百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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4 シュシュッとTHE REVIVAL

 一度はチュパカブラの濡レドランを破った切れ者、SUNダール。

 が、三英雄が一人、入墨ドウコクを味方に引き入れられなかったのが運の尽きだった。ならばと直接対決で入墨を消そうと試みるも、圧倒的な実力差を見せつけられて返り討ちにされる。

 SUNダールに評価すべき点があるとすれば、計画的かつ狡猾である点と、決して諦めない点だろう。もっとも、後者は悪く言えば、往生際の悪さでもあるけれど。

 入墨ドウコクに挑んで散々な目に遭った後も、彼は諦めなかった。記憶をなくしたと思しきサイボーグの濡レドランへ接近し、嘘を吹き込んで濡レドランを操ろうとしたのだ。

 

 しかしこの策略も、「ウェット」性癖のパワーを使った濡レドランに看破されて失敗。自分の性癖の能力を誰にも明かさず、虚を突いた濡レドランの方が一枚上手だった。

 最終的にはサイボーグの濡レドラン相手にもこてんぱんに負け、奇妙な虫の力で強制的に巨大化させられてしまう。破れかぶれで百合・BLレンジャーとの相討ちを目論むも、ウミカにそれを拒否され、BLレックスロボの低温レーザーを浴びて圧縮冷凍。生きたまま縮小&氷漬けにされてまたもや敗北。

 

 その後もなかなか悲惨である。濡レドランに封じられていた二体の天使が受肉する際の器として、圧縮冷凍中のSUNダールの肉体が選ばれた。かくして、彼は本当に死亡してしまったのだ。

 けれども、濡レドランも天使も知らなかった事実が一つだけある。彼が使用した原典には、「のちの記念作品にて全く同じルックスの怪人が登場する」性質があった。しかも、怪人の名前もほぼ同じ。

 

「――SUNダールJr(ジュニア)、ただいま参上!」

 

 かくして、SUNダール改めSUNダールJrは、再び高次元界に現れたのである。

 SUNダールとしての記憶をそのまま保持した状態で、転生を遂げたのだ。

 

 

 前述のとおり、見た目は元のSUNダールと瓜二つ。

 そんなJrが降り立ったのは、荒れ果てた大地だった。しばらく前まで掘っ立て小屋でも建てられていたのか、不自然に地面が掘られた箇所がいくつもある。だが、今では建物は一つもなく、倒木や枯れ葉が無造作に転がっているだけだ。その光景を目にしてすぐ、Jrは「ああ」と呻いた。

 

「……やはりそうか。濡レドランめ、俺を殺した後で同胞たちも皆殺しにしたな」

 

 容赦のない報復。

 原典カードをばら撒いていなければ、仲間が殺されることはなかったのだろうか。いや、どのみちそれでは超次元生命体に対抗できまい。結局のところ、SUNダールの立ち回りがことごとく裏目に出てしまったがために、彼とその同胞は命を落とす羽目になったのだ。すべては自分の責任、自業自得だ。

 だが、自業自得だと頭では分かっていても、苦楽を共にした同志を失った怒りと悲しみが消えるわけではない。むしろ、そうした感情は増幅される一方だった。

 

「こうしてはいられん。一刻も早く超次元界へ乗り込み、LFOの一派へ復讐してやる。……むっ?」

 

 勇んでゲートを展開しようとしたSUNダールJr。しかし、濡レドランから与えられたゲーミングっぽく発光する門は出現せず、代わりに通常の、高次元生命体が生成できる質素なデザインの扉が作られた。

 

 

(濡レドランに与えられた力が消えている。ということは、まさか既に、奴は何者かの手で倒されたのか?)

 

 思えば、死亡してからどれくらい経って復活したのか、自分はまだ把握できていない。扉を一旦消失させ、Jrは考え込んだ。

 

(できることなら俺の手で息の手を止めてやりたかったが、ま、それならそれで都合がいい。正直、今の俺一人で奴に挑んでも勝算はあまりなかろう。濡レドランから奪った原典カードも、すべて回収されてしまったようだしな……)

 

 待てよ。

 原典カード?

 濡レドランが死んで専用ゲートが使用不可になるのならば、奴が作ったカードもまた、使えなくなっているはずだ。すなわち、あのカードに封じられていた原典はすべて解放され、所有者がいない状態になっているのではないか?

 意外な可能性に気づき、Jrが腕組みする。

 

 

(だとすれば、これはチャンスだ。超次元界に侵攻して原典を根こそぎ奪い、今度という今度こそ高次元界を復興させてやる!)

 

 LFOは濡レドランが率いるワンマン組織だ。リーダーが散れば、簡単に自然消滅するのは自明の理。今、超次元界にはこれといって幅を利かせている勢力が存在せず、レジスタンス組織「イーシュ・ヴァール」が細々と活動しているだけの可能性が非常に高い。

 誰の目も気にせず、濡レドランの元から離れた原典を一気に、大量に回収できる。もちろん、自分と同じようなことを考える輩がいないとは限らないけれど、そうだとしても、原典が狩り尽くされて全然残っていないなんてことはないはず。

 

「どうやら俺が死んでいる間に、邪魔な連中は皆消えてくれたようだな。これからは俺の時代だ。俺が高次元界を救い、未来をもたらすのだ! ハハハハハッ!」

 

 天を仰ぎ、腕を広げて高笑いする鮫怪人。

 唯一の懸念事項は「濡レドランを倒した存在(おそらくは百合・BLレンジャーだろう)が自分にもいずれ牙を剝くのではないか」だが、戦隊のメンバーは基本的に異界への移動手段を持たず、原典にも積極的に干渉しない。濡レドラン撃破によって解放された原典に戦隊が手を付けた可能性は、ほぼほぼゼロ。SUNダールJrに追い風が吹いていた。

 

 

「さっそくゲートを繋ぎ、超次元界へ向かうとしよう」

 

 呟き、扉を生成。

 超次元生命体が作るゲートと同様、高次元生命体のゲートも繋がる先は運任せである。ソシャゲをリセマラするみたいに、目当ての地点へ繋がるまで何度もリトライしなければならない。

 三度目のリトライ中のところで、彼の背に「そうはさせん!」と威勢の良い声が掛けられた。

 

「誰だ!?」

 

 ゲート生成を中断し、油断なく辺りを見回すJr。

 

「トウーッ!」

「トウーッ!」

「トウーッ!」

 

 謎の声の主はすぐには問いに答えず、各々が空中で交差するような感じで、鮮やかな大ジャンプを決めた。そして、荒れ地の中で一段高く、丘のように盛り上がっている場所へ着地した。

 

 

「SUN・イーグル!」

 

 猛禽類が翼を広げるかのごときポーズを取り、ヘルメットに鷲の意匠を持つ赤い戦士が名乗った。胸には太陽のマークが、首元にはスカーフが付いている。

 

「SUN・シャーク!」

 

 続いて、鮫の意匠の青い戦士が、泳ぐ魚をイメージしたポーズを決める。

 

「SUN・パンサー!」

 

 さらに、豹モチーフの黄色い戦士がバク宙を披露し、野性的に構える。

 最後に三人並んで敬礼し、決めポーズを取った。

 

「輝け! 太陽戦隊、『SUNバルカン』!」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・サンバルカン
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