百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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18 BLACON、兄妹攻神になる

「インストール、『オメガ珈琲シルバー』!」

『バーサス・アップ! HUMBLE(謙虚)! SINCERE(誠実)! ORIGINAL(本来)! 超次元ライダー・来部!』

 

 裕介は銀をベースに金のラインが刻まれた戦士へ、美明日は蝙蝠の意匠を持った白の戦士へ変身を遂げた。同時に横へ跳び、BLACON・SUNの蹴りをかわす。

 専用武器・来部ガンから美明日が光弾を放つと、それを胸部に受けたバッタ怪人は怯んだ素振りを見せた。隙を逃さず、シルバーが珈琲ブレイザーを構えて接近。ソードモードで果敢に斬りかかる。

 ブレイザーの刃を腕で受け止め、BLACON・SUNは唸った。

 

 

「やるな。だが、こんなところで手こずるわけにはいかない。日米の全ヒーローを抹殺するまで、俺の戦いは終わらないのだからな!」

「なあ。純粋に疑問なんだが、何で俺たちのいる名古屋を真っ先に狙ってきたんだ? 東京とかニューヨークとか、普通は首都を先に攻撃するもんじゃないのか?」

「早川くん、アメリカの首都はワシントンだよ……」

「あ、そうだっけ。失礼しました」

 

 激しいバトルの最中、呆れたような美明日の声でちょっと空気が和んだ。

 

「おのれ。俺は真面目に戦っているというのに、お前たちは夫婦漫才か。ますます、許さん!」

「いや、別に漫才してるつもりはなくてだな?」

 

 

 怒りを爆発させた怪人の攻撃が、勢いを増す。刃を力任せに振り払い、強烈なパンチを続けざまに放ってきた。反射的に、裕介はバックステップで回避した。

 

「まあ良い、答えてやる。実は、最初は東京を襲撃する予定だったのだが、百合・BLレンジャーのメンバーのうち二人が『信州そばを食べたい』という理由で長野へ小旅行に行ってしまったらしくてな。どうにも張り合いがないので、仕方なく名古屋に来たというわけだ」

「その割にはノリノリで名古屋駅ぶっ壊そうとしてたよな⁉」

 

 ブラゴクウがオメガ珈琲シルバーを狙った理由も「ロリーニンジャーが不在だから代わりに他のヒーローを処刑します」という八つ当たりじみたものだったけれど、どうもブラコン系の超次元生命体は行動原理が適当な気がする。

 なお、ブラコン系にはもう一つ共通点がある。ブラコンの性癖を反映した固有能力をほとんど持たず、原典のイメージに任せた攻撃を仕掛けてくる。要するに、絡め手を使ってこないパワー型ということだ。

 

 

 BLACON・SUNの場合は、純粋な格闘技に特化している。パンチやキックの破壊力だけなら、ブラゴクウに勝るとも劣らないだろう。しかし、超次元ライダーの姿になれないからか、彼は武器や必殺技の類を一切使えないようだった。次第に形勢はシルバー・来部側の有利に傾き、二人が放つ必殺技に対してBLACON・SUNは防戦一方だった。

 

「『ブレイザー・珈琲インパクト』!」

『来部・ジャスティスフィニッシュ!』

 

 光弾を連射しつつ接近したオメガ珈琲シルバーが、ブレイザーのソードモードで一閃。さらに、蝙蝠の牙の形をした破壊エネルギーを纏った跳び蹴りが、来部によって繰り出される。「ぐあっ」と苦悶の叫びを上げ、バッタ怪人はよろよろと後退した。両腕でガードしたものの、さすがにダメージを殺し切れなかったらしい。

 

「……どうした。そんなものか、オメガ珈琲シルバー、超次元ライダー・来部。お前たちの全力を、俺にぶつけてみろ。『BANG・解』でも強化フォームでも、何でも来い!」

「断る」

 

 挑発とも受け取れる怪人の台詞を、裕介は取り付く島もなく一蹴した。

 

 

「お前、完全体になれないんだろ。百パーセントの力を発揮できない相手を全力で叩き潰すのは、俺の主義に反する」

「何だと。お前、俺を舐めているのか!」

「舐めてるわけじゃねえよ」

 

 ぎらぎらした目をしている怪人へ、マスクの下で冷静な眼差しを向ける裕介。

 

「俺が全力を出していないのには、もう一つ理由がある。お前が死に場所を求めているように見えるからだ」

「……死に場所だと?」

「お前だって薄々、気づいていたんじゃないのか。完全体になれない状態で、複数の敵に一人で挑むことが、どれだけ無謀なことなのかを。気づいていたけど気づかないふりをして、復讐のためだと自分の心に嘘をついて。そうして、お前は今ここに立っているんじゃないのか? 王を亡くした喪失感を埋める方法が分からなくて、半ば自暴自棄になって攻めてきたんじゃないのか?」

「なかなか冴えた推理だが、残念。ハズレだ」

 

 

 肩をすくめ、BLACON・SUNはおどけてみせた。

 

「地上戦でお前たちに勝てると思い込むほど、自惚れてはいないぜ。自分の実力は理解しているつもりだ。そして、だからこそ奥の手を用意しておいた」

「奥の手?」

 

 嫌な予感がした。わざわざ「地上戦」と言及したからには、地上以外で戦う手段を持っているということだろうか。

 はたして、裕介の不安は的中する。名駅を踏み潰すか踏み潰さないかギリギリの場所に、突如として巨大ロボが降り立ったのだから。

 虚空から出現したオレンジ色の龍型メカと、紫色の虎型メカが、龍が虎を内側に抑え込むような独特の合体シークエンスを経て完成。バッタ怪人は「トウッ!」と叫び、龍の頭部と虎の爪を装備した、中華風な二体合体のロボットへ乗り込んだ。

 

 

「完成! 『兄妹攻神(ブラブラコンジン)』!」

 

 大剣を右腕に構え、巨大ロボが吠える。

 

「……驚いたか? この『兄妹攻神』は、元々は超ブラゴクウ様のために造られたものだった。ブラコン性癖の正当な継承者である俺が、密かにそれを受け継いでいたというわけさ」

 

 そんなものを継承して嬉しいのかどうかはさておき、コクピットから地上を睥睨して、BLACON・SUNは言い放った。

 

「実力不足は承知の上。ただし、先人が残したものを使いこなせる程度の知恵は持ち合わせているつもりだ。『兄妹攻神』の超パワーで、お前たちを蹴散らしてやる!」

 

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