百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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㉙迫りくるラスボス!!

「さあ、勝負はつきやした。『病みのゲーム』のルールに則り、坊ちゃんの魂が込められたカードは、あっしが一旦預からせていただきやす。ただし、魂を奪うことまではしたくありやせん。これからは心を入れ替えて、安全で平和なカードゲームを……」

 

 キースのデッキへキンジが伸ばした手は、乱暴に跳ね除けられた。

 

「まだだ。まだ終わっちゃいねえ!」

「いや、だって、今『俺の負けだ』って」

「前言撤回だぜ!」

 

 清々しいほどの開き直りっぷりで、バンダナ男は吠えた。かと思うと、狐を模した仮面と、白と黒二色のアーマーを装着した。

 

 

「泥人形とはいえ、超次元生命体の端くれなんでな。頭脳戦に勤しむだけでなく、こんな風に武闘派に変身することもできるぜ。これこそが俺の真の姿、『超次元ライダー・ギース』だ!」

 

「はて、なぜ『キ』に濁点を付けたんでございやしょう……? ひょっとして、原典の影響が?」とキンジが考えた隙を突き、ギースはライフル銃を召喚、離れたところで決闘を見守っていた店主の親父に飛びかかった。

 

「動くな、キンジ。このおっさんがどうなってもいいのか!」

「何て奴。卑怯でございやすよ、ヤンデレ坊ちゃん!」

 

 親父のこめかみに銃口を突きつけられては、手出しができない。奥歯をぎりっと噛みしめ、キンジは両手を挙げた。

 

 

「ハッ。卑怯もラッキョウも大好物だぜ!」

 

 形勢逆転とばかり、超次元ライダー・ギースは親父の首元に左手をかけ、右手のライフル銃をキンジに向けてぶっ放した。キンジは咄嗟に跳び退いたが、背後にあったテーブルや椅子が蜂の巣にされた。野次馬たちが悲鳴を上げる。人質に取られている親父も、顔が真っ青だ。

 

「終わりだ、キンジ!」

 

 店の隅に追い詰められたキンジ・オネガワに、ギースの銃が迫ったそのとき、テーブルの上に残されていたカードが光を放ち始めた。キースの手札に残っていた「封印されし無貌」の五枚のカードから立体映像が投影され、五つの映像が重なり合って巨大な姿となる。

 

 

『――往生際が悪いぞ、キース』

 

 出現したのは、無貌その人。のっぺらぼうで体全体に凹凸がなく、どこまでも真っ白で真っ平で不気味な存在だ。

 

「む、無貌様。まさか、俺のカードを通して、この決闘をずっと観戦してらしたのですか⁉」

『そうだ。そして、貴様に失望した』

 

 無貌がため息を漏らす気配があった。

 

『負けを認めたと見せかけての騙し討ちだと? くだらぬ。勝利とは、相手を圧倒的に叩きのめして得るからこそ美しい。貴様の戦い方は実に醜悪だ。実力の足りない弱者だからこそ、そのような姑息な手段を取る。本当の強者は、貴様のような戦い方はせぬ』

「お許しください、無貌様。どうか、もう一度だけチャンスを!」

 

 ギースは武器を捨て、バーガーショップの床に頭を擦りつけて慈悲を請うた。

 

 

「次こそは、必ずキンジを葬ってみせます。どうか、どうか……」

『黙れ』

 

 無貌の立体映像が片手を突き出し、虚空で拳を握り締めるような動きをした。途端に、ギースは体を折り曲げて苦しみ始めた。

 

『貴様はただの泥人形。代わりなどいくらでも作れる。貴様の命は無価値だ』

「な、何を」

『そもそも、私が日米両国へ二体の泥人形を送り込んだのは、単なる小手調べ。こんな虫けらどもがターゲットを消せるなどとは思っておらぬ。敵を多少なりとも消耗させ、私が彼らと戦うときの状況が有利になればそれでよい。貴様らは、使い捨ての駒だ』

「無貌、様……」

『うるさい。さっさと死ね』

 

 

 断末魔の悲鳴とともに、ギースの体が破裂する。細かな泥の塊となり果て、彼の命は呆気なく終わった。

 得体が知れない無貌の力に気圧されそうになりながらも、キンジは立体映像を睨みつけた。

 

「無貌とやら。間接的にとはいえ、あっしの命を助けたこと、きっと後悔しやすよ」

『ほう。なぜだ』

「あっしらが、必ずお前さんを倒すからでございやす」

『愚かな。貴様らに私を倒すことなどできぬ』

 

 映像が少しずつ薄れ、バーガーショップ内に無貌の最後のメッセージを響かせた。

 

『言ったはずだ。勝利とは、相手を圧倒的に叩きのめして得るからこそ美しいと。私がキースを処分したのは、私の手で貴様らを完膚なきまでに捻り潰す方が好ましいと判断したからだ。来たるべき決戦の日を楽しみにしておけ』

 

 

 何はともあれ、勝ちは勝ちだ。

 ロリーニンジャーへ変身せずに勝ったのは、初めてではないだろうか。とはいえ、キースや無貌に狙われていたことなどから推測すれば、キンジの正体がヒーローであることなど簡単に推測できそうだが。

 

「大丈夫でございやすか」

「ああ、平気さ」

 

 バーガーショップの店主を助けに向かったところ、特に外傷はないようだった。よく見えない目でキンジを見つめ、親父は静かに言った。

 

「俺は目が悪いから、今日ここで何が起こっていたのか、いまいち分からなかった。だが、分からないなりに一つアドバイスさせてもらうよ。――勝てよ、兄ちゃん。何か、大事な戦いがあるんだろ」

 

 おそらく、親父も薄々勘づいている。でも、あえて言わないのだ。

 

 

「それで、また気が向いたときにでも、俺に詳しいことを教えてくれよ。無くしたものってのは、忘れたときに出てくるもんだからな」

「……分かりやした!」

 

 故郷の人々からの応援の気持ちを受け取り、キンジは力強く頷いた。親父の手を取り、固い握手を交わす。

 

「あっしは絶対に負けやせん。絶対に、皆を守ってみせやす!」

 

 

 アメリカに送り込まれた泥人形ヤンデッレ・キースは、キンジとの激闘の末に倒された。否、正確には、キースにとどめを刺したのは無貌である。

 部下をも非情に切り捨てる無貌に、はたしてヒーローたちはどのように立ち向かうのだろうか? 頑張れ、キンジ! 戦え、ロリーニンジャー! バーガーショップの親父さんも、君のことを応援しているぞ!

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・仮面ライダーギーツ
・仮面ライダーディケイド
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