百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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⑳未知なる脅威、カップルの進むべき道

「熱々ね~。二人とも、めでたくゴールインって感じね。じゃ、私はこれで!」

「ちょっと待てよ⁉」

 

 そそくさと退散しようとした松本・オリジン・お菊に、裕介がツッコミを入れる。

 

「何か用? 最低限、伝えておくべき私のプロフィールは伝えたと思うけど。あ、もしかしてスリーサイズも知りたい?」

「知りたいのはもっと他のことだよ」

 

 意外とお茶目な反応を見せたお菊に、裕介は少し気勢を削がれた。

 

 

「お菊さんが原典無しの仇討ちに来たのは分かるし、超次元生命体だから『原典』のパワーをある程度使えるのも分かるよ。分かるけど、何でリボンダーマン師匠と同じ力を使えるんだよ⁉ てか、そもそもリボンズドライバーって何?」

「あー、ごめんなさいね。実を言うと、このドライバーはアイロンマンさんが作ったのを拝借してきたの。元々はリボンダーマンさん用に開発されたみたいだけど、普通の人間には扱いにくい代物だから、私が借りておいた方が有効活用できるかなと思って」

「拝借って……無断で?」

「そう、無断で」

「さすがにダメだろ⁉」

「悪かったとは思ってるわ。三武神に対抗する力を得るために、ちょっと強引にやらせてもらったの。ねえ、私の代わりにリボンダーマンさんに謝っといてくれない? おっぱい揉ませてあげるからさ☆」

「全然反省してねえな⁉ 自分で謝れよ、自分で」

「ちぇっ」

 

 

 釣れないなあ、とぼやきつつ、お菊は歩き去ろうとした。

 

「謝っておくわよ。戦いが終わった頃にね」

「まだ戦いは終わってないのか? だって、これで三武神は全員倒したわけだろ?」

「甘いわね」

 

 首だけで振り向き、お菊が真剣な眼差しを向けてくる。

 

「離れ離れになる直前、原典無しはオメガ珈琲シルバー、あなたに注目していた。『こいつになら未来を託せるかもしれん』と喜んでいた。あなた、彼から聞いていないの?」

 

 

『……元々僕ら超次元生命体は、優れた変身能力を持つ反面、想像力に乏しかった。他者の姿を模倣することは得意でも、オリジナルの姿を生み出すことは不得手だったっちゅうわけやな。そこで僕らは、別次元の世界で活躍していたヒーローたちに注目した。彼らの姿を真似して、原典に由来する能力を引き出せるようになったんや』

 

『問題なのは、原典のイメージ付与が、僕らの意志を無視してほとんど強制的に行われたことなんや。空に浮かぶ雲みたいに、決まった形を持たずにのんびり生きとった僕らが、ある日いきなり固定されたイメージに縛りつけられてしもた。お偉いさんは「環境汚染の影響で、もうこの世界に住める土地はない」「生き延びるためには原典に触れて戦闘用の姿に変わり、別次元への侵略戦争を仕掛けるしかない」と説明したんやけど、反発は根強かった』

 

 

「三武神は確かに強い。でも、彼らはあくまで、原典によるイメージ付与を『受ける側』なのよ」

「つまり、誰にどの原典のイメージを与えるかを管理している奴ら――イメージ付与を『授ける側』の奴らがいるってことか。その黒幕を倒さない限り、戦いは終わらないってわけだな」

 

 

『風の噂で、オメガ珈琲シルバーが「BANG・解」を会得したと聞いたの。で、念のために私もそのイメージを付与していただいた。これであなたと互角以上に戦えるわ』

 あのとき、ネトルは「付与していただいた」と言った。三武神でさえも、上の許可なしには原典の力を引き出せないのだ。

 

 

「そうよ。三武神は、イメージ付与を受けた戦闘員の中で抜きんでた者たちが選ばれる。いくら武神を倒しても、いずれまた代わりの戦闘員が武神に任命されてしまう。戦争を仕掛けている上層部こそが、私たちの倒すべき敵なの」

 

 近いうちに会えるんじゃないかしら、とお菊は漏らした。

 

「上層部はめったに前線に出ない。それどころか、自分の部下を出撃させることさえも嫌っている。最初の頃は、部下の代わりに高次元生命体に戦わせていたくらいだものね。だけど、高次元生命体も三武神さえも役に立たないと分かった以上、否が応でも重い腰を上げざるを得ないはずよ」

「要するに、超次元生命体との最終決戦か」

「私はこれから、アマエマックスに追われる中で散り散りになった同胞たちを集めに行くわ。あなたたちも、せいぜい鍛錬しておくことね。来たるべき決戦の日にそなえて」

 

 今度こそ、お菊は足を止めずに立ち去った。ひらひらと手を振りながら。

 

 

「何だか、大変なことになってきたな。一難去ってまた一難というか」

 

 裕介は頭を抱えた。

 

「これからどうすればいいんだろうな。なあ、美明日?」

「……早川くん、おっぱい揉む?」

「は?」

 

 顔を上げると、羞恥に耳まで赤くなった美明日がいた。

 

「さっき、お菊さんが『おっぱい揉ませてあげる』って言ってたから。パートナーとして、私も対抗しておく」

「いや対抗しなくていいよ⁉ てか、別にお菊さんとはそういうんじゃねえから!」

 

 とにかく逃げるぞ、と裕介は彼女の袖を引いて駆け出した。

 

「やっぱり、大学の敷地内で戦っちまったのはまずかった。野次馬が集まってくる前に退散しよう。落ち着いたら、今後のプランについて話し合おうぜ」

「分かったわ。揉むのは保留ということね」

「当分は保留でお願いします⁉」

 

 どこかずれている会話を繰り広げながら、初々しいカップルはすたこらさっさと逃げ出したのであった。

 

 

 三武神は倒された。しかし、イメージ付与を行っている支配層を倒さない限り、根本的な問題は解決しない。

 百合レンジャーとBLレンジャー。アメリカのヒーローたち。お菊をはじめとする、支配層に対するレジスタンス組織。そして新人ヒーローの、オメガ珈琲シルバーと来部。四つの勢力が今、一丸となって巨悪を討たんとしている。

 戦え、オメガ珈琲シルバー! そして来部、リボンズ!

 




※現在、「オメガコーヒー編」に加筆修正を行っております。そちらの作業に集中するため、申し訳ないですが3日ほど更新をお休みさせていただきます。よろしくお願いします。
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