百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

384 / 394
56 見よショタの要塞

 皆の百合・BL性癖やらヒョウガの「年上好き」性癖やら、諸々のバフが全部乗せになった状態でぶっ放されているので、このバズーカ技、見た目以上に凄まじい威力だったのである。

 

「……我が真紅の流出を以て、白き世界を覆さん。以下省略。」

 

 やや後方に控えていたフィリーレンも、「HPを半分くらいまで回復させる魔法」で持ち直していたらしい。グロくない方の爆裂魔法のお出ましである。

 

『エクスプロージョン・ナウ!』

 

「百合&BL・ネクサス・ネオビッグバンバスター(仮称)」が炸裂した直後、体をビームに貫かれた濡ラジラを大爆発に呑み込ませた。

 

 

「やったか⁉」

 

 ケイイチロウがフラグを立てたせいではないだろうが、爆炎の中から濡ラジラは、巨大化した状態で姿を現した。単眼の虫を自身に使い、無理やり巨大化したのである。

 

「たとえ復活はできずとも、巨大化なら可能だ。捻り潰してやろう!」

「そうは行くかよ!」

「ボイスフォーメーション、BLレックスロボ!」

「『騎獣合身』!」

 

 カイリたちはさっそく、百合&BLカイザーを合体完了させた。ナオヤはBLレックスロボを遠隔操縦し、ヒョウガもゼロタウラスとなって挑む。なお、裕介の来部ボクサーは二人乗りなので、美明日の体調が万全でない今は搭乗を諦めた。

 三大ロボと対峙し、濡ラジラは何枚もの封印カードを懐から出した。

 

「こうなれば仕方ない。不完全な形ではあるが、今こそ再創造への一歩を踏み出すときだ。私が所有している全原典の力を使う!」

 

 

 市民たちによって奪われなかった、残りすべての原典のカード。それらを一度に解放し、解き放たれた光を自身の体内へと吸収した。

 すると、濡ラジラの肉体から起伏が徐々になくなり、顔ものっぺらぼうになってしまった。やがてそこに顕現したのは、無貌と酷似した姿の巨人。ただし、背中からは白い翼が生えており、頭上には黒い天使の輪が浮かんでいた。皮膚の色は、深みがかった青である。

 百合・BLレンジャーとの決戦でルーカスが変化した異形の化け物の、上位互換的存在だと思われる。のっぺらぼうの怪人は両手を突き出し、そこに黒い光のエネルギーを溜めた。

 

「消し飛ばしてやる!」

「――お姉ちゃんたち! 僕も戦うよ!」

 

 

 濡ラジラだったものが必殺の一撃を放とうとしたとき、彼の立っていた大地がところどころ陥没し、ぐらりと揺れた。「何事か」と皆が驚く中、大地の割れ目から金色のピラミッド型巨大メカが飛び出してくる。

 

「トウッ!」

 

 キング・ショタレンジャーはピラミッドへ素早く跳び乗り、コクピットへ収まった。

 

「これが僕の専用マシン、『ショタピラミッダー』だ。変形、『バトルフォーメーション』!」

 

 ショタピラミッダーが垂直に立ち上がり、ピラミッドの頭頂部に当たるパーツを展開させ、頭や腕といったパーツを露出させていくことによって巨大ロボへと変形する。そのサイズは例を見ないほどで、異形化した濡ラジラでさえも、遥かに仰ぎ見なければ全容を拝めないほどだった。

 

 

「皆、ショタピラミッダーの中へ!」

 

 コウの言葉に、ツカサたちは合点がいったように頷いた。何とこのロボ、背中に当たるところが一部空洞のようになっている。どういう作りなんだろうと最初は思ったけれど、おそらくこれ、別のロボを内部に収納するようにして合体するための機構なのだ。

 

「よーし、行くわよ!」

「全合体は男のロマンだぜ!」

 

 巨大な格納庫のようになっているショタピラミッダーの背へ、百合&BLカイザー、BLレックスロボ、ゼロタウラスが収まる。四体のロボットの力が一つになったとき、ショタピラミッダー・バトルフォーメーションの胸部へ超高熱・高圧の輝きが生じた。

 コウが使用しているこのロボは、バトルフォーメーションに関して言えば原典で無敗を誇る。敵を威容で圧倒して堂々と正義の鉄槌を下す、頼もしいスーパーメカだ。

 

 

「今度こそ終わりよ、濡ラジラ!」

「お前がどれだけ原典を集めたって、一つになった俺たちの絆の方が強いってことを、今証明してやる!」

「「『オール性癖・スーパーレジェンドビーム』!!」」

 

 まさに最終、究極の破壊力を秘めたプラズマビームが、金色の巨大ロボの胸部から勢いよく放たれた。

 濡ラジラも手のひらから黒い光を放って応戦したが、戦隊たちの合体攻撃には敵わなかった。完全に破壊力で負けており、間もなくプラズマビームを胸部に喰らって悲鳴を上げる。

 

「馬鹿な、この私が……創造主たる資格を持つ、この私があああああっ⁉」

 

 異形となった堕天使は力なく崩れ落ち、数秒後、大爆発した。

 入墨ドウコクの原典無き今、彼はもう復活できない。今度こそ本当に、偽りの救世主の最期であった。

 

 

 その頃、Bリアン女王は超次元界の自宅にて、せっせと怪人作りに励んでいた。

今誕生したのは、「B・デッドボーラー」。野球のグローブのような形の頭部を持ち、釘バットを武器として使用する。また、時速300kmの剛速球を投げるという特技を持っていた。

 

「こいつを人間界に送り込んで、イケメン選手がちやほやされる現在の野球を追放する。そして私はいつか、ブサイクな選手しか出場できない『B専野球』を作るのさ! アーッハッハッハ! ……ん?」

 

 怪人を人間界へ送ろうとして、女王は異変に気づいた。濡ラジラが与えてくれた新型ゲートが開けないのである。通常の、どこへ繋がるかランダム性の高い「どこへでも行けるドア」しか出てこない。今更だがこのゲート、名前の割にどこへでも行けない気がする。

 

 

「そうか。もしや、濡ラジラがやられたか」

 

 独り言ち、Bリアンはソファへ腰掛けてため息をついた。彼の死をさほど悲しんでいる様子はないが、一人のビジネスパートナーを失ったのはそれなりに残念に思っているようだ。

 

「LFOも、もうおしまいだねえ……」

 

 神妙な面持ちで、女王はキッチンに向かった。紅茶を淹れて飲んでみたら、ちょっと苦かった。

 

 

 新型ゲートが使えなくなったということは、濡ラジラが造った封印カードも同様である。カードに閉じ込められていた原典は解放され、前使用者の元へ戻っていった。入墨ドウコクのように前使用者が死亡している場合は、天高く立ち昇り、どこかへと漂っていく。

 

「おーい、フィリーレン!」

 

 原典を取り戻した露鬼とクヴァルが、ゲートを抜けて人間界へ降り立った。フィリーレンへ駆け寄り、笑顔で抱き合う。

 

「良かった。二人とも、元に戻ったんだね。」

「ああ。本当に良かった!」

「私たちだけではありませんよ。イセイナイトやヤンデレキラーも、全員無事です!」

 

 もっとも、フィリーレンは爆裂魔法を使った直後で、かなりふらふらだったのだけども。

 

 

 コウに力を貸してくれた原典は、もうしばらく一緒にいてくれるらしい。ロボから降りて変身解除してもなお、手首に巻いたブレスが消滅しなかった。

 

「よくやったな、少年」

 

 彼の肩を叩き、ヒョウガが笑いかける。

 

「……あ、一応言っておくけど、サヤさんは君にはやれない。ごめんな」

「いいよ、全然! 理想のお姉さんを探す僕の旅は、まだ始まったばかりだからね。旅の行き先がすんなり決まっちゃったら、つまんないじゃん」

「そ、そうか」

 

 ツカサたちも駆け寄って来て、「お手柄じゃない!」とコウと順番にハイタッチする。

 

 

「いやー、それにしても本当に良かったわね。一時はどうなることかと思ったわ」

 

 公衆の面前で脱がずに済んだ美明日が、胸を撫で下ろしながら皆と合流した。

 

「皆さん、お疲れ様やな~。せや、打ち上げ行かへん?」

 

 同じく貞操を守ることができたサヤが、ぱっと顔を輝かせる。

 

「うちが奢るから、遠慮せんでええんよ~」

 

「いやいや、サヤさんに全部出させるわけには!」と慌てるヒョウガ。「たまには良くね?」と、とことん自分に甘いカイリ。

 

 

 LFOとの戦いも、これにてついに幕を閉じた。元々結束力の弱かった組織ゆえ、濡ラジラの死後は自然消滅するのが定めだろう。

 ありがとう、百合レンジャー! お疲れ様、BLレンジャー! ゆっくり休んで、打ち上げに行ってらっしゃい!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定