百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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5 輝け日焼けオーロラ

「なるほど、お前たちが何という名前なのかは分かった。が、お前たちがどういう目的で動いているのかはさっぱり分からん」

 

 やや引き気味に言ったJrへ指を突きつけ、「話はすべて聞かせてもらった!」と言い放つSUNイーグル。

 

「俺たち太陽戦隊は、高次元界を立て直し、平和を守るために結成された。不必要に戦いを仕掛け、戦乱を巻き起こそうとするお前のような奴を、見逃すわけにはいかない!」

「不必要な戦い? これは驚いた。お前たちの目は節穴か?」

 

 SUNダールJrは嘲笑した。

 

「俺が超次元界へ乗り込むのは、原典をありったけかき集め、超次元生命体に対抗できるだけの力を蓄えるためだ。高次元界のためを思ってしていることだ。それがなぜ不必要だと?」

「いい加減に、暴力を暴力で解決するのはやめろ。そんなことをすれば、超次元生命体は必ず反撃し、また高次元界は危機に陥る。悲しみの連鎖は、どこかで断ち切らなくてはならないんだ!」

「つまりお前は、俺に辛酸を舐め続けて生きろと言いたいのか。冗談もほどほどにしろ」

 

 静かに刀を引き抜き、鮫怪人が構える。

 

 

「何と言われようが、俺の主義が変わることはない。俺を止めたければ、倒してみよ!」

「望むところだ。行くぞ、シャーク、パンサー!」

 

 仲間たちを振り返り、SUNイーグルは「太陽キックだ!」と指示を出した。三人が高く跳び上がり、ドロップキックを放つ。

 

「太陽・キーック!」

 

 刀で受け止めるJr。けれども衝撃を殺せず、よろよろと後ずさることとなった。

 

「……な、何だ、このパワーは。名前から察するに、お前たちと俺の性癖は同じ『日焼けフェチ』ではなかったのか? 太陽光を集中させて敵を焼き焦がす能力で、どうしてこれほどまでの脚力を発揮できる⁉ あるいは、原典のパワーが桁外れなのか?」

「SUNダールJr。俺たちとお前の性癖は確かに同じだが、能力が微妙に異なる。お前が太陽光を相手に照射するのに対して、俺たちは自分自身の肉体に集め、その太陽のエネルギーを運動エネルギーへ変換しているのさ!」

 

 要するに、天候さえ良ければ自分たちにバフがかかり続ける能力らしい。シンプルながら厄介である。

 

 

「SUNバルカン・スティック!」

 

 三人は警棒に似た武装を召喚し、それを一斉にJrへ投げつけた。どういう理屈なのか、命中と同時に凄まじい衝撃が生じ、派手に火花が散る。

 

「調子に乗るな。次元忍法、『自在縄』!」

 

 鮫怪人は押されていたが、しかしさすがは元三英雄。すぐに体勢を立て直し、指先から延ばした糸でSUNイーグルを絡めとった。高く持ち上げ、岩山へ思いっきり叩きつける。破砕音が轟き、赤い戦士は変身解除された。

 

「フン。口ほどにもない……」

 

 まずは一人無力化したぞ、とほくそ笑むJr。が、直後、SUNイーグルの青年は爆速で再変身したのだった。

 

「何っ⁉」

「かかったな、SUNダールJr。俺の使う原典は、ストーリー中盤で変身者が交代している。一定以上のダメージを受けると、それをトリガーとして二代目の姿へと再変身が可能になるのさ!」

 

 地面から警棒めいたスティックを拾い上げ、イーグルが種明かしをする。その様子に、何度倒されてもしぶとく蘇る濡レドランを重ねたのだろうか。鮫怪人は苛立ちを露わに、手から光線を発射した。

 

「こざかしい。姿など、どこも変わっていないではないか!」

「――いいや、一つだけ変わった」

 

 

 刹那、SUNイーグルの構えていたスティックが、日本刀へと変化する。流れるような美しい所作で刀を振るい、赤の戦士は光線を真っ向からぶった斬ってみせた。

 

「二代目の戦士は、剣技に秀でている。受けてみろ。秘剣・『日焼け十文字』!」

 

 続けざまに、Jrを十字に斬りつける。さらに、満月がバックに出てくるエフェクトとともに強烈な一閃をお見舞いし、怪人を吹っ飛ばした。

 

「ぐあああああっ⁉」

「まだまだ行くぞ。『SUNシャーク・タイフーン』!」

「『ローリング・SUNパンサー』!」

 

 青と黄の戦士たちも、空中で回転しながらJrへ頭突きや体当たりを喰らわせた。ふらつき、大きな隙を見せた怪人を一瞥し、イーグルが「SUNバルカンボールだ!」と告げる。

 

 

「ワン!」

 

 どこからか取り出したバレーボールを、まずSUNイーグルが足で軽く蹴る。

 

「ツー!」

 

 次にSUNパンサーが、それを両足で挟んだままバク宙し、器用に放り投げる。

 

「スリー!」

 

 SUNシャークもヘディングでボールを飛ばし、最後に再びSUNイーグルがキックで決める。

 

「アターック!」

 

 三人の蓄積した太陽エネルギーが一点集中したボールが勢いよく飛び、Jrの胸部へ炸裂した。スパークが乱れ飛ぶ中、怪人は悔しそうに絞り出す。

 

「……こんなところで死んでたまるか。『巨大身の術』!」

 

 みるみるうちに身長50メートルほどにまで巨大化し、Jrは三人を見下ろした。

 

「踏みつぶしてくれるわ、太陽戦隊!」

「サマーバルカン、発進!」

 

 

 しかし、この事態は想定済みだったらしい。SUNバルカンは慌てることなく、青い巨大空母を呼び出した。サマーバルカンと呼称されたそれは、動物の目や牙にも見えるようなパーツを備えている。

 空母の口にあたる部分が開き、巨大戦闘機と戦車が発進。戦闘機が胴に、戦車が足になるかたちで、ロボットへと合体した。

 

「合体、グランドクロス! チェンジ、『SUNバルカンロボ』!」

 

 青をメインカラーとして黄や赤のラインをボディーに刻み、太陽を象った剣と盾を装備したロボである。三人はロボへ駆け寄り、颯爽と乗り込んだ。

 

「おのれ、SUNバルカン!」

 

 唸り声を上げて突進する鮫怪人へ、ロボットは頭部の太陽マークから渦状の熱戦を照射した。

 

「『太陽・スクリュー』!」

「うわっ⁉」」

 

 SUNダールJrがのけ反った隙に、ロボは剣を掲げた。オーロラがその背後に発生し、プラズマエネルギーが刀身に集中していく。

 

 

「とどめだ。太陽剣、オーロラ日焼け返し!」

「オーロラ日焼け返し!」

「オーロラ日焼け返し!」

 

 イーグル、シャーク、パンサーが順に必殺技の名前を叫ぶ。最後に謎の声(ロボが発したのだろうか?)が「オーロラ日焼け返し~!」と復唱し、SUNバルカンロボは太陽剣を縦に振り下ろした。

 

「……俺を倒したことを後悔するなよ、SUNバルカン。俺は高次元界を照らす太陽。太陽がもしもなかったら、高次元界はたちまち凍り付く。花は枯れ、鳥は空を捨て、人々は微笑みをなくすのだ! 太陽は命の星、幸せを守る炎だ! ぐ、ぐあ~っ⁉」

 

 鮫怪人の体が真っ二つに切り裂かれ、大爆発に包まれる。

 敵の撲滅を確認したのち、SUNバルカンの三人はロボから降りて顔を見合わせた。

 

「あいつ、最後の最後で、何だか支離滅裂なことを言っていたな」

「『俺は高次元界を照らす太陽』って……今どき、厨二病の子でもなかなか言わないぜ」

「さ、そんなことより、早く帰ってカレーを食べよう。もうお腹ペコペコだよ」

 

 脱兎のごとく走り出したSUNパンサーを、「おい待てよ!」とイーグル、シャークが追いかける。

 

 

「まったく、パンサーは原作のキャラに引っ張られすぎだな」

「カレーもいいけど、水着の日焼け跡の良さについて語り合うほうが先決だろう。あれはとてもいいものだぞ!」

「おっと、陸上のユニフォームの日焼け跡なんかも負けてないぜ!」

 

 何だかんだでパンサーも会話に加わってきた。皆性癖が共通しているので、話題には事欠かないのである。……まあ、人前でむやみにひけらかさない限りは、いいんじゃなかろうか。そこまでアブノーマルな性癖でもないし。

 

 

 かくして、SUNダールJrの飽くなき野望に終止符が打たれ、高次元界の平和は守られた。

 元三英雄を倒せるくらい強いヒーローがいれば、もう高次元界の未来は心配ないだろう。これからも頼むぞ! 戦え、若きニューヒーロー、太陽戦隊・SUNバルカン! 若さはプラズマだ!

 

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