BLエックスたちの一斉射撃を受けて、大魔王は僅かに怯んだ。
「チッ。やはり、7対1では分が悪いか」
杖を一振りし、地面に妖術をかける。生成された4体の泥人形がにわかに色彩を帯び、見覚えのある戦士たちの姿になった。
「では、7対5で第2ラウンド突入といこうじゃないか!」
ショタレンジャー(またの名をベノム)、ツンデレキラー、SSソルジャー、そしてエンダー強化体(セイヘキ・ザ・ワールド)――揃いも揃ってろくでもない名前の次元四天王たちが今、疑似的な復活を遂げたのである。
「おい、そんなのありかよ⁉ 反則だろ!」
「落ち着け。さすがの父さんでも、オリジナルと同じ戦闘能力を再現できはしないだろう。奴らはただのコピー体。もしオリジナルを再現できるのなら、今までの戦いで既に使っているはずだ」
情けない悲鳴を上げた百合エックスとは対照的に、BLファイヤーは冷静さを失っていなかった。
「それに、一度は倒した相手だ。攻略法は分かっている」
「一理あるな」
カイリは頷き、仮面の下で不敵に笑った。それから仲間たちへ振り向き、素早く指示を飛ばした。
「ショタレンジャーは俺とツカサが引き受ける。ツンデレキラーはナオヤ、SSソルジャーはケイイチロウとサクヤ、セイヘキ・ザ・ワールドはトウマとウミカに任せた。各自散開して、四天王の亡霊をぶっ飛ばすぞ!」
「おうッ!」
はたして、力強い声が返ってきた。
「――吼新星・乱れおねショタ!」
金色の鎧の戦士が、手のひらから強烈な衝撃波を繰り出した。それを横へ跳び退いてかわし、BLエックスと百合エックスが目で頷き合う。
「決めるわよ、カイリ!」
「ああ。俺たちの倒すべき敵は次元大魔王だ。こいつにかまってる暇はないんだよ! ……召喚、『推し推し砲』!」
金と銀のアーマーを装着した戦士たちが、バズーカ型の必殺武器を構える。
「チャージ完了よ!」
「よし。豚の角煮~!」
謎の掛け声とともに放たれたエネルギー弾が、ショタレンジャーの胴を貫いた。
「さ、再登場してから約1ページで倒されるとは、無念だァァッ!」
絶叫を轟かせ、白虎の戦士が大爆発して散る。
彼らの側でも、五人の仲間が激戦を繰り広げていた。
「BLファイヤー、今度という今度はお前を倒す!」
白い鎧の戦士――ツンデレキラーが、羽ペンに似た形状の剣を手に高速突進してくる。が、ナオヤには効かなかった。
ツンデレキラーは、彼が初めてBLファイヤーに変身したときに戦った相手。あのときは、ツカサたちが苦戦している様子を見て敵の動きを読んでいた。今回また剣を交えた結果がどうなるかは、言うまでもない。
「言ったはずだ。お前の高速移動はとっくの昔に見切っている。俺に勝とうなど、二万年早い!」
敵の脚部を狙い、集中的に銃弾を浴びせる。ツンデレキラーの移動スピードが落ちた瞬間を逃さず、BLファイヤーは勝負を決めに出た。
「『BLディフェンダー・ファイナルモード』!」
真紅の輝きを放つ刃を、すれ違いざまに振り抜く。X字の赤い閃光が走り、次元四天王の一角は全身を氷に覆われて動けなくなってしまった。
「……ジ・エンド」
BLディフェンダーを一振りし、凍ったツンデレキラーの体を粉々に砕く。静かに剣を下ろして静止し、ナオヤはそう呟いた。
「人の体には、未知の力が秘められている。鍛えれば鍛えるほど、それは未知の力を発揮する!」
「私たちのオーラパワー、見せてあげるわ!」
虹色のオーラに包まれて空へ浮かび上がった、百合ブルーとイエロー。二人を見上げながら、セイヘキ・ザ・ワールドは嫌な予感がしていた。
「私の能力は、相手の『百合・BL・ノーマル性癖いずれかに対する情熱の大きさ』に応じて攻撃力が上昇するというもので……って、聞いていますか? もしもーし?」
「もちろん聞いているさ。だが生憎、お前の能力と攻略法は既に知っている」
両手を組み合わせて瞑想(メディテーション)しつつ、トウマが応じた。
「私たちの持つ純粋な正義の心で、クシャクシャのポイだよ!」
と、ウミカはカイリとツカサの方を向いて「二人とも、推し推し砲を貸して!」と頼んだ。ショタレンジャーを約一ページで倒し終えていた彼らは、快く承諾した。
オーラを纏って着地するのとほぼ同時に、投げ渡されたバズーカへ、トウマとウミカがオーラパワーを注ぎ込む。すると、推し推し砲は小型飛行機に似た形の「推し推しカノン」へとパワーアップしたのである。
「鍛え上げれば、パワーは無限!」
「磨き上げれば、オーラは無限! 全力集中、推し推しカノン、ファイア~!」
光を放つエネルギー弾が射出され、セイヘキ・ザ・ワールドに命中。その肉体を爆発四散させる。
「ああ、愛のソルジャー!」という捨て台詞を残し、エンダー強化体はまたしても正義の心に敗れ去ったのであった。
さて、ショタレンジャーとツンデレキラーとセイヘキ・ザ・ワールドが撃破され、残るはSSソルジャーのみなのだが。
「いくら何でも、俺たちだけでSSソルジャーを倒すのは無理だろ⁉」
「ケイイチロウ先輩の言う通りですよ。さっきからVSチューナーで撃ちまくってるのに、全部あの盾で防がれちゃってますし!」
BL1号と2号は、あたふたしていた。
「敵の攻撃の手が止まった。すなわち、俺様の反撃のチャンス到来ということだ!」
そうこうしているうちにもSSソルジャーは必殺技「SSエンド」を発動し、炎の斬撃を繰り出した。吹き飛ばされる1号と2号。
「先輩、どうするんですか⁉ 前にあいつと戦ったときは、全員の必殺技を同時に撃ってようやく倒せたんですよ。俺たち二人だけじゃ、あいつの防御力を上回る攻撃力を発揮できません」
「ならば、答えは簡単だ。……皆! 手が空いてそうだから、力を貸してくれ!」
二人だけで勝てないなら、七人の力を合わせればいい。ただそれだけのことだった。
幸い、他の五人は既に四天王三人を屠っている。仲間たちはすぐに集まってきて、各々の武器を構えた。
「スペリオル・受け攻めショット!」
「エクセレント・ネコタチエックス!」
「推し推しカノン、もう一発ぶっ放しちゃうよ~!」
「『BLディフェンダー・ファイナルモード』!」
「BL・一撃ストライク!」
色とりどりのビームが一斉発射され、SSソルジャーのメタリックな赤いアーマーを貫通した。無論、防御しようとして彼が掲げていた盾も、木端微塵になっている。
「……何てこった。俺様は、死にざまさえも伝説になるぜ!」
爆発して散る寸前、SSソルジャーはそう言い残した。誰が語り継いでやるものか、と七人は思った。
「ふう。これで四人とも倒したわね」
ツカサが一息つく。
「倒せたけど、つ、疲れた~。よっこらしょっと」
百合イエロー・ウミカも、推し推しカノンを置いてへなへなと座り込んでしまった。
「でも、何か忘れてるような気がするよな」
カイリが漏らしたそのとき、七人の背後から破壊光線が飛んできた。
「隙あり!」
「うわああーっ⁉」
次元大魔王の杖から放たれた光線を受けて、ツカサたちは十メートル以上も吹き飛ばされてしまったのだった。
今回、ご迷惑をおかけした作品
・ウルトラマンゼロ(「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」より)