百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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㉔俺の世界、あたしのセカイ

 フリル付きの衣装を風になびかせ、百合ブラックとBLホワイトが強烈なラッシュを仕掛けた。パンチやキックを怒涛の勢いで叩き込みまくり、反撃の隙を与えない。

 TSカイザーも「オーレ・T・フォーム」の格闘で対抗しようと試みたが、攻撃の速度も威力も、あらゆる面でブラックとホワイトに劣っていた。なすすべもなく吹き飛ばされ、ビルの外壁に叩きつけられる。

 エネルギーが切れたのか、フォームチェンジが解けて元々の金色の姿に戻った。だが、まだ闘志を失ったわけではなく、フラフラになりながらもTSダリンガーのガンモードを構えている。

 

 

「……な、舐めやがって。俺だって、鍛錬しなかったわけじゃないんだぞ⁉ お前たちにここまで力の差を見せつけられるのが、理不尽だと感じるくらいにはな!」

「じゃあ聞くが、お前には共に高め合える仲間はいるのか」

 

 カイリの問いに、海賊は答えに窮する。

 

「教えてやる。俺たちはな、お互いにピンチを乗り越えるたび、強く、近くなるんだぜ!」

「そうよ。どんなに嫌なことがあっても、仲間がいればネガティブだってぶっ飛ぶのよ!」

 

 

 百合ブラックの左手と、BLホワイトの右手がギュッと繋がれる。そして、繋いでいない右手と左手を掲げ、ツカサとカイリは想いを込めて叫んだ。

 

「ブラック・サンダー!」

「ホワイト・サンダー!」

 

 天空から黒と白の稲妻が飛来し、二人の頭上で渦を巻くように集まる。やがて、それらはヒーローたちの手に凝縮、吸収された。エネルギーが迸り、百合ブラックとBLホワイトの体を虹色の光が染め上げる。

 

「百合とBLの、美しき魂が!」

「邪悪な心を、打ち砕く!」

 

 かつて次元大魔王は、百合とBLを愛する二人の魂を利用して「性癖補完計画」を発動し、地球を滅ぼそうとしていた。その魂が今、正義の炎に燃えている。

 

 

「「百合&BL・マーブルスクリュー‼」」

 

 ツカサとカイリが腕を突き出したのに呼応し、螺旋状に融合した黒と白の雷が、一気に放たれる。凄まじい量のエネルギーの放出に、二人は足を踏ん張って耐えた。

 

「死ぬ前に、柏餅でも食べたかったぜ~⁉」

 

 巨大な槍のように繰り出された稲妻を喰らい、TSカイザーが跡形もなく爆発四散した。無事に敵を倒したのを見届け、変身を解いたツカサとカイリは笑顔でハイタッチを交わした。

 

「やったわね、カイリ!」

「ああ、ツカサ!」

 

 気恥ずかしそうに、カイリが頭を掻く。

 

 

「……その、何ていうか、改めてよろしくな」

「何よ、かしこまっちゃって。あんたらしくもないわね」

 

 からかうように、ツカサは相棒を肘で小突いた。

 

「ていうか、あたしはずっと前から好きだったのに、よくもまあこんなに待たせてくれたわよね。罰として、今日からしばらくの間、毎日デートしてもらうんだからねっ!」

「いいけど、超次元生命体との戦いが終わってからにした方が良くねえか?」

 

 デートの予定もいいが、負傷して気を失っている仲間を助けに向かうのが先決だ。ケイイチロウたちを介抱しながら、カイリは独り言ちた。

 

「何か忘れてる気がするんだよな」

 

「えっ、何?」と応じたのち、ツカサは彼と顔を見合わせた。

 

「そういえば、ナオヤくんがいないわ! もう。この非常時に、一体どこに行ってるのよ」

 

 

 名古屋やアメリカのヒーローが応援に駆けつけてくれることまでは(距離的な問題もあって)期待していなかったが、百合&BLレンジャーのもう一人の戦士が馳せ参じなかったことは意外である。彼の身に何かあったのだろうか。

 噂をすれば影。そのとき、ツカサは携帯に着信履歴があることに気がついた。さっきまでは変身して必死に戦っていたので、携帯を確認する暇がなかった。

 

「もしもし、ナオヤくん? 今どこにいるの?」

『ああ、ツカサか。すまない。俺は今、名古屋に来ている』

 

 掛け直してみたところ、BLファイヤーこと滝沢ナオヤはすぐに電話に出た。

 

『無貌が電波ジャックでメッセージを送ってきたのを見てすぐに、BLレックスロボに飛び乗って名古屋に向かったんだ。ここ最近は名古屋で超次元生命体が頻繁に目撃されていたから、次も名古屋に現れるに違いないと思ってな』

 

 要するに、山を張ったが外れた、ということである。

 

 

「そういうオチかよ」

 

 ツカサから大体の事情を聞いて、カイリは苦笑した。

 

「しょうがねえなあ、ナオヤの奴。俺たちみたく、以心伝心ってわけにはいかねえか」

「そ、そんな、以心伝心ってほどじゃ……」

 

 爽やかに笑いかけるカイリと、もじもじしているツカサ。

 意識を取り戻したケイイチロウが「ん? この二人、心なしか前よりも良い雰囲気だな?」と怪訝に思ったことを、幸か不幸か、彼らは知らない。

 

 

 はたして、無貌が日本へ送り込んだ刺客・TSカイザーは倒された。愛と絆で結ばれたツカサとカイリの魂が、新しい力を呼び覚まして悪を打ち砕いたのである。

 だが、アメリカにも刺客は放たれている。そして、謎だらけの存在「無貌」の実力とはいかに。一難去ってまた一難だけれども、無茶苦茶タフな二人なら、きっと乗り越えられるはずだ。

 笑う門に福来る。命の花を咲かせて、戦うのだ。頑張れ、百合ブラック! 負けるな、BLホワイト!

 




※次回の更新は1週間後です。
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