百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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25 濡レドランは二度死ぬ

「これが濡レドランの隠し持っていた原典か。素晴らしいな」

 

 爆発の直前、彼の体から抜き取っていたのだろう。両手に収まらないほどたくさんのカードの束を抱え、SUNダールはご満悦だった。きっと、あの一枚一枚に原典が封印されているはずだ。

 

「あとはLサイズの箱だけだ」

 

 濡レドランが取り落とした、円筒形の箱を拾おうとする鮫怪人。しかし、それよりも僅かに早く、ナオヤがBLディフェンダーで箱を撃った。

 

「……仲間割れに時間を食いすぎだぞ、SUNダール」

 

 元より、Lサイズの箱は原作で偽物が登場していることもあり、強度やキャパシティーはあまり高くない。銃弾を連続で同じ箇所に当てられた箱は、耐久値がゼロになったかのように粉々に砕けてしまった。

 

 

「しまった⁉」

 

 破片が飛び散る中、奪われた警察手帳型アイテムがカイリたちの手元へ戻ってくる。さらにヤンデレキラーも解放され、アスファルトへ危なっかしく着地した。

 

「やっとシャバの空気を吸えたぜ。濡レドラン、よくもこの俺を封印してくれたな……って、いない?」

 

 辺りをきょろきょろ見回している白い戦士に、トウマとウミカが「もう濡レドラン倒されたぞ」「Lサイズの箱も破壊したよ!」と教えてあげた。

 

「何だと? じゃあ俺は一体、誰と戦えばいい。LFOの連中は近くにいないのか?」

「あいつだ」

「あいつだよ!」

 

 二人が指差す先にいたSUNダールは、冷や汗をかいていた。Lサイズの箱を粉砕されたことで、形勢は逆転しつつある。

 

「そうか。分かった!」

 

 ヤンデレキラーは二つ返事で頷くと、羽ペン型の短剣を召喚した。虚空にペン先を走らせ、無数の光の矢を生成、高速射出する。

 

 

「くっ⁉」

 

 SUNダールは自在縄ではたき落とそうとしたが、迎撃が追いつかない。何発かを胴に受け、後退した。

 

「――エマージェンシー! 百合・BLレンジャー!」

 

 そこへ、VS・スワットモードを取り戻した戦隊たちが立ちはだかる。カイリとナオヤを除く面々が大型マシンガンを構え、照準を鮫怪人へ合わせた。

 

「ストライク・アウト!」

「百合拳・ライトニングフィスト!」

「BL・ベガスラッシュ!」

 

 破壊光弾の雨あられに加え、カイリがブレスを装着した右腕で叩き込むパンチのラッシュ、ナオヤが高速移動して放つ一閃を浴び、さすがのSUNダールもダメージを負ったようだ。

 

 

 とどめとばかり、裕介と美明日も畳み掛ける。

 

「『オメガ天衝』!」

『ネトルティ・パーフェクトフィニッシュ!』

 

 黒く巨大な斬撃と、黒緑の必殺ビームが乱れ飛んだ。鮫怪人は舌打ちし、ゲーミングキーボードみたく光るゲートを背後に展開した。

 

「……やむを得ん、一時撤退だ。濡レドランを倒すという当初の目的は達成したことだし、ひとまずはこれで良しとするしかあるまい」

 

 そして扉の中へ吸い込まれ、間一髪で二人の必殺技から逃れた。

 

 

 その頃、メラ・メロンパンは残りカス同然になった零騎士をこてんぱんにしていた。

 ヒョウガにはまだ戦う意志こそ残っているが、何と言うか動きがふにゃふにゃしていてキレがないし、筋力も大幅にダウンしているようだ。おかげで回避も楽々で、メロンパンはカウンター気味に剣で突いたり斬ったりしているだけで追い詰めることができた。

 

「はーっはっは! さすがのあんたでも、そろそろ限界だろうし! 力も知恵も運もなければ、勝ち目ないし! 諦めろし!」

「断る。力よりも、知恵よりも、運よりも強いものが、俺には……いや、俺たちにはあるからな!」

 

 けれども、やはり零騎士の闘志は燃えている。

 

「何よりも強いのは、心だ。俺たちがバラバラに願うなら、LFOの野望は止められないかもしれない。でも、皆で一つになって願う心があれば、俺たち皆でなら叶えられる。俺たち皆で、理想の世界を!」

「なら、その心ごとぶっ壊してやるし!」

 

 

 第二ラウンドへ突入するかと思われた一対一の決闘は、遠くから濡レドランの悲鳴と爆発音が轟いたことで中断された。仮面の下で唖然とした表情を浮かべ、メロンパンが上司のいる方へ振り向く。

 

「え、濡レドラン死んだし……。SUNダール裏切ったっぽいし。あーし、どうすればいいんだし⁉」

 

 自分をスカウトしてくれたのは濡レドランだ。いずれ復活するようだし、彼の側に付き続けるべきな気はする。

 だが、SUNダールだってLFO三英雄の一人で、自分の上司であることには変わりない。もしここで「よくも濡レドランを~!」とSUNダールに飛びかかっていったら、彼から大幅減点を食らったり、最悪、粛清されたりするかもしれない。「落第~!」「赤点~!」と言われて、赤いハンコを押されるだけでは済まない可能性大である。

 

「と、とりあえず、今日はこのくらいにしてあげるし!」

 

 濡レドランとSUNダールのどっちに味方するか決めかねた挙句、メロンパンは結論を保留にした。例のゲーミングぽいゲートを生成し、戦線離脱する。

 

「助かった……のか?」

 

 何が起こったのかよく呑み込めていないヒョウガは、怪訝そうに変身を解いた。

 

 

 SUNダールの裏切りで、Liberation From Origin、略してLFO内部に一波乱が起きた。はたして、SUNダールはその企み通りに高次元生命体の復権を果たせるのだろうか? そして、濡レドランはいつ復活するのか? 彼が復活するまでの間、LFOを率いるのは誰なのか?

 次の展開がどうなるのか、予想がつかない。

 戦え、百合レンジャー! 頑張れ、BLレンジャー! 敵組織が仲間割れしているときは、チャンスでもあるぞ!

 




※次回の更新は1週間後の予定です。
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