百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

45 / 394
番外編③ ネタバレいさみあし

 オメガコーヒーの本店を出て、駐車場に停めておいた車へ戻る。だがすぐには発進せずに、二人は次にどこへ行くかの相談も兼ねて、しばしお喋りを楽しむことにした。幸い、駐車場はまだ半分ほど空いている。多少長く居座っても迷惑にはならないだろう。

 

「ここも有名店だからもしやとは思ったが、やはり怪しい人物はいなかったな。どうする? 次はテレビ塔周辺に行ってみるか?」

「良いわね! あと、夜景も見てみたいわ」

 

 すっかり観光客気分で、ツカサとナオヤがわいわいと楽しそうに会話を弾ませていたときである。

 

 

「――やあやあやあ、祭りだ祭りだ~!」

 

 

 どこからか、元気な声が聞こえてきた。

 

「袖振り合うも他生の縁、躓く石も縁の端くれ。共に踊れば繋がる縁。この世は楽園!」

「……何だ⁉」

 

 車の外へ出てみると、何と、神輿に乗ったヒーローがこちらへ向かって来るではないか。

 桃の意匠がマスクに散りばめられた、赤いパワードスーツを装着した男。彼が神輿の上でハイテンションで叫び、その神輿を犬、猿、雉の特徴を持ったモンスターたちが担いで歩く。

 男は右手に扇子を持っており、叫びながらそれを思い切り扇いでいる。

 

「悩みなんざ吹っ飛ばせ! 笑え笑え! ハーッハッハッハッ!」

「誰なのよ、あんた」

 

 警察を呼ぶわよ、と言いたいところだが、ツカサたちが警察なので自力で対処することにした。

 

 

「俺か? 俺は超次元の戦士・超モモタロウだ! 次元大魔王の泥人形が侵略に失敗したようだから、仕方なく俺が参上してやったぜ。最初からクライマックスで行くぞ! ハーッハッハッハッ!」

「お前、父さんが泥人形だったことを知っているのか」

 

 ナオヤが慎重に問いかける。

 

「それに、超次元の戦士とはどういう意味だ。お前、高次元生命体ではないのか」

「あんな雑魚と一緒にするな。俺は高次元生命体を凌駕した存在、超次元生命体。俺たちは本物の大魔王を暗殺して泥人形と入れ替え、今までずっと、思うがままに操ってきた! そんなことは、超次元生命体の間では常識だ! ワッハッハ!」

 

 超モモタロウは扇子で顔を扇いだ。

 

「トップを傀儡とすり替えてしまえば、あとは驚くほど簡単だったぞ。あの泥人形にはな、本物が持っていた攻撃的な感情をベースにし、侵略戦争のことしか考えられないように思考回路をプログラムしておいたんだ! 自分が人形だという記憶を消す、おまけつきでな! おかげで、高次元生命体を戦争の道へ進めることができた。ハーッハッハッ!」

「……この体、その全ての細胞が、正義の炎に燃えている」

 

 彼が怒りを爆発させかけているのを見るのは、久しぶりな気がした。拳を固め、震わせ、ナオヤはモモタロウを睨みつけていた。

 今なら分かる。優しかった父が侵略戦争に明け暮れるようになったのは、本物よりも攻撃的な性格にされた泥人形と入れ替わったからだ。人形にも生殖機能があるのかまでは分からないが、ナオヤ誕生からしばらくして大魔王が暗殺され、人形が成り代わったとみて間違いない。

 

 

「幼い頃、父さんは俺の頭を撫でてくれた。あの記憶は、おそらく嘘ではなかったんだな。お前たちが偽物の人形を作り、その性格を歪めさえしなければ、俺と父さんが対立することもなかっただろうに、なぜこんなことを!」

「自分の手を汚したくないんだよ、俺たちは」

 

 一方、超モモタロウはあっけらかんと言った。彼は嘘をつくと死んでしまう体質なので、聞かれたことには正直に答える。

 

「俺たちの世界では、侵略戦争によって植民地を得たいと考える層が圧倒的多数を占めていた。発達しすぎた科学によって自然は汚染され、もはや住める土地が限られていたからだ。だが、自ら侵略軍の一員になろうとする者はごく少数だった――理由は単純、死にたくないから。超次元世界では、自己犠牲は最大の悪とされている。そこで、他の世界の住人を操って植民地を獲得することに決めた」

「何て奴らなの。あたしとナオヤくんがオメガコーヒー本店で話し合っても全然分からなかった謎を、初登場してから五分でほとんど全部明かしちゃうなんて。許せないわ!」

 

 ツカサもぷんすか怒っていたが、怒るポイントが少しズレている。

 

 

「今、俺に怒ったな。これでお前とも縁ができた!」

 

 意味不明な台詞を吐きながら、超モモタロウは神輿から飛び降り、銃型の武器を取り出した。

 

「さあお供たち、行くぜ行くぜ行くぜ! 俺の強さにお前らが泣いた! お前ら全員、俺に釣られてみろ!」

 

 すると神輿が消え、それを担いでいた犬、猿、雉型のモンスターたちもモモタロウに連れられ、ツカサとナオヤに突進してきた。

 モモタロウは先刻「次元大魔王の泥人形が侵略に失敗したようだから、仕方なく俺が参上してやった」と言っていた。大魔王に代わり、邪魔な百合・BLレンジャーを排除しようという魂胆に違いない。

 

「魑魅魍魎跋扈する、この地獄変。滝沢ナオヤがここにいる! 『BLファイヤー』、爆現!」

 

 音声コマンドを叫ぶと、ナオヤの体に近未来的なデザインの赤と黒のアーマーが装着された。

 

「警察チェンジ!」

 

 続いて、ツカサも金色のスーツに包まれたBLエックスへ変身を遂げた。二人は頷き合い、それぞれBLディフェンダーとエックスチューナーを構えてお供たちを迎え撃った。

 

「絶対に許さない。本物の父さんの仇、今ここで討たせてもらう!」

「あんたたちのわがままのせいで、どれだけ大勢の命が弄ばれたのか分かってる? ナオヤくんの気持ちも考えなさいよね!」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・仮面ライダー電王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定