百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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54 思わぬ反撃

「……うおおおおおっ!」

 

 近づいてくるのは、大勢の足音。触手プレイ性癖の攻撃から退避していたはずの一般市民たちが、百合・BLレンジャーを庇おうと駆けてきたのである。

 普通なら、あり得ないことだ。怪人の攻撃を生身の人間が受けたりしたら、下手をすれば命を落とすのだから。そこまでしてヒーローを助けようという酔狂な輩は、なかなかいないだろう。

 けれども、今回に限っては事情が異なる。濡ラジラの投げたカードは、触れた対象の持つ原典を内部に吸収、封印する作用を持つ。したがって、これといって強力な原典を有していない一般人に当たったところで、痛くも痒くもないわけだった。

 

 

「百合・BLレンジャーは、いつだって俺たちのことを守ってくれた!」

「そうだ! 虚無英雄会みたいな人たちの方が、むしろ少数派なんだ!」

「今度は私たちが、彼らを助ける番よ!」

「元々奪われるような物がない僕たちからは、何も奪えないはず。恐れていてはダメだ! 悪を遮る壁になれ、皆!」

 

 両手を広げて立ち塞がった市民たちが、濡ラジラのカードを受け止める。当然ながらカードは何の反応も示さず、ぽとりと虚しく地面に落下した。

 

「……よ、余計な真似を。あと少しで、戦隊どもを完全に無力化できたというのに!」

 

 さすがに民衆の助太刀は予想外だったらしく、濡ラジラも狼狽している。それを誤魔化すかのように、戦隊の方を向いて煽った。

 

 

「だが惨めだな、百合・BLレンジャー。守るべき対象である市民から逆に守られるとは、みっともないことこの上ない!」

「分かってねえな、濡ラジラ」

 

 カイリが不敵に笑う。

 

「皆に応援されて立ち上がるヒーローってのは、いつの時代も王道オブ王道なんだよ!」

「立ち上がるだと? 馬鹿な。どこにそんな力が残っているというのだ。邪魔な一般人ごと消し飛ばしてくれるわ!」

 

 しかし、堕天使の言葉に反し、戦隊たちは渾身の力を振り絞って再起してみせた。皆、肩で息をしているが、闘志の炎はまだ燃え盛っている。

 よく見ると、市民の中にはコウ少年もいた。かなり久しぶりの登場だ。しきりに「頑張れ、ツカサお姉ちゃん!」「おっぱいは小さいけど頑張れ!」と叫んでいる。あのガキ、後で説教しておかなければ。

 もちろん、その他の人たちは普通に声援を送ってくれている。どんどん力が湧き上がってくるのを感じ、ツカサは凛として言った。

 

「皆の応援が、あたしたちに力をくれる。だから何度だって立ち上がって、絶対にあんたを倒す! 行くわよ、皆!」

「おうッ!」

 

 再びVS・スワットモードを装着し、百合・BLレンジャーは濡ラジラとの最後の戦いに臨んだ。

 

 

「くだらん。何度やっても結果は同じだ」

 

 そう吐き捨て、翼からの光線で一気に蹴散らそうとした濡ラジラだったのだけども。

 

「皆、戦隊を助けるんだ!」

「よっしゃ!」

「任せて!」

 

 市民たちが封印カードを拾い上げ、手当たり次第に堕天使へ投げつけ始めたので、さあ大変。濡ラジラは情けない悲鳴を上げ、必死に逃げ惑った。

 

「よせ、愚民ども! や、やめろおおおおおっ⁉」

 

 完全体になった濡ラジラの運動能力は、そこら辺の一般人を凌駕している。ゆえに反射神経もかなりのもので、投げつけられたカードの五割は回避に成功した。

 裏を返せば、残りの五割は命中したということでもある。実はこのカード、「ターゲットに当たりやすいように」と濡ラジラ自身が照準補助機能を組み込んでいたのだが、完全に裏目に出てしまった。策士策に溺れる、とも言う。

 

「やめろ。私が地道にコレクションしてきた原典たちを奪うな⁉」

 

 命中と同時に、カードは濡ラジラが隠し持っていた原典を次々と封印していく。彼の持っているカードから市民の投げたカードへと、中の原典が移動していくような感じだった。そして移動が完了すると、投擲されたカードは市民の手元へ戻る。

 あっという間に、濡ラジラは保有していた原典のうち大多数を奪われてしまった。

 

 

「……これは」

 

 コウ少年の手元にも、一枚のカードが戻ってきた。「王」と黒い文字で書かれており、何らかの原典が封印されているものと見える。

 

「僕に、戦う力をくれるのか?」

 

 コウはかつて、高次元生命体ベノムに唆され、ショタレンジャーへ変身して悪事を働いたことがある。あれからずいぶん経ち、当時小学四年生で十歳だった彼も、もう五年生になろうとしていた。

 

(――ともに戦おう。六億年の時を超え、自然を、地球を命を賭して守る覚悟があるのならば)

 

 カードの意志が、まるでテレパシーのように脳内へ流れ込んでくる。少年は力強く頷いた。

 

 

「……お母さんを早くに亡くしたからか、僕はどこか、女性に対して母性を求めるところがあった。おねショタ趣味に走っちゃったのも、それが一因だと思う。けど、僕はもう二度と、自分の趣味のために他人に迷惑をかけないよ。ヒーローと約束したからね!」

 

 コウの左手首に、ブレス型の黒い変身アイテムが装着された。

 

「僕のお母さんは、東京卍帝国の抗争に巻き込まれて命を落とした。この世から争いをなくすために、僕は戦う! 『超力変身』!」

 

 少年は光に包まれ、黒のスーツに金のアーマーを纏った戦士に変わった。マスク部には「王」の字の形のアイレンズが備わっており、全体的に古代文明モチーフである。

 

「な、何だ、お前は⁉」

 

 奪われた原典で変身までされてしまい、もはや濡ラジラの計画は崩壊寸前だった。たじろぐ堕天使に、コウは腕組みをしてみせた。それから腕を広げ、腰を落としてポーズを取る。

 

「僕の名は……『キング・ショタレンジャー』!」

 




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・バイオマン
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