを操作し、ダレンが必殺技を発動。鋸に破壊エネルギーを溜め、フレッドへ斬りかかった。

 

「無駄だって言っているのに」

 

 マントを翻してそれを軽くいなすと、フレッドは高くジャンプした。お返しとばかりに必殺技を発動し、金色のオーラを纏った跳び蹴りを繰り出した。

 

『フレッド・ゾンビビクトリー!』

 

 一撃でダレンを十メートル以上も吹き飛ばし、変身解除。ぐったりしている彼へ近づくと、牛モチーフの戦士は「とどめだ」とチェーンソーを振り上げた。

 

「さようなら、レジスタンス最強の戦士。君が死ねば、実にたくさんの原典が自由になる。それはとても素晴らしいことなんだよ」

 

 回転する刃が、ダレンの心臓を貫いた。

 

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