百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

393 / 394
6 レジスタンス・ナンバーワン!

「起きて、ダレン。起きてってば」

「む……」

 

 野営地のテントの中で肩を揺さぶられ、ダレンは眠い目をこすりながら起き上がった。と、目の前にお菊の顔がある。

 

「何だ、夜這いか」

「違うわよ!! もうお日様昇ってるし!」

 

 言われてみれば確かに、テントの入り口からは朝日がほのかに差し込んでいる。

 まあ厳密には、超次元界は半球状だ。太陽は昇ったり沈んだりするというより、世界の遥か上部をゆっくりと旋回しているだけなのだが。

 

 

「すまない。冗談だ」

「あなたが言うと冗談に聞こえないのよ⁉」

 

 僅かに頬を染めた和服美人は、「とにかく早く来て」と、パジャマ姿の彼の手を引いて外に出た。

 

「あなたに挑戦したいって人が訪ねてきてるのよ」

「こんな朝早くからか? ……まあ、良い。会うだけ会ってみよう」

 

 そこには、やけにマッチョでパーフェクトなボディーの男が仁王立ちしていた。黒い忍び装束のような服を着ているが、服の上からでも筋骨隆々なのが分かる。

 

「待っていたゾ、ダレン!」

 

 男は、若干片言っぽい喋り方だった。

 

「俺の名はアズマ・ジライヤ。お前を倒して、俺がレジスタンスのナンバーワンであることを証明すル。Game On!」

『ヴィランキメラ!』

 

 

 彼の腰には、見たことのない形状の変身ベルトが巻かれている。右手に構えた紫色のスタンプの上部のボタンを押し、アズマがそれをベルトに装填した。

 

(レッレドレ~♪ レミファ・ファ・ファミレレ~♪)

 

 人間界の音楽の階名で表すなら、こんな感じだろうか。和風のサウンドに続き、変身待機音が流れ始める。

 

『オク・ウナ・トカ・カモン! キメラ・キメラ・キメラ!』『オク・ウナ・トカ・カモン! キメラ・キメラ・キメラ!』

 

 蛸、鰻、トカゲ。三種の動物の形のエフェクトがアズマの周りに展開されたのち、それらは彼を包むようにしてアーマーを形成していく。

 

「スーパー変化、ヴィランドライバー! 変身!」

『スクランブル!』『オクトパス! 電気ウナギ! オオトカゲ! 超次元ライダーダイモン・ダイモン・ダイモ~~ン!』

 

 

 三体の動物の意匠を備えた、オレンジの装甲に紫の複眼のライダーに変わった。肩からは、蛸の足のような赤い突起が伸びている。

 

「――人に隠れて悪を斬ル。超次元ライダーダイモン、見参!」

「色々混ざってるな……」

 

 一通り変身プロセスが終わったらしいのを見て取り、ダレンは素朴な感想を漏らした。

 

「アズマ。最近レジスタンスに加わったばかりの貴様がトップを目指すとは、相当な野心家とお見受けする。それにその見事な肉体、さぞ鍛錬に励んだのだろう。しかし、分からんな。レジスタンスのナンバーワンになりたいのなら、私ではなくフィリーレンを狙うべきだ。私は既に、全盛期を過ぎている」

「俺は、フィリーレンはレジスタンスのトップとして不適格だと思っていル。当たり前のように昼過ぎまで寝て、髪を結ぶことさえも自分ではなかなかしないような奴に、人の上に立つ資格はなイ。さっきも一応訪ねてはみたが、ぐっすり眠っていた。俺が認めた真の戦士は、ダレン、お前だけだ!」

「そ、そうか」

 

 言っていること自体は間違ってないが、まあまあ辛辣だった。

 

 

「ちょっと待ちなさいよ」と、そこでお菊も口を挟む。

 

「今アズマが使っているスタンプ……オクトパスと電気ウナギとオオトカゲだっけ? なんか聞き覚えがあると思ったら、リボンズのリボンミックス用のスタンプと一緒じゃない」

「ああ。同じだナ」

「……ところで、私の持っていたリボンミックス用のスタンプが、何日か前から行方不明なんだけど。あなた、何か知ってる?」

「その三種のリボンミックス用スタンプを拝借し、一つに融合させたのが、この変身用の『ヴィランキメラ』スタンプなのダ」

「しれっと人の持ち物をパクッてんじゃないわよ⁉」

「ソーリー。勝手なことをして、申し訳なイ。だが、変身用のスタンプを拝借しなかっただけ、ありがたく思え」

「開き直るな!!」

 

 

 この男、全然反省していない。

 もっとも、通常と量産型のリボンズ以外にもオーバーリボンズとゲットオーバーリボンズのスタンプが存在し、特にこれといって倒すべき敵もいない現状、多少の戦力ダウンは痛くもかゆくもないのだけれど。

 

「ともかく、ダレンに勝つためならば、俺は手段を選ばなイ。さあダレン、俺と勝負しろ!」

「待て、アズマ。私は今起きたところだ。せめて顔を洗って、服を着替える時間くらいは与えてくれ」

 

 パジャマ姿の戦士を一瞥し、アズマは渋々ながら「良いだろウ」と首を縦に振った。

 

「寝込みを襲って勝ったとしても、格好がつかないからナ」

 

 

 ダレンが身支度を済ませている間、アズマは超次元ライダーダイモンに変身したままの格好で、律義に待っていた。

 お菊と雑談するでもなく、一人でブツブツと「成敗」「成敗!」と呟いている。どうやらダレンと戦うときの決め台詞を練習しているらしいが、それを目の前で見せられるお菊の身にもなってほしかった。

 

「早く来イ、ダレン。お前を倒して、俺がレジスタンスナンバーワンになる!」

「――ナンバーワンだと?」

 

 すると、たまたま近くを通りかかった、狼モチーフの赤い鎧の男が食いついてきた。興味津々でアズマに近寄ってくる。

 

「何だ。お前たち、ナンバーワンを決めるバトルをしているのか?」

「そうだが……Who are you? お前は何者ダ」

「俺は超次元界の流れ者。はぐれ一匹、『五十路(いそじ)ウルフ』!」

「『五十(ゴジュウ)ウルフ』?」

「違う、違う。『五十路ウルフ』だ。その名の通り、人間でいうところの五十路に相当する年上が俺の獲物だぜ!」

 

 あまり大声で叫ぶようなことでもない気がするが、五十路ウルフは自身の性癖を恥ずかしげもなく暴露した。

 性癖の能力はおそらく、ヒョウガの「年上好き」の亜種のようなものなのだろう。能力の対象が五十路、もしくは五十路に相当する異性に限定される、とか。

 

 

「ナンバーワンを目指すお前たちの意気込み、しかと胸に響いたぜ。よし、そういうことなら、俺がお前らのバトルの審判を務めてやるよ!」

「え、いや、ちょっと、誰もそんなこと頼んでないんだけど……」

 

 困惑しているお菊をスルーし、五十路ウルフはどこからか応援団のような人たちを呼んできた。チアリーダーや、学ランにハチマキを身に付けた男どもがわらわらと集まってくる。

 普段着のダレンがちょうど戻ってきたタイミングで、応援団らは所定の位置につき、元気よく声を張り上げた。

 

「「いざ掴め! レジスタンス・ナンバーワンバトル! レディ~~・ファイト!!」」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・ゴジュウジャー

※諸事情により、次回の更新は6月上旬になる予定です。お待たせして申し訳ないですが、よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定