百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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55 ショタ颯爽登場

「キング・ショタレンジャーだと? この期に及んでまだ追加戦士を出すとは、往生際の悪い奴らめ」

 

 濡ラジラはコウへサーベルを向け、電撃を射出した。子供相手でも容赦する気はないらしい。

 

「ヤアッ!」

 

 対してキングは高くジャンプすると、華麗に電撃をかわした。背後で爆発が起こる中、洗練されたフォームで跳び蹴りを繰り出す。キックは天使の胸部に命中し、軽く後退させた。

 

「なぜだ。こんなガキの攻撃が、私の卓越した肉体にダメージを刻んでいるだと⁉」

 

「それはきっと、僕の性癖のせいさ」と、キング・ショタレンジャー。

 

 

「僕の『おねショタ』性癖の能力は、『タイプのお姉さんが付近にいるとき、どのくらいタイプかによって、打撃攻撃をパワーアップさせる』というもの。Aカップのツカサお姉ちゃんはまあ論外としても、あっちのお姉さんはすごくタイプだったからね!」

 

 彼の視線の先にあるのは、サヤだった。なるほど、少年は巨乳好きらしい。道理で、ツカサと交戦したときは性癖の能力が発動されなかったわけだ。

 

「だからAじゃなくてBあるってば!! ていうか久々ねこのやり取り⁉」

 

 そこへ、怒りの雄叫びを上げながらツカサも突っ込んできた。VSリボルバーをぶっ放して濡ラジラを追い詰めつつ、キングの隣へ駆け寄る。

 

「一緒に戦うわよ、コウくん!」

「うん!」

 

 BLエックスはマシンガンへエネルギーを充填し、コウは「王」の文字が先端に付いた杖を召喚した。その文字部分へ破壊エネルギーを溜め、撃ち出す。

 

「『ストライク・アウト』!」

「『ショタ・ビクトリーフラッシュ』!」

「うわ~っ⁉」

 

 二人の同時攻撃を受け、濡ラジラは思わぬ後退を強いられた。

 

 

「……思い上がるなよ、小僧!」

 

 何とか吹っ飛ばされずに踏みとどまった濡ラジラ。お返しとばかり、翼から全方位へ光線を乱射した。ツカサとコウも、他の面々も、市民を守りながらわたわたと逃げ惑う。

 

「お前の原典と性癖はそこそこ強力だが、やはり戦闘経験が足りなさすぎる。私とは生きてきた時間の重みが違うのだ!」

 

 防戦一方になった戦隊たちを見下し、天使は高笑いした。けれども、不意に殺気を感じて笑みを引っ込める。

 

「何っ⁉」

 

 振り返ればそこには、重い剣を引きずって歩いてくる男がいた。顔には目立つ傷痕がある。

 そう、ダレンである。

 

 

「お前たちレジスタンスは、完膚なきまでに叩きのめしたはずだ。なのに、どうして⁉」

「――私に質問するな」

 

 原典の影響で、ダレンはまともに質問に答えなくなっている。入院しているはずの彼に代わって説明すると、こうだった。

 レジスタンスや戦隊の仲間たちが散々痛めつけられたことで、彼の性癖「死体嗜好症」の効果が僅かながら起動。体に受けた傷にオートで処置を施し、また戦えるまでに回復した。

 さらに、彼に気づいた親切な市民が「あの、これどうぞ! 良かったら使って下さい!」と差し出した封印カードを受け取り、元々所有していた原典のうち一つを取り戻せたのである。

 

 

『ダレン!』

 

 アルファベットのⅮが描かれた、USBメモリ型アイテムを手に取る。それを軽く押し、ドライバーへ装填した。

 

「変……身!」

 

 バイクモチーフの赤い戦士へと変化したダレン。さらにストップウォッチ型の追加アイテムもベルトに取りつけ、スピード特化の身軽な青いフォームになった。

 そのストップウォッチを放り投げ、ダレンは高速移動を開始する。避ける暇を与えず、目にも止まらぬ速さで濡ラジラへ連続キックを叩き込んだ。

 

『ダレン・マキシマムドライブ!』

 

 やがて、落ちてきたウォッチを手で受け止め、呟く。

 

「……9.8秒。それが貴様の、絶望までのタイムだ」

「ぐあああっ⁉」

 

 一拍遅れて、濡ラジラの皮膚からいくつものスパークが乱れ飛んだ。

 

 

 現在のところ濡ラジラは、勇気ある市民たちによって封印カードを逆用され、急遽参戦したキング・ショタレンジャー、かろうじて復活したダレンによって痛手を受けている。本当に踏んだり蹴ったりだ。

 

「……まずい」

 

 さらに悪いことに、懐を探ったところ、入墨ドウコクから回収したはずの原典のカードがない。まさか、あれも市民たちが投げたカードに吸収されてしまったというのか。これでは新形態への復活は叶わず、事実上「救世主の濡ラジラ」が最強にして最後の形態になってしまう。

 包囲網を徐々に狭めてくる戦隊たちを睨みつけ、堕天使は「おのれ」と悪態を吐いた。

 

「新型の高性能ゲートも、封印のカードも、すべて私の天使としての創造能力で生み出したものだ。いわば、天からの授かり物だったというのに。それを使って渡しに反逆するとは、舐めた真似を!」

「濡ラジラ! 天使の力を自分のためにしか使おうとしない限り、お前は俺たちに勝てないぜ!」

 

 カイリが言い返した。続いて、ツカサも叫ぶ。

 

 

「あんたはLFOのメンバーを利用する一方で、入墨を除き、誰からも信頼されていなかった。人間界と超次元界の皆と一緒に戦っている私たちは、あんたなんかに絶対負けない!」

 

 二人は推し推しカノンを召喚した。そこへケイイチロウたちも駆け寄り、VSチューナー、エックスチューナー、BLディフェンダーを左右に合体させる。

 

「完成! 『百合&BL・ネクサス・ビッグバンバスター』!」

 

 次元大魔王との決戦で一回、ノン・プリシャスとの戦いで一回だけ使用した、レアな合体技である。しかも今回は、オメガ珈琲シルバーの珈琲サイブレードを上部に、零騎士のゼロライアットを水平にして下部に追加合体することで、より強力になっている。

 おまけに、キング・ショタレンジャーの杖も上部にドッキングした。VSリボルバーもくっつけたいが、そこまでするとさすがに重量がヤバすぎて持ち上げられない。この辺が限界だろう。現時点でもなかなかにゴツく、大きく、見る者を圧倒する必殺武器だった。

 

 

「……ええと、名前は『百合&BL・ネクサス・ネオビッグバンバスター』にしようかしら?」

 

 新しい技名を考えているツカサに、濡ラジラが「そんなもの、どうでもいいわ!」と大真面目にツッコむ。

 

「戦隊どもめがあああああっ!」

 

 怒り狂い、白い翼を大きく広げた。そこから、堕天使は眩しい光の奔流を解き放たんとする。

 

「救世主の濡ラジラ!」

 

 雄大なバズーカ型武器を片腕で支えながら、カイリはもう片方の腕で警察手帳型アイテムを開いた。相手へ見せつけるようにそれを突き出し、宣言する。

 

「ゼニスによって造られた、他の天使たち二体の殺害! 及び、人間界、超次元界、高次元界の大勢の命を奪った罪! Liberation From Origin、略称LFOのメンバーであろうとお構いなしに利用し、搾取し、弄んだ罪! そして三つの世界を滅ぼし、独善的な再創造を企てた罪で、ジャッジメントだぜ!」

 

 

 ほどなくして、警察手帳へ赤い×印が浮かび上がった。

 

「デリート許可よ!」

 

 ツカサが頷き、バズーカを構えた。

 

「「『百合&BL・ネクサス・ネオビッグバンバスター』(仮称)!」」

 

 一同は声を合わせて唱え、必殺の超合体武器から虹色のビームが放たれた。七色の光は濡ラジラが放った光線と一瞬だけ拮抗したのち、すぐに競り勝った。天使の攻撃を圧倒し、その体を貫通する。

 




※次回の更新は1週間後の予定です。
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