百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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49 目の前に広がる楽園!

 一方で美明日は、触手が近づいてきた瞬間、ネトルと分離していた。

 

「二手に分かれるわよ、ネトル! バラバラに逃げれば、きっとどちらか一人は逃げ切れるはずだから……ひあっ⁉」

「馬鹿ね、言ってる側から完全に捕まっちゃってるじゃない……って私も⁉」

 

 大学で講義をしに向かう途中で現場に来たので、今日の美明日はパンツスーツ姿。彼女をコピーしているネトルも同じだ。そのパンツスーツの内側にまで触手は侵入し、ぬらぬらとした吸盤をあんなところやこんなところに貼りつけた。

 

「ら、らめえっ……」

 

 顔を火照らせ、あられもない格好になった二人は、目を潤ませていた。

 

 

「んっっっ⁉⁉⁉♡♡♡」

 

 特にネトルは、サイボーグの濡レドラン戦で一時的に感度を上げた後遺症がまだ残っているのか、反応が大変よろしい。体を痙攣させ、強制的に与えられる快感に震えている。

 

「頑張って、ネトル。私と同じ顔でアヘ顔なんかされたら、私の名誉に関わるわ。頑張って耐えて……んっ⁉♡」

 

 ネトルが悶えだして間もなく、美明日も明らかに感度が上がった。

 普段から一つの体を共有している二人は、五感もその一部が共有される。ネトルの味わった快感が伝播し、美明日もとうとうクールビューティーの仮面を脱がざるを得なくなった。

 

「だ、ダメえっ♡ 早川君、私たちのこんな姿、見ないでっ♡」

 

 

「ああんっ♡」

 

 聞き覚えのある悲鳴がしたので、ヒョウガは触手に持ち上げられたまま、恐る恐る首だけで振り向いた。

 

「さ、サヤさん⁉ 何でこんなところに??」

「あっ、ヒョウガくんやあ」

 

 ひらひらと手を振り、サヤは狐見たいに細い目をより細めて笑った。自分たちと同じように拘束されている。

 

「LFO絡みで最近大変そうやから、皆さんに差し入れしよかな~と思って、近くを通りかかったところやったんやけど……な、何なん、これっ♡」

 

 豊かな膨らみに食い込んだタコ足が、スカートの中へ潜入したイカ足が、吸盤で強烈な吸い付きを見せた。百合・BLレンジャーで一、二を争うプロポーションの美女(サヤに対抗できそうなのは松本・オリジン・お菊くらいしかいない)の彼女が快感に悶える様は、それはそれはもう色気たっぷりである。

 

 

「あんっ♡ そんな、奥まで入り込まんといて……あああっ♡」

「大丈夫ですか、サヤさん⁉ す、すぐ助けます!!」

 

 危うく鼻血が出そうになったがどうにか耐え、ヒョウガは自らの拘束を解こうともがいた。思ったよりも締め付けは緩く、拘束箇所によってはあっさり外れてくれる。

 感覚としては、遊園地の絶叫系アトラクションの安全バーを上げるようなものだろうか。あれくらい、すんなり外れてくれた。

 

(そうか、分かったぞ。「触手プレイ」性癖は本来、女性に対して行われることがほとんどだ。サヤさんたち女性には効果抜群だとしても、俺たち男性には大した拘束力がないのかもしれない)

 

 男性が触手の餌食になる系の作品もあるにはあるけれど、それはBLジャンルの中の一部だろう。実際、「触手プレイ」「触手責め」などのワードで検索してみると、検索結果のおよそ9割では女性が触手にやられている。

 だとすれば、まずは男性陣が脱出し、変身して女性陣を救出するのがベストだろう。そう考え、ヒョウガは触手を振り払って着地した。

 

「聞いて下さい、先輩方! 『触手プレイ』は男性には効きにくいみたいです。俺たちが率先して動き、他の皆を助けましょう!」

「――待て、後輩」

 

 

 けれども、カイリは腕組みをしたままで動かなかった。逆さづりにされたまま腕組みしているので、蝙蝠がぶら下がっているように見える。なかなかシュールな光景である。

 彼はフッとニヒルな笑みを浮かべ、言った。

 

「もう少しだけ、眺めていようぜ? 目の前に広がる、この楽園をな」

 

「美明日とネトルがあんなことに……夢を見ているみたいだ」と、裕介も聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟いた。彼もまだ捕まっている。美明日たちは「見ないで」と訴えているにもかかわらず、欲望に負けてガン見してしまっていた。

 

「馬鹿なことを言っていないで、早く助けるぞ!!」

「そ、そうですよ! 別に未練なんてありませんからね! 別に!」

 

 ちょっと名残惜しそうなケイイチロウとサクヤに急き立てられ、彼らも「はーい」と仕方なく承諾。トウマやナオヤとともに拘束を破って飛び降り、着地した。

 

 

「怪盗チェンジ!」

「警察チェンジ!」

「『BLファイヤー』!」

「インストール、『オメガ珈琲シルバー』!」

「騎士転生!」

 

 一斉に変身し、各々の武器からビームを発射する。そして触手を焼き払い、女性たちを拘束から解放した。

 

「サヤさん!」

 

 抱き止めた恋人の顔を覗き込むと、彼女は頬を赤らめ、呼吸を荒くしていた。

 

「す、すごかったわあ、あの触手。うち、もうお嫁に行けんかも」

「俺は気にしないので、大丈夫ですよ。……いや、その、別に俺がサヤさんを嫁に貰いたいとか、そういうあれじゃなくてですね? 今のは勢いで言っちゃったというか、物のはずみというか」

 

 台詞の途中で周囲から生温かい視線を向けられたため、零騎士は慌てて軌道修正した。後の祭り、とも言う。

 

 

 救出後、美明日はネトルと再び一体化した。しかし、それが良くなかった。二人の経験した触手の感覚が一部共有され、足がガクガク震えてしまうレベルの快感の余波に襲われたからである。

 

「ご、ごめんなさい、早川君。私、今日は役に立てないかもしれないわ……あううっ♡」

「あ、謝ることねえよ。俺の方こそ、さっきはついガン見しちゃって悪かった」

 

 お互いに、若干の気まずさを覚える。

 

 

 微妙な空気が流れる中、ツカサはわざとらしくパンパンと手を叩いた。

 

「さあ皆、切り替えていくわよ! 『触手プレイ』性癖の攻略法は分かったわ。せっかく男女別になったんだし、こっちも百合&BL性癖のパワーを解放して、反撃よ!」

「お前、さっきまであんなに可愛い声出してたのに、今となっちゃ面影もないな。アンコール、それアンコール」

「誰がアンコールするかっ!!」

 

 カイリを怒鳴りつけ、ツカサはウミカとともに変身。同性の彼女とタッグを組むことで性癖の真の力を発揮し、攻撃力を底上げした。

 

「しょうがない。俺たちも行くぜ!」

 

 カイリとトウマ、ケイイチロウとサクヤでペアを組み、彼女たちのように攻撃力をアップさせる。パワーをみなぎらせた六名は、「VS・スワットモード」を起動した。

 

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