百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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第5話 すっげェ~正体

 カイリとツカサは、コウが犯行に及んだ動機を聞き出すことには成功していた。しかし、肝心なことを忘れていた。

 それは、「ショタレンジャーへ変身するための装備をどうやって入手したのか」である。普通の小学生は、書店へ乗り込んで変身して大暴れしたりしない。

 

「一週間くらい前、この剣が僕の前に現れて言ったんです。お前には夢はあるが力がない。俺が力を与えてやる、って」

「つまり、剣がコウくんを唆していたってことか」

 

 だが、そんな奇想天外な話があるだろうか。半信半疑で剣に近づき、カイリはまじまじと見つめた。

 三人に見つめられ、それまでじっとして動かなかった剣が震え始めた。ふわりと宙に浮かび、柄に彫られた虎の顔がコウたちを見下ろす。

 

 

「――コウ。お前、俺と約束したよな? 万が一ヘマをして捕まったときは、俺のことは話さず、自分一人で罪を被れって。そういう条件で、俺は力を貸したはずだぜ」

 

 威勢のよいトークはどこへやら。今の彼は、ひどく落ち着いた声音で話していた。

 

「秘密にしておこうと思ったんだけど、さっき揉んだお姉ちゃんのおっぱいが小さかったから、何だかどうでもよくなっちゃって」 

 

 コウはケロッとしている。

 

「何なのよ、その理由。意味分かんないわよ! 気分屋にも程があるわ!」

「落ち着けよ、ツカサ。良かったじゃないか。お前のAカップのおかげで、真犯人らしき奴を炙り出せたんだからさ」

「全然嬉しくないんだけど⁉︎ あと、AじゃなくてBだから! ギリギリBあるから!」

 

 少年に食ってかかろうとするツカサを、カイリがどうにか押さえる。二人のショートコントを眺め、謎の剣はため息をついた。

 

「はあ。やっぱり、年端のいかないガキを利用しようと思ったのが間違いだったか。使えない奴だ」

 

 その声に、カイリとツカサは取っ組み合いをやめ、真犯人らしき剣へ向き直った。

 

「お前、一体何者だ。どうしてコウを唆して戦わせた?」

「俺か? 俺はな……」

 

 剣はもったいぶるように間を空けた。

 

「俺は高次元生命体。この世界を滅ぼし、植民地化するためにやってきたのさ」

 

 

「俺の目的は、人間の持つ感情を利用して互いに争わせ、人類を自滅させること。その最初の実験台として選んだ国が日本だった。この国ではサブカルチャーが盛んだからな。人々を扇動するための、格好の材料になる」

 

 高次元生命体は高らかに笑った。

 

「東京卍帝国も、そこにいる馬鹿なガキも、すべては俺の計画のための駒に過ぎなかった。どいつもこいつも使えない奴ばかりだったけどな」

 

 卍帝国の名を聞いて、ツカサの表情が強張る。

 

「まさか、ウルザード稀咲って人も……」

「あいつもコウと同じさ。周りの人間に自分の趣味を馬鹿にされ、百合やBLへの情熱が間違った方向へ向きかけていた。だから俺が、その背を押してやったのさ。卍帝国が使っていたパワードスーツや巨大ロボも、俺の技術提供がなければ作れなかったはずだ」

 

 そこで一旦言葉を切り、白虎の剣はツカサとカイリを睨みつけた。

 

 

「俺の計画は完璧だった。ただ一つ、百合エックスとBLエックスという第三勢力が参戦した事実を除いてはな。――計画が順調にいけば、今頃日本は滅んでいたはずだ。百合レンジャーとBLレンジャーが互いに最終兵器を持ち出し、超巨大ロボによる決戦に巻き込まれて国土の大半が消し飛ぶ予定だった。お前たちが邪魔したせいで、台無しになったがな」

 

 卍キングとの戦いで初陣を飾った巨大ロボ、百合カイザーとBLカイザー。あの二機のロボットは、本来なら敵対勢力を潰すための最終兵器として使われるはずだった。もしも白虎剣の思惑通りに事態が進んでいたら、取り返しのつかないことになっていただろう。

 

「ちょっと待て。お前、ウルザード稀咲の居場所を知っているのか?」

 

 知っているのなら吐け、とカイリが迫る。

 

「奴なら今頃、海の底さ」

 

 虎の顔がにやりと笑った。

 

「役立たずの駒はゴミと同じ。俺に粛清されそうになって逃げている途中、トラックにはねられてお陀仏だ。ま、奴の死体が発見されると色々面倒なんで、海へ放り込んでおいた」

「何てことを……」

「いくら相手が犯罪者とはいえ、絶対に許せないわ!」

 

 エックスチューナーを構える二人の手が、怒りで震えている。

 

「安心しろ。お前たちも稀咲と同じところに送ってやる。今すぐに」 

 

 飄々と言い放ち、白虎剣はコウにも視線を投げかけた。

 

「コウ、お前も役に立たなかったな。そっちの二人と一緒に消してやろうじゃないか」

 

 刹那、白虎剣が輝きを放った。剣の輪郭が揺らぐようにして崩れ、人に似た姿へと変わっていく。

 

「これで最後だ、百合エックス、BLエックス。お前たちを始末し、俺は俺の計画を遂行する!」

 

 

 金色の鎧を纏った戦士が現れた。

 ショタレンジャー強化体とでもいうべきだろうか。剣から人型に変身した高次元生命体が、左手を突き出す。

 

「これで終わりだ。吼新星・乱れおねショタ!」

 

 二人も銃撃で対抗しようとしたのだが、全く歯が立たなかった。放たれた衝撃波が百合エックスとBLエックスを吹き飛ばし、変身解除させる。

 この日、百合レンジャーとBLレンジャーは初めて、完全なる敗北を喫したのだった。

 

 

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