百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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第9話 特命女王戦隊、再集結せよ!

「ううっ。こんなはずでは……」

 

 

 狭く薄暗い刑務所の独房の中で、レッドクイーンはすすり泣いていた。

 

「あろうことか、私たちの至高のSMプレイを百合エックスやBLエックスに邪魔されるなんて。説教された挙句にボコボコにされてしまうなど、屈辱の極みですわ〜!」

「――安心して下さい。私があなたたちにもう一度チャンスをあげましょう」

 

 不意にカツン、と靴音が響く。レッドクイーンは恐る恐る顔を上げ、鉄格子の向こうに立っている男を見た。

 

 髪をオールバックにしたその男は、現代風なデザインのローブを纏っていた。ゴーグル越しにレッドクイーンを見つめ、意味深な笑みを浮かべてみせる。

 

「まあ、あなたは……」

 

 彼こそが、レッドクイーンたち三人の女王に変身ブレスを授けた人物。またの名を高次元生命体エンダーという。

 女王たちは彼の正体を知らないし、何のために手を貸してくれるのかも知らない。どうやってこの刑務所内に侵入できたのかも不明だ。だが、SMプレイの良さを広めるためには、利用できるものは何でも利用するつもりであった。

 

 

「これをどうぞ」

 

 エンダーの手から機械の触手が伸び、独房の鉄格子をいとも容易く切断する。そして、レッドクイーンが礼を述べるよりも早く、三つのブレスを投げて寄越した。

 

「強化型の変身アイテムです。性能は百合エックスたちのスーツを上回ります。次こそは、彼らに邪魔されても簡単に蹴散らせるでしょう」

「感謝感激、雨あられですわ〜! それではさっそく、変身してみますわ!」

 

 自分の分のブレスを左手首に装着し、レッドクイーンは「レッツ、モーフィン!」という掛け声とともに変身を遂げた。見た目は前回とほとんど同じ黒い革のスーツだが、カラコンではなく赤いサングラスを装用している。

 

「頼みましたよ」

 

 ブルーとイエロー、タイツマンをも独房から救出すべく、大急ぎで駆けていくレッドクイーン。その後ろ姿を見送りながら、エンダーは独り言ちた。

 

「こんなにも侵略するのに手間がかかる世界も珍しい。そろそろ本腰を入れて攻撃していかないと、マジェスティからの私の評価はガタ落ちですよ」

 

 

 BLエックス・ツカサの朝は遅い。なぜなら、今日の彼女は非番なのだ。

 BL警察女子寮の一室で、ツカサはベッドに横になり、ぐっすり寝ていたのだが。

 

『起きろ、ツカサ! 事件発生だぜ』

 

 突然カイリからかかってきた電話で飛び起きた。寝ぼけ眼をこすりながら、携帯を手に取る。

 

「もう、何なのよ。せっかく二条悟と石黒恵カップルの夢を見ていたのに……」

『いいから早く来い! スリークイーンズSが脱獄したんだ!』

「ええっ?」

 

 切羽詰まった調子でまくし立てるカイリを前に、ツカサはようやく「これは只事ではない」と理解した。ぼんやりしていた意識が一気に覚醒した。

 

 

「オーッホッホッホ!」

 

 やかましい笑い声とともに、三人の女王と二人の下僕が建物内へ突入する。中にいた筋肉質な男たちは、キョトンとした顔で彼女たちを見た。

 今回、女王たちが狙ったのはスポーツジム。前回は百貨店を舞台にした壮大なSMプレイを行おうと目論んでいたけれども、「最初から男がよく集まる場所を狙えば、わざわざ女性客を追い払ってからプレイを始めなくていい」とようやく気がついたようだ。

 

「今からここは、私たちが占拠させていただきますわ〜!」

 

 そう宣言し、レッドクイーンらは鞭を振り回した。トレーニングマシンが叩き壊され、たちまち男性客たちは逃げようとする。

 

「おっと。ゲームからの離脱は認めませんわよ!」

 

 彼らを捉えようと、ブルーとイエローの鞭が長く伸び、獲物を絡め取らんとした。しかし、彼方から放たれた二発の銃弾がそれを阻む。

 

「何者⁉︎」

 

 鞭を弾かれてしまい、女王たちは悔しそうに唇を噛んだ。おかげで男たちにも逃げられた。

 

 

「そこまでだ、スリークイーンズ!」

「とっとと牢屋に戻りなさい!」

 

 颯爽と現れた百合エックス、BLエックスが、エックスチューナーの銃口を敵に向ける。

 

「オーッホッホッホ! 今の私たちは、もはやスリークイーンズなどではありませんわ〜!」

 

 一方のレッドクイーンたちは高らかに笑った。

 確かにカラコンではなく赤、青、黄のサングラスを装着しているし、二人のタイツマンはなぜか、金と銀のサングラスに加えて頭に赤い蝋燭をつけている。

 

「スリークイーンズじゃないなら、一体何なのよ」

「問われて名乗るも烏滸がましいが、問われなくても聞かせてやるわ。レッド・クイーン!」

「ブルー・クイーン!」

「イエロー・クイーン!」

「ビート・タイツ!」

「スタッグ・タイツ!」

 

 全員が軽いポーズを取って名乗った後、リーダーのレッドクイーンが両の拳を合わせるようにして号令をかけた。

 

「五人揃って、特命女王戦隊ゴークイーンズですわ〜! クイーンズ、レディー・ゴー!」

「ちょっと待った」

 

 しかし、残念ながら今回もツッコミどころが多い。百合エックスに待ったをかけられてしまった。

 

「まず、クイーンズじゃないよな。タイツ男が二人混じってるし」

「オーッホッホッホ! 細かいことを気にしていては、SMプレイはできないわ!」

「ていうか、前回はタイツマン三人いなかったか? 何で今日は一人足りないんだよ」

「何でって、原作が五人だからそれに合わせたに決まって……じゃ、じゃなくて、今日はお風邪でお休みなのですわ〜! オホホホホッ」

 

 

 レッドクイーンは何かを言いかけたが、高次元生命体エンダーの大いなる意志がそれを邪魔したようだ。

 

「私からも質問。タイツマンがビートとスタッグ扱いなのはどうしてなの? カブトムシやクワガタムシの要素があるようには見えないけど」

 

 小さく手を挙げ、BLエックスもツッコんだ。

 

「簡単ですわ。蝋燭を一本頭につけている方がビート、二本つけている方がスタッグなのですわ〜!」

「まさか、SMプレイ用の蝋燭を虫の角に見立ててるっていうの……?」

「何か問題あるかしら?」

 

 かなり無理矢理感のある解釈だが、女王たち本人はあまり気にしていないらしい。気を取り直して攻撃開始してきた。

 

「オーッホッホッホ! 女王なれども、暴れますわよ〜!」

「忍ばずワッショイですわ〜!」

 

 鞭を振り回し、突進してくる彼女たちを、ツカサとカイリが迎え撃つ。

 こうして、ゴークイーンズと百合・BLエックスの再戦が始まったのだった。

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・ゴーバスターズ
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