百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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㉒レンタルすりゃもう一回!

「怪盗チェンジ!」

「警察チェンジ!」

 

 瞬時に百合エックスとBLエックスへの変身を遂げ、二人はTSカイザーへ銃口を向けた。

 

「……で、その能力のどこがTS流なわけ?」

「俺は相手の性別ではなく、自分の性別を自在に反転させることができる。今チェンジした『オーレ・T・フォーム』は男性サイド。男らしく、圧倒的な筋力で敵を叩き潰すファイトスタイルを得意とするぜ!」

 

 言うが早いか、TSカイザーは殴りかかってきた。

 

「さあ、行くぞ。今の俺は、走り出したら止まらないぜ! 食らいついたら、離さないぜ! でっかい夢を追いかけるのさ! オーレッ!」

「もしかしてこの人、あたしたちが次元大魔王を倒したときと似たような力を使ってる⁉」

 

 同様に「オーレ!」と叫んだ経験があったので、ツカサは直感的に「同じ原典のイメージを借りているのかも?」と思った。もっとも、彼女たちはたまたま賞味期限が六億年前の珈琲豆で作られた珈琲を飲み、力に目覚めただけだが。

 怒涛の勢いでパンチを繰り出してくるTSカイザーを前に、ツカサとカイリは避けるので精一杯だった。

 

 

「大丈夫か、二人とも!」

 

 そこに、ケイイチロウとサクヤ、トウマとウミカも駆けつけた。四人とも既に変身完了しており、苦戦している二人に加勢しようとする。

 

 

「そうはさせないぜ」

 すう、とTSカイザーが大きく息を吸い込んだ。

 

「こんなこともあろうかと、俺は無貌様から第二の『原典』のパワーを授かっている。お見舞いしてやるぜ。……『T&Sのジェットガトリング』!」

 

 金の戦士の両腕がゴムのように伸び、恐るべき速度で何度も何度も拳を打ち込んだ。あまりのスピードに反応できず、四人がバタバタと崩れ落ちていく。

 

「そして再び、第一の原典のパワーだ。『TSカイザー・超力Tナックル』!」

「うわああーっ⁉」

 

 さらに、必殺技を発動。カイザーが地面に拳を突き込むのと同時、天から巨大な拳型のエネルギー体が降り注ぎ、BL1号たちを巻き込んで大爆発を起こした。

 

「ハッハッハ、どうだ!」

 

 変身解除されて気絶してしまった四人を見下ろし、黄金の海賊は嘲笑した。

 

 

「日本のヒーローとやらも、大したことはないな!」

「まだ俺たちが残ってるぜ」

 

 調子に乗っていたTSカイザーは、隙だらけだった。いつの間にか彼の背後を取っていた百合エックスが、反撃とばかりにゼロ距離から必殺技を放つ。

 

「スーパー・スペリオル・受け攻めショット!」

 

 金の光の奔流を浴びて、さすがのTSカイザーもダメージを受けたようだった。数メートルほど吹き飛ばされたのち、どうにか足を踏ん張っている。

 

「やるな。ならば……『TSチェンジ・ツーカイ』!」

 

 赤色のメダルをTSダリンガーにセットし、回転させてチェンジする。

 

「真剣にレボリューション♡ クールに侍、『シンケン・S・フォーム』よ!」

 

 今度は、真っ赤な陣羽織を纏った姿へと変わった。TSダリンガーもガンモードからソードモードへ変形している。

 ソプラノに変化した声と、陣羽織を押し上げる豊かな膨らみが、このフォームは女性サイドであることを表している。男らしくパワーでごり押しするオーレ・T・フォームとは正反対に、この姿では女性らしい繊細なテクニックによる剣術で戦うのだ。

 

 

「わ、私よりも胸があるなんて」

 

 TSカイザーの胸部をガン見して、ツカサはおののいた。推定Fカップであった。

 

「許せないわ。スーパー・エクセレント・ネコタチエックス!」

 

 彼女の銃から、銀の破壊エネルギーが発射される。その一撃をひらりとかわし、TSカイザーは剣を構えた。

 

「ヨホホイ、ヨホホイ……ヨホホホホ!」

 

 急に、今までとは異質なテンションで高笑いを始めた。笑い方の変化によって何らかの原典のイメージがトリガーしたのか、海賊戦士が新たな技を披露する。

 

「『鼻唄三丁・TS斬り』!」

 

 目にも止まらぬ、超高速の斬撃。気づいたときには、BLエックスは袈裟懸け斬りを浴びせられていた。アーマーから火花が飛び散り、激痛で体から力が抜けていくのを感じる。

 

 

「くっ……」

 

 膝を突いたツカサに、TSカイザーが意気揚々と斬りかかる。

 

「とどめよ。『TS斬・真剣一閃』!」

 

 TSダリンガーのソードモードに巨大な剣の幻影を纏わせ、相手を両断する必殺技である。咄嗟にカイリは跳び、ツカサを抱えて転がった。

 

「え、ちょ、あんた」

「いいから黙ってろ!」

 

 アーマー越しとはいえ、肩と背中に手を回されたのでツカサはドキドキした。

もつれあうようにして転がった二人が数秒前までいた空間を、ダリンガーの斬撃が抉る。アスファルトに大きな溝ができた。

 

 

「立てるか?」

「当たり前でしょ」

 

 百合エックスの手を借りて、BLエックスが再起する。

 

「ここからが第二ラウンドよ。覚悟しなさい!」

「大口を叩けるのも今のうちよ。TSカイザーのパワーは、まだまだこんなものじゃないわ!」

 

 負けじと、金の海賊も吠えた。

 

「さあ、男性的に行くわよ」

 

 またしても「オーレ・T・フォーム」に変わり、襲いかかってくる。

 

 

 TSカイザーの失敗は、最初から全力を出しすぎたことだった。つまり、手の内をさらけ出しすぎた。

「海賊」に関連した原典のイメージを二種類も付与されて出陣したTSカイザーだったが、ケイイチロウら四人を退け、ツカサたち二人を追い詰めた段階で、自分が使えるほぼ全ての必殺技を披露し終えてしまったのだ。

 技のバリエーションが分かってしまえば、回避するのはそんなに難しくない。ツカサとカイリは、ひたすら攻撃を避けながらチャンスを窺っていた。

 

「男らしく、力で圧倒してやる☆ 『オーレ・T・フォーム』!」「可愛く屠ってあげる♡ 『シンケン・S・フォーム』!」と、海賊は次々にフォームチェンジして攻撃するものの、使う技がワンパターンで決め手に欠ける。一方の百合エックス、BLエックスも、必殺技を打ち込んでも大してダメージを与えられていない。

 

 だんだん疲れてきたのか、TSカイザーは台詞を省略し始めた。「はい、次は男!」「女!」という具合で、もうかっこよさの欠片もない。使用する必殺技も、次第に「TSカイザー・超力Tナックル」と「TS斬・真剣一閃」に限定されてきた。

 

 

「どうしたの? さっきのゴムみたいなパンチや、居合切りみたいな技はもう使わないわけ?」

「使わないんじゃない。使えないんだ」

 

 ぜえぜえと荒い呼吸をしながら、TSカイザー(男性サイド)は情けなさそうに答えた。

 

「その原典のイメージは、超次元生命体の間で大人気でな。俺は短時間だけレンタルして使っているから、もう使えないぜ!」

「DVDレンタルするみたいなノリでイメージを借りてる⁉」

「まあ、物凄く要約するとそういうことになるな」

 

 海賊はため息をついた。

 

「無貌様の許可を得て借り受けなければ、俺たちは原典の力を自由に引き出せないのさ」

「なるほど。ネタ切れってことだな」

 

 カイリがポンと手を叩くと、TSカイザーは彼を睨んだ。

 

 

「ハア、ハア……ネタ切れ? 取り消せよ、今の言葉! 次は女らしくいくぞ!」

 

 本日何度目かも分からないフォームチェンジで、「シンケン・S・フォーム」に変わる。しかし、繰り出された剣戟は弱々しく、難なくかわすことができた。

 

「ええい、まだまだ! 人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし。お前らヒーローに、生き場所はいらないわ! 男らしく叩きのめしてあげる!」

 

 別にフォームチェンジしたからといって攻撃のキレが上がるわけではないのだが、海賊はなかなか諦めなかった。「男らしく!」「女らしく!」と宣言して果敢に攻め立て、その度にツカサたちに軽くいなされている。

 




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・ONE PIECE
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