「『BLディフェンダー・ファイナルモード』!」
「エクセレント・ネコタチエックス!」
ナオヤが飛ばした斬撃が、モンスターたちの肉体を凍てつかせる。動きを封じたところへツカサが光弾を命中させ、氷ごと敵を粉砕した。たちまち、お供たちは全員やられてしまった。
「やるな。だが、これならどうだ。『アバターチューン』!」
仲間が倒されても動じた素振りを見せず、超モモタロウは銃型アイテムの側面に、歯車のようなメダルのようなものを装填した。刹那、モモタロウの全身が光に包まれ、別の姿へ変わる。
『ゴークイーンズ! よっ、特命女王戦隊!』
銃が江戸っ子口調で喋ったかと思えば、モモタロウはゴークイーンズの一人、レッドクイーンに似た姿になっていた。女性用のSM衣装が男性用にアレンジされているという変更点こそあれ、黒一色でレッドも何もないスーツと、武器の鞭はオリジナルと同じである。
「女王なれども忍ばない。忍ぶどころか、暴れるぜ!」
ゴークイーンズっぽさを残した台詞とともに、超モモタロウ(レッドクイーン)は鞭を振るった。ツカサたちは跳び退き、間一髪でかわす。
「高次元生命体の開発した武装をコピーし、自分のものとして使えるのか。面倒な能力だな」
「今回は特に性癖に関係ない敵かな~って安心してたのに、これまでに倒した奴らの力を全部使えるわけ⁉ これ、どうやって倒せばいいのよ」
二人は策を練ろうと必死だった。
「俺はゴークイーンズと戦ったことがないから分からない。前回はどうやって倒したんだ?」
「彼女たちとは二度戦ったわ」
一度目は、カイリとツカサが同時に必殺技を放った後、続けざまに推し推し砲を発射し、敵のSMフィールドとかいうバリアを破って勝利している。二度目は、鳥類が苦手だという弱点を突き、動物園に誘い込んで倒した。
「なるほど、連続攻撃が攻略の鍵か。よし、推し推し砲を試してみよう!」
「了解よ!」
バズーカを二人で構え、超モモタロウへ向ける。普段はカイリと連携してこのバズーカを撃っているから、レアなシチュエーションと言えるかもしれない。
「推し推し砲、発射!」
「無駄だ。『アバターチューン』!」
しかし、エネルギー弾を放つより前に、モモタロウがフォームチェンジした。東京卍帝国のリーダー・マイティーの変身した卍レッドへ変わる。
『卍レッド! よっ、魔法&不良戦隊!』
そして、飛来したエネルギー弾目がけて、卍レッド(超モモタロウ)が渾身の蹴りを見舞った。
「喰らえ、核弾頭キック!」
ズガン、と凄まじい音が轟き、推し推し砲の一撃は明後日の方向へ飛んでいった。なお、卍レッドは無傷である。
「まさか、推し推し砲を跳ね返すだなんて」
この卍レッド、おそらくオリジナルよりも遥かに強い。ツカサは動揺を隠せなかった。
「動物園に誘い込む作戦……は、無理よね。さっき視察した東山動植物園、親子連れとカップルでにぎわっていたわ。あんなところへ卍レッドを招き入れたら、大変なことになるに決まってる」
「諦めるな。同時攻撃で行くぞ!」
もう一度「BLディフェンダー・ファイナルモード」による圧縮冷凍の斬撃と、「「エクセレント・ネコタチエックス」による破壊光弾を発射した。が、レッドクイーンに再びチェンジした超モモタロウは、鞭を回転させることで完璧に防御してみせた。
「そんな。同時攻撃も通じないの⁉」
「どうした、終わりか? 今度はこっちから行くぞ!」
二人がわたわたしている隙に、モモタロウはさらにアバターチューンした。
『レッド・ピュアッシュ! よっ、超純粋な超新星!』
見たことのない戦士だった。赤を基調としたアーマースーツに、大きなゴーグルのついたヘルメットを被っている。最後にモモタロウが「シャット・ゴーグル!」と音声コマンドを入力することでゴーグルが下がり、変身が完了した。
けれども二人は、レッド・ピュアッシュのことを知っていた。大魔王が泥人形として作り、自分たちをおびき寄せる餌に使った「超新星・ピュアッシュマン」。彼らのリーダー格だったジンがもし変身していたら、こんな姿だったかもしれない。
実際に彼らがピュアッシュマンへ変身することはなく、百合・BLレンジャーを異国の地へ誘い出した時点で五人の役目は終わり、土へ還ってしまった。そのため何の根拠もないのだが、ツカサは「レッド・ピュアッシュはジンだ」と思った。
鍔がなく、長細いクリスタルのようにも見える剣型の専用武器「プリズム純粋剣」を構え、レッド・ピュアッシュは二連続で必殺技を繰り出した。
「受けてみろ、『ファイヤー・サンダー』! さらに、『スパーク・カッター』!」
炎と雷のエネルギーを刀身に集め、何度も斬りつける。BLファイヤーとBLエックスは大ダメージを受け、装甲が浅く抉られるほどだった。
「くっ……」
「とどめだ。『ローリング・ピュアバルカン』!」
オメガコーヒー本店の駐車場で大暴れしている超モモタロウは、止まるところを知らない。五連装砲を召喚して肩に担ぎ、ターゲットの二人をロックオンした。
「じゃあな。お前たちとの縁もこれまでだ! ハーッハッハッハッ!」
豪快に笑うモモタロウ。ピュアバルカンから光線が発射されるのを、ツカサとナオヤはなすすべもなく眺めていた。ダメージが大きすぎて変身解除され、力尽きて倒れた彼らには、もはやどうすることもできなかった。