百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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5 まさかの復活⁉ゴークイーンズ!

 変身を遂げた美明日が、しげしげと自身のアーマーを眺める。

 

「へえ、なかなか神々しい感じでいいじゃない。ベルトから流れる変身音がやかましいのがたまに瑕だけど、そういう仕様なのかしらね」

 

 やたらと「ホーリー」を連呼するベルト以外はお気に召した様子で、彼女はさっそく必殺技を発動した。来部ガンをベルトにセットし、トリガーを引く。

 

『ホーリー来部・ジャスティスフィニッシュ!』

 

 カウンター系の能力ばかり使っていては対策されると判断したのか、無貌は「無貌通行」に頼るのをやめた。ということは、高威力の技をぶつけても即座に反撃される可能性は低くなっている。もちろん他の原典による反撃も予想されるが、効かないことが分かりきっている状態よりは幾分ましだ。

 

「覚悟しなさい。あなたに慈悲は与えない!」

 

 背中の翼を展開したホーリー来部が飛翔し、急降下して跳び蹴りを繰り出した。青白いエネルギーを纏ったキックを、無貌へ炸裂させんとする。

 

 

「――『BANG・解』。『無貌天譴明王』」

 

 そのとき、顔を持たない王は新たな技を発動した。身の丈数メートルはあろうかと思われる鎧武者が召喚され、ホーリー来部のキックを刀で受け止める。かと思えば、軽々とそれを薙ぎ払い、凄まじい力で来部を大地に叩きつけた。衝撃でアスファルトがひび割れ、建物という建物が大きく揺れる。

 

「美明日っ!」

 

 パートナーのピンチに、裕介は悲痛な声を漏らした。

 

「油断した。まさか、二種類も『BANG・解』を使えるとはな」

「知らないのならば教えてやる。私に扱えぬ原典の力など、この世界には存在しない」

 

 どういう原理なのかは不明だが、無貌は手の一振りで砲台と鎧武者を消滅させた。それから、オメガ珈琲シルバーとホーリー来部を順番に見やった。前者はまだ戦えるが、後者は「無貌天譴明王」で大ダメージを受けたようで、倒れ伏したまま動かない。

 

 

「オメガ珈琲シルバー。確かに貴様は、鍛錬によって『BANG・解』の力を身につけた。同系統の技を持つ三武神ネトルに勝利できたのは、自らを鍛えて得た強さが、ただ単に与えられただけの強さを上回ったからであろう。ゆえに、シチュエーションによっては貴様の『BANG・解』が私のそれをも超える威力を発揮する可能性はあった。今しがた、私の技で貴様を仕留めることができずに威力が相殺されたのは、貴様の『BANG・解』がそれだけ優れていたからだ」

 

 しかし、と続ける。

 

「見たところ、貴様が今その身に宿している原典の力は三種類のみ。そのうちの二つはいわゆる『追加戦士』の特性を部分的に引き出しているにとどまり、残り一つは主人公の技の一部を借りていると見た。対して、私が使用できる原典の数は無限に等しい。どれだけ貴様の技が研磨されていたところで、私のすべての技に対応することは絶対に不可能だ」

 

 大型のスナイパーライフルのような武器を召喚し、無貌はその銃口を二人へ向けた。

 

「さあ、受けてみよ。世界を滅ぼすことすら可能な、壮絶な魔法を」

 

 

「魔法って言ったわよね?」

「どう見ても銃だぜ、ありゃ。科学だろ、科学」

 

 科学と魔術が交差するとき、物語は始まるのだろうか。ツカサとカイリはああだこうだと言い合っていた。冷静に考えて、人類の命運がかかった戦いの最中にもボケツッコミしているのだから、とんでもないカップルである。

 

「……というか、そろそろ俺たちも加勢すべきじゃないか? 『無貌通行』を解除している今なら、攻撃が多少通りやすくなったはずだ」

 

 ケイイチロウの提案に、反対する者はいなかった。VSチューナーと推し推し砲で武装し、六人がシルバーの側に並び立つ。なお、傷を負っているナオヤはまだ戦闘に参加せず、破壊された建物の陰から仲間たちを見守っている。

 

 

「まだまだ!」

「心のマグマが目覚めたら、大地とともに立ち上がるぜ!」

「無貌。お前が失った輝く意志が、俺たちにはある!」

 

 ウミカ、カイリ、ケイイチロウが順に気合をほとばしらせたが、男性陣に至っては具体的に何が言いたいのかよく分からなかった。

 

「個々に撃破する手間がはぶけて助かるぞ、弱者の群れよ。まとめて消し飛ばしてやろう」

 

 無貌の余裕は崩れない。ライフルの引き金を引き、魔法を発動しようとした。

 

 

「お待ちなさいですわ~!」

 

 

 ザッザッ、と戦場に足音が響く。三人の女王はブーツで、二人の下僕は全身を黒タイツで覆った変態的な格好であり、素足で歩みを進めた。

 

「なっ……」

「あんたたちは⁉」

「どうしてここに⁉」

 

 その姿を目撃して、百合&BLレンジャーの一同は「信じられない」といったリアクションを見せた。

 

「確か……ええと、すまん。誰だったかな」

「いや、割とマジで誰だよ⁉」

 

 

 一方、BL警察本部で読んだ資料でしか彼女たちの存在を知らないナオヤと、初対面である裕介のリアクションは薄い。それもそのはず、女王たちは物語の序盤、まだ次元四天王が全員倒されてもいない時期に登場した敵キャラであり、途中参戦したナオヤや裕介には馴染みが薄いのだ。

 

 超モモタロウが「アバターチューン」で類似した姿になったり、ヤンデッレ・キースがカードゲーム「性癖王」で対戦中に、トラップカードの効果で女王のカードが場に出たことはあった。が、ちゃんと再登場したのは、今回が初である。

 SMプレイに用いる真っ黒な衣装を着た、三人の女。全身黒タイツの、二人の男。順に赤、青、黄、金、銀のサングラスを装着しており、タイツ男に関してはSM用の蠟燭を一本ないし二本、カブトムシとクワガタムシの角に見立てて頭部に付けていた。

 

 

「何だ? この妙な格好をした者たちは」

 

 あまりにも変てこな奴らが現れたので、無貌は魔法攻撃を中断し、怪訝そうに女王たちを見つめた。

 

「問われて名乗るもおこがましいが、問われなくても聞かせてやりますわ~!」

 

 胸を張ってそう言い放つと、五人の乱入者は横一列に並び、元気よく名乗った。名乗りながらバク宙をかますという、なかなかにアクロバティックな動きを伴っている。

 

「暴れて天晴れ! レッド・クイーン!」

「轟け八雲! ブルー・クイーン!」

「煌めきの凪! イエロー・クイーン!」

「ひとひら風花(かぜはな)! ビート・タイツ!」

「揺らめく霞! スタッグ・タイツ!」

 

 そして、女王三名が鞭を構えて中央に陣取り、ポーズを取った。

 

「「我ら、特命女王戦隊・ゴークイーンズ! クイーンズ、レディー・ゴー!」」

 

 

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