百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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第41話 超力の絆‐ネクサス・オーレ‐

「違うな。さっきのカフェオーレに使われていた豆は、ゲテモノなんかじゃない!」

 

 豆が入っていた袋をビシッと指差し、ナオヤが言った。

 

「その袋のラベルをもう一度よく見てみろ、父さん」

「ラベルだと?」

 

 賞味期限が書かれたラベルを、魔王は凝視した。文字が薄れていて読みづらく、しかも魔王は視力が悪くて眼鏡をかけているため、読み取るのには難儀していた。

 

「……な、何っ? 賞味期限が六億年前だと? まさか!」

「六億年前、地球には超古代文明が存在していたという学説がある。カフェオーレに使われていた豆には、古代の人々が残したスーパーパワー、つまり超力が込められていたんだ。俺たちはカフェオーレに溶け込んだ超力の豆を摂取することで、超力変身を遂げたんだ!」

 

 高次元生命体は、普通の人間よりも少し視力が良い。「六億年前」というありえない賞味期限が記載されていることに一人気づいたナオヤは、超古代文明の伝説を思い出し、一か八か古代文明の超力に賭けたのだった。

 

 

「行くぞ、皆!」

「オーレ!」

 

 超力変身で完全復活した七人は、向かうところ敵なしである。次元大魔王と対峙し、気合十分だった。

 

「父さん、いや、次元大魔王! 目が悪く、期限をちゃんとチェックしていなかったのが仇になったな。お前の悪事もこれまでだ!」

「お、おのれ~。やはり、牛乳も期限切れのものを使うべきだったか!」

「問題はそこじゃないだろ!」

 

 BLファイヤーと魔王の親子喧嘩(?)が始まったのをよそに、ツカサとカイリも続いた。超力のおかげで、一時は気を失いかけていたカイリもピンピンしている。

 

「二度と飲みたくない味だったけど、パワーアップできて結果オーライね」

「だが、礼は言わないぜ。俺が飲みたいのはアイスカフェオーレじゃなく、勝利のホットミルクだ。これでも喰らえ!」

 

 二人は推し推し砲を構えて発射したが、大魔王はエネルギー弾を容易く弾き返してしまった。慌てて回避する百合&BLエックス。

 

 

「無駄だ。俺の力は、次元四天王最強の防御力を誇るSSソルジャーをも上回る。仮にお前たちがすべての武器を同時に発射したとしても、この俺を倒すことなど不可能だ!」

「同時発射がダメなら、武器を合体させ、一撃の威力を最大限に高めればいい」

 

 カイリは不敵に笑った。

 

「超力がみなぎっている今なら、何だってできる気がする。皆、武器を一つにするんだ!」

「オーレ!」

 

 推し推しカノンを中心に、BLディフェンダー、四丁のVSチューナー、それに二丁のエックスチューナーを左右に合体させる。

 

「完成! 百合&BL・ビッグバンバスター!」

 

 七人でバスターを支え、超力を込めたビームを勢いよく撃ち出した。が、大魔王はバリアを展開し、辛うじてそれを防いでみせた。

 

「まだ決定打にはなってないわ。一体、どうすれば……」

 

 古代のコーヒー豆が起こした奇跡でどうにか逆転しかけているものの、敵の力は強大だった。これ以上強烈な攻撃を出す方法も思いつかず、ツカサは途方に暮れた。

 すると、ケイイチロウが無言で、一丁のVSチューナーを差し出してきた。

 

「ケイイチロウ、これって」

「ああ。お前がBL警察を一時的に抜けたときに、残していったものだ」

 

 

『やっと分かったわ、カイリ。この戦いに意味なんかない。あたしたちはただ、誰かが人々を扇動して起こした争いの火種に、油を注いできたようなものよ』

『お互い、随分遠回りしちまったな。お巡りさん』

 

 あのときはまだ、高次元生命体の存在も知らなかった。エックスに変身する力も手にしていなかった。ただ、自分たちの記憶が誰かに操られている可能性に気づき、どうにかもがこうとしていた。

 今まで通り警察と怪盗に所属していたら、黒幕の思うつぼだ――そう思ったからこそ、たった二人だけで反旗を翻したのだ。

 組織を抜けた際に捨てたVSチューナーは、かつてツカサがBL3号、カイリが百合レッドに変身していたときのもの。のちに組織と和解して、捨てたのが後ろめたくなって探そうとしたこともあったが、ついに見つけられなかった。

 

 

「ケイイチロウ、サクヤ。あんたたち、あたしの代わりに見つけてくれていたのね⁉」

 

「苦労しましたよ」と、サクヤが横から口を挟んだ。

 

「実を言うと、発見したのはだいぶ前でした。だけど、ツカサ先輩はBLエックスという新しく、より強い力を手にしていましたから『先輩にはもう必要ないのかもしれないな』と思って、返すのが先延ばしになっていたんです。黙っててすみません」

「いいのよ、そんなこと」

 

 金色の仮面をつけていてよかった。でなければ、ツカサは泣き顔を見られていたかもしれない。

 BL警察を、BLレンジャーを一時離脱してもなお、二人は自分のことを仲間だと思ってくれていた。ツカサが戻ってくる日のために、いつかBL3号の力が必要になるときのために、このVSチューナーを大切に保管していてくれたのだ。

 絆だ。自分たちは絆の力でここまで戦ってこれたのだと、ツカサは感じた。

 自分の息子にさえも容赦ない仕打ちをする次元大魔王と、自分たち百合・BLレンジャーの最大の違いは、きっとそこにあるのだ。

 

 

「頼みの綱の新必殺武器も、俺のバリアの前には無力だったようだな」

 

 彼女たちの心の動きには何ら気づかぬ様子で、魔王は高笑いした。

 

「力とは、他者を支配し圧するためにある。それに気づけぬお前たちが、俺に勝てるはずがない!」

「この力は、決して希望を捨てない人々のためにあるのよ。それに気づけないあんたが、勝てるはずがないわ!」

 

 ツカサも負けじと言い返した。

 

 

「ほら、受け取れ」

 

 ツカサがVSチューナーを受け取って感極まっている一方、同様の受け渡しは怪盗戦隊側でも発生していた。かつて百合レッドへの変身にしようとしていたチューナーを、カイリがトウマから渡される。

 

「お前、いつの間に……」

「VSチューナーも立派なお宝だ。お宝を盗んで保管しておくのは、怪盗の務めだろう」

「トウマ君ったら、素直じゃないんだから~」

 

 ウミカから茶化され、照れ隠しに視線を逸らすトウマ。二人ともあえて多くを語らなかったが、彼らの想いは確かにカイリへ伝わっていた。

 

「ありがとな、お前ら」

 

 仲間たちの頭をぽんぽんと軽く叩き、カイリは笑った。

 

 

 BL3号と百合レッドのために作られたVSチューナーをも、「百合&BL・ビッグバンバスター」に合体させる。さらにパーツが増えて強化されたバズーカを、七人は全力で構えた。

 

「喰らえ! 百合&BL・ネクサス・ビッグバンバスター!」

「……フン、笑わせるな。今さらVSチューナー二丁を合体させて、何ができるというのだ。所詮VSチューナーなど、エックスチューナーより性能で劣る、時代遅れの装備ではないか」

 

 返り討ちにしてくれるわ、と次元大魔王がバリアを展開する。先ほどよりも規模が大きく、強度も高い障壁だった。

 

「性能なんかどうでもいいわ。あたしはこのVSチューナーに込められた、あたしの仲間たちの想いを、絆を信じてる!」

 

 ツカサが叫んだのとほぼ同時、ビッグバンバスターの砲口に眩しい光が生じた。輝くエネルギー弾に、オーラパワーと超力、絆の起こした奇跡の力が流れ込んでいく。

 

 

「人の人生は肩代わりできない。家族でも恋人でも友達でも、どんなに大切な人間であっても。だからこそ人は心を尽くして、人と絆を結ぼうとするんだ! 絆の強さを知らないお前に、俺たちは絶対に負けない!」

 

 カイリも吠え、最後の力を振り絞った。バスターから溢れ出した光が、七人を包み込んでいく。

 

「光は誰かに受け継がれる希望。俺たちは戦う。俺たちは生きる。生きて、この光を繋ぐ!」

「負けてたまるかああああっ!」

 

 ナオヤが決意を口にする。ケイイチロウもサクヤも、トウマもウミカも、残った力をすべて出し切った。

 発射された光の奔流が大魔王のバリアに激突し、刹那の均衡の後、それを見事に打ち砕いた。すさまじい量のエネルギーを全身に浴び、魔王が絶叫する。

 

「……お、おのれ~。序盤で使っていたがだんだん出番が減ったアイテムを最終決戦で使ってくるとは、何だかんだでお前たちも王道のヒーローだったのか。そんな王道展開にストレート負けしてしまったことが、俺の一生の不覚だ!」

 

 そして、ネクサス・ビッグバンバスターの一撃をもろに受け、次元大魔王の姿は大爆発の中に消えた。

 

 




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・オーレンジャー
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