光の剣で真っ二つに斬られた車が、大爆発を起こした。
切断されたのは一台だけではない。既に十数台が破壊され、ニューヨークの道路は大混乱に陥っている。
「そこまででございやす! ……って、お前は⁉」
現場に急行したキンジ・オネガワは、暴れ回っている男を認めて、一瞬固まってしまった。なぜなら、剣を振るっていたのはバッタの特徴をそなえた戦士だったからである。
「馬鹿な。確かに、あっしが倒したはずなのに」
「この世に光がある限り、俺は何度でも甦る。俺は次元ライダーBLACON、R・X!」
攻撃の手を止めてビシッとポーズを取り、BLACONは得意げに語り出した。
「ロリーニンジャー! 太陽の光を浴びてさらなる力を得た俺は、貴様の技を受けて爆発する瞬間、体をゲル化させて脱出していたのさ。今から、俺の新しいフォームチェンジを見せてやる!」
緑と黒がメインだったBLACONの装甲が、青、赤、銀の三色へと変化していく。
「俺は怒りの王子。RX・バイオ次元ライダー!」
そして専用武器・バイオ次元ブレードを構え、キンジに襲いかかった。キンジもロリーニンジャーへ変身し、ロリーソードガンで迎え撃つ。二人の刃が交錯した。
「やるな。だが、俺のフォームチェンジはバイオ次元ライダーだけではない!」
ジャンプして距離を取ったBLACONは、今度は黒と黄、銀の三色の姿に変わった。体格ががっしりとした、パワー重視の形態である。
「俺は悲しみの王子。RX・ロボ次元ライダー!」
虚空から専用銃・ボルティック次元シューターを召喚し、ロリーニンジャーを狙い撃つ。対してキンジは、メダルによるコンボチェンジで対抗した。
『担々麵! ジャージャー麵! トルティーヤ! タ~ジャ~トル~!』
ウエスタンな忍者の背中から鳥の羽のようなものが生え、空中からソードガンを連射。双方、一定の距離を保ちながら激しく撃ち合っている。
「まだまだ行きやすよ!」
続けて「刺身! ゴーヤチャンプルー! 雑煮! サゴーゾ!」と音声が鳴ったかと思えば、ロリーニンジャーの両腕がゴリラのようにマッチョになった。タジャトルコンボの効果による羽が消え、急降下すると同時に、強烈なパンチをロボ次元ライダーへお見舞いする。
「ぐああっ。……あれ? もしかして貴様のフォームの数、俺よりも多い?」
「フォームチェンジなら負けやせんよ!」
ロリーニンジャーの所持している不思議なメダルは、変身者が食べたもののパワーを反映する。なお、メダルを開発したチョーカーが、このような使い方を想定していたのかどうかは定かではない。
「『リボル・ブラコン・クラッシュ』!」
「『激推し・ライトニング・ロリスター』!」
お互いに必殺技を放つも、威力はほとんど互角、なかなか決着がつかない。二人のバトルは、もはや何でもありの様相を呈してきた。
「この人たち、まだやってたのね」
「いつまで続くんでしょうねえ」
BL警察本部。休憩室でテレビ中継を見ながら、ツカサとサクヤはぼやいた。アメリカのヒーローも、何だか大変そうだ。
次元四天王を倒しても敵の攻撃が完全になくなったわけではないため、近頃では市民たちから不安の声も相次いでいる。一刻も早く高次元生命体の脅威を取り除き、平和な世界を取り戻さなければならない。
「二人ともお疲れ様」
そこに、ケイイチロウも入ってくる。彼の後ろには五人の若者が控えていた。
「ケイイチロウ、その人たちは?」
顔立ちはアジア系だが、見たことのない奇妙なデザインの服を着ている。もしかして外国からの観光客で、道に迷ったのだろうか。
「紹介しよう、彼らは……」
ケイイチロウが説明しようとしたのを、五人のリーダーらしき、赤い服を着た青年が手で制した。
「初めまして。俺たちは『超新星・ピュアッシュマン』。幼い頃に高次元生命体にさらわれ、大魔王が支配する世界で生まれ育ったんだ」
「えっ?」
「ん?」
ツカサとサクヤはぽかんとしてしまった。というか、今耳にしたことが信じられなかった。
五人は順にジン、ダイ、ブン、サラ、ルーと名乗った。なお最初の三人が男性、あとの二人が女性、リーダー格が赤い服のジンである。
彼らの話を要約すると「ある日地球から、五人の子供が宇宙の果てにさらわれた。そして、二十年後……」というわけだった。子供のときに高次元生命体に誘拐された五人は、次元四天王が倒されて警備体制が緩くなった隙を突き、ようやく地球へ帰ってくることができたのだ。
「ということは、高次元生命体は二十年も前から地球侵略を企んでいたの?」
ツカサが目を丸くする。
「そうさ。奴らは俺たちを誘拐して、地球人のサンプルとして研究していた」とダイ。
「本当に気の長い侵略計画だよ」と、肩をすくめるブン。ちなみに、ダイが緑色、ブンが青色の服を着ている。
「でも、あなたたちが四天王を倒してくれたおかげで、私たちは無事に故郷の星へ帰ることができた」
「高次元生命体から盗んできたテクノロジーで、これからはあなたたちと一緒に戦うわ!」
黄色い服のサラ、桃色のルーが嬉しそうに話す。彼女たちの手首には、ブレス型の変身アイテムが装着されていた。ゴークイーンズが使用していたものよりも、さらに小型だ。
「ダメですよ。危険すぎます。俺たち警察官はともかく、一般人を戦いに巻き込むのには賛成できません」
休憩室の椅子から立ち上がり、サクヤが抗議した。
「――お願いします。俺たちに戦わせて下さい!」
一方でリーダーのジンは深く頭を下げ、頼み込んだ。
「二十年前に俺たち五人を誘拐した高次元生命体が、今は地球に生きるすべての人々を狙っている。戦う力があるのに、黙って見ているなんてできません。……俺たちが地球へ帰ってきた理由は、故郷へ帰りたかったからってだけじゃない。奴らの企みを阻止し、俺たちと同じ思いを二度と誰にもさせないためでもあるんです!」
彼の言葉に嘘はないように思えた。地球に帰還し、生き別れた家族ともう一度会いたいという気持ちももちろんあるだろうけれど、第二の犠牲者を出さないために戦う志は立派だ。
「しかし、警察には警察の規則があって」
「そこを何とかお願いします!」
しばらくの間、サクヤはジンと議論した。が、結局は彼の熱意に負けて押し切られてしまった。
こうして、超新星ピュアッシュマンと警察戦隊BLレンジャーは、次元大魔王を倒すために協力関係を結ぶこととなる。
今回、ご迷惑をおかけした作品
・フラッシュマン