百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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8 作戦を喋らないで!

 とすると、高音ウイングスは既にミッション完了しつつあるわけだが、フレッド現着を戦隊に気づかれてもそれはそれで面倒だ。したがってカイリたちに余計なことは喋らず、病院の駐車場で攻防を続けている。

 

「貴様の部下は時間稼ぎが好きなようだ。私も参考にさせてもらおう」

 

 量産型戦士のカードを二枚、銃へセットしてダレンは告げた。

 

『ジゲン・ライド! スワッピング・セイレーン!』『リボンダークモノス!』

 

 白と黒をメインカラーにした剣士らが数体顕現し、フレッドを取り囲む。スワッピング・セイレーンはともかくリボンダークモノスはライダー系ではないため、多少は持ちこたえてくれるものとダレンは期待していた。

 

 

「邪魔だよ」

 

 けれども、その期待は裏切られる。ため息とともにフレッドが再発動した「タクティカル・ブレイク」の斬撃が同心円状に放たれ、並び立った量産兵を一発で蹴散らしてしまったからである。ダメージを受けた剣士は消滅し、カード状態へと戻った。

 

「ライダー系であろうがなかろうが、そもそもが雑魚なら関係ないさ。どうせ召喚するなら、もっと強いのを出してくれないかな」

 

 挑発するように言うフレッド。しかし、乗るのは愚策だ。馬鹿正直にカードを銃へ装填する暇を与えてくれるとは思えない。彼我の距離がさほど開いていない現状、少しでも隙を見せれば踏み込まれ、対超次元ライダー用の無敵の技を喰らう羽目になりかねないだろう。

 やはり、ダレン自身が戦うしかない。所持している原典のすべてがフレッドには効かないことを知りながらも、お菊を守るためには戦うしかないのだ。

 

 

「……仮にだ。仮にだぞ」

 

 それでも僅かな可能性を模索すべく、顔に傷を持つ男は静かに問うた。

 

「私とお菊が持っている原典を、この場ですべて貴様に差し出したとしよう。そうすれば、私たちを見逃してはくれまいか」

「無理な相談だ」

 

 フレッドは低く笑った。

 

「膨大な虚無を持つ君は、原典を所持していようがいまいが、僕たちにとっては生きているだけで危険な存在なんだ。将来的に、別の原典を大量に保有されないとも限らないからね。そっちのレジスタンスの女も、恋人を失っているからか、並みの超次元生命体よりも虚無の総量が多い。原典の解放を目指す僕たちの組織からすれば、君たちはどうしても殺さなければならない対象だ」

 

 

 ごめんね、と軽く手を合わせる牛モチーフの戦士。そのふざけた態度に、ダレンの表情は引きつった。

 

「……聞いた私が馬鹿だったな」

 

 銃を投げ捨て、腰へ新たなドライバーを装着する。

 

「貴様は私が倒す。お菊には、指一本触れさせはしない!」 

 

 怒りの炎を滾らせ、ダレンは吠えた。

 

 

 百合ブラック、BLホワイトと互角の攻防を繰り広げる高音ウイングス。そこへ二台の巨大マシンと二機の戦闘機が到着した。

 

「遅れてすまない。……警察チェンジ!」

「怪盗チェンジ!」

「『BLファイヤー』!」

 

 そのコクピットから素早く降り立ったのは、ケイイチロウ、サクヤ、トウマ、ウミカ、そしてナオヤの計五名。ツカサとカイリに加勢し、一斉変身して高音ウイングスを取り囲んだ。

 

「気をつけて、皆! あいつら、『高音好き』性癖を使うの。技の命中率はほぼ100%よ!」

「いいや、大丈夫だぜお前ら! これは勝ち確だ!」

「ちょっとあんた、あたしが注意喚起してるそばから⁉」

 

 

 キレ気味のツカサに胸ぐらを掴まれたが、カイリは「まあ聞け」と余裕そうである。

 

「いくら命中率が100%でも、相手が七人もいれば全員に当てるのは無理だろ。一、二名が高音ウイングスの注意を引きつけているうちに、他のメンバーで必殺技を連打すれば勝てるに決まってるぜ!」

「敵を前にして作戦を喋るのやめなさいよ⁉ 復活したビッグ・ファーストと戦ったときも、同じようなことあった気がするけど!!」

 

 さて、二人がコントをしている間、他五名は我先にと攻め立てていた。ナオヤがBLディフェンダーによる銃撃で高音ゴールド、シルバーを怯ませた隙に、四方から破壊光弾を放つ。

 

 

「『百合・イタダキストライク』!」

「『BL・一撃ストライク』!」

 

 対して、高音ウイングスも必殺技で迎撃した。

 

『ミッション・スリー!』

『ミッション・ファイブ!』

 

 ゴールドはダガーナイフから稲妻を、シルバーは風の刃を繰り出す。すると、彼らの攻撃は七方向へ拡散した。結果的に、漫才中のバカップル含む百合・BLレンジャー全員へ技がヒットする。

 

 

「うわ~っ⁉」

 

 予期せぬ展開とまあまあ強烈な一撃に、カイリは尻餅をついてしまった。

 

「こんなのアリかよ。一体どうなってんだ?」

「俺たちの技の命中率は100%に近い。たとえ、相手が何人に増えようともな!」

 

 得意げに腕組みする高音ゴールド。

 

「一度に一体の敵しかロックオンできなかった、無貌支持派の第三位とは違うのよ。一緒にしないいでもらいたいものね」

 

 

 シルバーが言っているのは、超次元ライダーデルタのことだろうか。彼は彼で「三角関係」の性癖を有していて、敵を三人ずつのグループに分けた上で仲間割れを引き起こす能力が割とめんどくさかった。それに、怪人態になれば触れた対象を灰化させることもでき、戦闘能力は決して低くなかった。ロックオン性能に関してだけならともかく、総合的な戦闘力でいえば、ウイングスはデルタの完全上位互換ではないのではないだろうか。

 

 

 それはそうと、超次元ライダーデルタの存在や能力を知っていること自体の方が気になる。やけに事情通だ。

 

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