百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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21 4人のエースと黒ギャル

 とりあえず今回の一件で、フィリーレンは人間界と超次元界を行ったり来たりして、両方の警備を担うことになった。電話屋のヤンデレンワニに電話すればBLACON・SUNに繋いでもらえ、ゲートを開けてくれるそうだ。

 無論、濡レドランはそんなことは知らない。が、レジスタンス側が何の対策も講じずに大人しくしていると楽観するほど、馬鹿でもない。

 

「……この辺りで、戦力を増強しておくとしましょう」

 

 超次元界の外れをうろついている、薄汚れた身なりの女に目を付けた彼は、ゲートを開き降り立った。付近にはほとんど草木が生えておらず、人間界の砂漠に近い地形が広がっている。

 

 

「そこのお前。力が欲しくはないか? 私なら、お前が欲しがっているものを与えることができるぞ」

 

 女は怪訝そうに怪人を見つめた。

 

「はあ? あーし、あんたみたいに胡散臭い奴の言うこと、信じられないし」

「そうか。ならば……」

 

 濡レドランは懐から、一枚の原典回収用カードを取り出した。そこから、黒い九尾の狐を象ったような形状のバックルと、ドライバーを実体化させる。

 

「これで信じてもらえるだろうか。私はお前に、この変身アイテムを授けようと言っているのだよ」

「……お前って呼ぶなし」

 

 

 ブツブツ言いつつも、ギャルっぽい口調の女は素直にバックルとドライバーを受け取った。

 

「では、名前で呼ぼせてもらおうか。お前の名は?」

「メラ・メロンパン」

「……は?」

「だからメラ・メロンパンだって言ってるし!! あ、あーしだって、自分の名前が変なことくらい知ってるし! だから恥ずかしいんだし!」

 

 かあっと頬を赤く染め、ギャルは俯いた。肌は浅黒いが、赤面しているのがはっきり分かる。

 ギャルみたいな言動だけど、反応はうぶだ。メイクもろくにしていない。ギャルへの憧れを持ちながらも、事情があって理想の姿へなれていないのだと推測される。その推測を胸に、濡レドランは語りかけた。

 

 

「メラ・メロンパン。私の下でともに戦ってくれるのなら、理想の自分になる手助けをしてやれると思うのだが。一緒に来る気はあるか?」

「あるし!」

 

 はたして、女は力強く頷いた。

 

「あーし、こう見えて、ゼニスの体内に囚われてたし。いわゆる『ミレニアムズ』のうちの一人なんだし。けど、露鬼みたく武術に秀でてるわけでもないし、クヴァルみたく魔法を研究してるわけでもないし。全くの凡人だし。ゼニスをぶっ殺せるくらいの強い力が欲しいのに、あーしには何にも取り柄がないし! そんな自分がすっごく嫌いだし!」

「……そうだったか。打ち明けてくれてありがとう」

 

 

 おそらくメロンパンは、ギャルが草食系男子にデレる感じの、最近よく見かけるあれ系のアニメ・漫画の原典くらいしか所持していないのだろう。だから、戦闘には全然向かない。

 千年間幽閉されていて突然解放されたから、所持金がなく、メイクにお金をかける余裕もない。本当は思いっ切りギャルメイクをしたいのに、できない。性癖は「黒ギャル」――大方そんなところだろうと、濡レドランは見当を付けた。

 ひょっとすると、名前が変てこなのも、千年前のセンスで名付けられたからだろうか。

 

「では、今日からは『神殺しのメラ・メロンパン』と名乗るがいい。その原典を使えば、神を殺すことも夢ではないぞ」

「えっ、マジ?」

「マジだ」

 

 黒い狐のバックルを指差し、怪人が説明する。

 

 

「そのアイテムで変身した形態は、素の戦闘能力が非常に高い。さらに、相手の力、知恵、運を吸収し、残りカスのような状態にして弱体化させる力も備わっている。これを使えば、どんな相手も怖くはないさ」

 

 超次元ライダーをピンポイントで潰すためにフレッドに使わせた「フィーバーゾンビフォーム(フェチ神)」には、対戦隊の戦績が悪いという難点があった。ならマルチに立ち回れる原典の方が良いと判断し、濡レドランは今回の原典を提案したのだった。

 

「や、やってみるし」

 

 恐る恐るドライバーへバックルをセットし、回転させるメロンパン。

 

『REVOLVE ON』『ダークネス・ブースト! クロス・ギャール!』

 

 

 黒い九尾の狐が現れて彼女の周りをぐるぐる駆け回ったかと思うと、狐の肉体がアーマーへと変換される。頭部など随所に狐の意匠を残し、黒をメインカラーとし青のラインが入った戦士へと変わった。

 外見はほぼ原作通りだが、胸のアーマーに透明感があり、変身者の素肌が一部見える。これは「黒ギャル」性癖を反映し、胸元の開いた衣装をイメージしているのだろう。また、両手の爪にはネイルアートをしており、ちょっとけばけばしい感じだ。

 

「わあっ! これがあーし⁉ ウケるし!」

 

 きゃっきゃっと喜んでいるメロンパンを横目に、濡レドランはほくそ笑んだ。

 

「気に入っていただけたようで何よりですよ。……さっそく、『仕事』の話に移りましょうか」

 

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