百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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9 貰えなかったチェッカーフラッグ

「だったら、耐久度で勝負よ!」とツカサ。

「肉を切らせて骨を断つ。多少のダメージは防弾ベストで凌いで、ストライク・アウトで決定打を与えるわ。――『VS・スワットモード』、オン!」

 

 警察手帳型アイテムを左胸のアーマーへセットし、七人は強化変身を遂げた。

 S・P・Y&B、スペシャルポリス・百合&BLレンジャー。燃えるハートでクールに戦う、刑事と怪盗たち。彼らの任務は、地球に侵入した異次元の犯罪者たちと戦い、人々の平和と安全を守ることである。

 漆黒の防弾ベストと大型マシンガン、カイリとナオヤの場合はそれぞれブレス型、剣型の追加装備を得て、戦士たちは再起した。

 

 

「舐めるな!」

『ミッション・シックス!』

 

 だが、高音ウイングスも一歩も引かない。ナイフのグリップ部からジェット噴射することで飛翔し、マシンガンの連射をかわしてみせた。

 

「俺と妹の使っている原典は、強化フォームなしで最終回まで戦い抜いた戦士だ。小手先のパワーアップごときに、負けはしない!」

 

 二人は回転しながら宙を飛び、エネルギーを帯びた刃を構えて急降下してきた。勢いを殺さぬまま、鋭い一閃を放つ。

 

 

「『BL・ベガインパルス』!」

 

 ナオヤが長剣を掲げ、そこから伸びた光の刃を振り下ろす。刃と刃が激突したが、またしても威力は互角だった。

 

「……クソッ、何てしつこい連中なんだ。俺たちが手を変え品を変え戦っているのに、ずっと同じ形態と武器のまま食らいついてくる」

「嫌らしいといえば嫌らしいですけど、時間稼ぎ要員としては優秀だと認めざるを得ませんね」

 

 苦虫を嚙み潰したような顔で、ケイイチロウとサクヤが囁き合う。

 

 

「これ以上奴らに粘られては、お菊とダレンが危ない。百合&BLカイザーで対抗しよう」と、トウマ。

 

「移動に使ったマシンたちは近くで待機させてあるし、すぐ合体できると思う。ってウミカはウミカはゴツい六体合体で一気に叩き潰す案を提案してみたり!」

「でも、あたしたちがロボを出したら、向こうも出してくるかもしれないわよ?」

 

 ツカサは心配そうである。

 

「来部ボクサーみたく、あいつらも二体合体、もしくはそれ以上の数の合体ロボを用意しているかもしれないじゃない。六体合体で勝てる保証はないわ」

「けど、他に方法がないんだからしょうがないだろ」

 

 カイリは肩をすくめた。

 

 

「もうちょっと強化形態のバリエーションがあったら、こんなに苦戦しなくて済んだかもしれねえけどな。てか冷静に考えて、ルーカスを倒して以降、ほとんど何の強化も貰ってない俺たち不憫すぎない??」

 

 まあそんなわけで、一同は六体合体を行うことで意見が一致した。高く跳び上がってマシンへ乗り込み、合体プログラムを起動する。

 

「「天元突破! 百合&BLカイザー・VSX!」」

 

 三機の戦闘機が主に上半身を、三台のマシンが主に下半身を担い、巨大なロボットが爆誕する。百合&BLカイザーに見下ろされる格好になった高音ウイングスは、苛立った素振りを見せた。

 

 

「お、おのれ~。相手より先にロボを出してくるとは、ヒーローの風上にも置けない奴だ!」

「私たちが成敗してあげる。『音階合体・ミッションスタート』!」

 

 やはり、ウイングスも合体ロボを用意していたらしい。三体のマシンと、二人の心が一つになるとき、空を制する超高音の王が誕生するのだ。

 金色のヘリコプター、銀色のジェット戦闘機、そして青いジャンボ機に似た外観の、三機の飛行マシンがどこからは駆けつけた。ジャンボ機がロボの胴体を、ヘリコプターとジェット機が両腕を担当するような形で、三体合体が完了していく。

 

「「『コウオンオー』、チューンナップ! コー・オン!」」

 

 地上から十メートルほど浮き上がった状態で合体を終え、コウオンオーは百合&BLカイザーと対峙した。

 

 

「ハッハッハ。どうだ、百合・BLレンジャー。もはやイヤホンでギター音を聴く必要はなくなった。なぜなら、このコウオンオーのコクピット内では常時、爆音でギター音が流れ続けているからな。俺たちの技の命中率は、今まで以上に上がる!」

 

 爆音に負けないように声を張り上げる高音ゴールド。何というか、ものすごく戦いにくそうだ。来部ボクサーの操縦席の方がまだマシなレベル。

 ていうか、元々の命中率が100%近くあるのに、わざわざそれ以上にする必要はあるんだろうか。

 

 

「私と兄の技、受けてみなさい! 『高音ソニック』!」

 

 翼を広げたコウオンオーが、各部からビームやミサイルを連射した。しかし、百合&BLカイザーはそれをものともせず、ズンズン歩いて突き進んでくる。

 

「な、なぜだ⁉」

 

 動揺する高音ウイングスへ、カイリとツカサが堂々と言い放った。

 

「その程度の攻撃じゃ、俺たちの最強ロボはびくともしないぜ!」

「あんたたちの敗因は、命中率を上げることに一生懸命になるあまり、技の威力を大して上げていなかったことよ!」

 

 

 三体合体ロボ・コウオンオーには飛行能力があり、ゆえに機動力は高い。けれども、六体合体である百合&BLカイザーの方がロボのサイズ自体は大きく、大抵の相手はひょいと腕を伸ばすだけで捕まえられる。

 

「チッ、頑丈な奴だな。こうなれば、遠距離から地道にダメージを蓄積させてやる!」

「そうはさせないぜ!」

 

 咄嗟に飛翔しようとしたコウオンオーだったが、六体合体の巨人のリーチの長さを計算に入れていなかった。翼を掴まれて身動きを取れなくなり、無様に地面へ叩きつけられる。

 

「ぐあっ⁉」

 

 よろよろと立ち上がったコウオンオー。ヘリコプターから成る右腕を敵に向け、吠える。

 

 

「あ、甘く見るなよ。俺たちが使う原典には、六体合体はおろか、九体や十二体合体のロボも存在する。そんなロボットなど敵ではない!」

「なんかすごそうなこと言ってるけど、あんたたちのロボって結局三体合体よね⁉ あれじゃないの、全員揃わないと合体できない系のやつじゃないの??」

「黙れーーっ!!」

 

 たぶん、図星だったのだろう。怒りに顔を赤らめた兄妹は、コクピット内でレバーをぐいと引いた。必殺技を発動し、ロボの左腕、ジェット戦闘機から成る部分に光の矢をつがえる。

 

「決めるぜ、ホットショット。『高音インパルス』……っ⁉」

 

 百合&BLカイザーを狙い撃とうとした刹那、コウオンオーの翼が凍りついた。バランスを崩して地面へ落下した拍子に、光の矢も消滅してしまう。

 

 

「――俺を忘れてもらっては困る」

 

 赤き恐竜型ロボを地上から自動操縦しつつ、ナオヤが不敵に笑った。

 BLレックスロボには、百合カイザーやBLカイザーとの合体機能は今のところ搭載されていない。六体合体に参加しなかった彼は、伏兵的ポジションから気を窺っていたのだった。

 BLファイヤーによる低温レーザーを浴び、転倒したコウオンオー。兄妹が態勢を立て直す隙を与えず、六人の戦士は最大火力で必殺技をぶっ放した。

 

 

「これで終わりよ。『百合&BLカイザー・性癖ラッシュストライク』!」

 

 ロボットが各マシンへ分離し、赤や青など、パーソナルカラーの破壊エネルギーを帯びてコウオンオーへ高速突進。怒涛の六連撃を喰らい、三体合体の飛行ロボットは全身から激しく火花を散らした。

 

「最終コーナーは貰えなかったし、チェッカーフラッグでもなかったか……」

 

 無念そうな呟きとともに、コウオンオーは爆発四散した。なお、爆発の瞬間に例のギター音が爆音で流れ出たので、ツカサたちは顔をしかめた。

 

 

「やっと倒せたわね」

「こんなことしてる場合じゃないぜ。早いところ、ダレンたちを助けに行かないと」

 

 皆は頷き合い、百合&BLカイザーを合体解除した。コクピットから飛び降り、急いで病院へと駆け戻る。

 

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