PSYCHO-PASS -confrontation of orphen-   作:鈴夢

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正義とは

 

 

・・・・・・・・・

 

新宿区立区民ホール

 

収容人数は2000人。都内でも有数のキャパ数を誇る有名なホールだった。複数のメディア関係者や、著名人。一般人も多く見受けられ、席は満員。

そして、会場の外には、それぞれの党の応援者達で溢れかえっていた。

 

 

肯定党、有栖川吉富 元東京都知事の不祥事の事もあり、都内の政治状況は酷く曇り、その結果、後援会の一部が過激な行動を起こしたり、常に緊迫した状況が続いていた。

 

この状態で、さすがに討論会を止めることも出来ず。むしろ、確証がない事もあり、むやみに口を挟む事も危険だった。

 

 

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ホールの裏口の駐車場に停められた、護送車とパトカー。

一係の面々は駐車場にてブリーフィングを行う。

 

全員、常守へと視線を向ける。

 

「討論会スタートまであと40分。

両党の関係者に説明しましたが、聞き入れてもらうことはできませんでした」

 

常守は即、両党の関係者に説明をしたものの、軽くあしらわれる程度で聞き入れようとすらしなかった。

強制的に止められるような措置もできず、こうなれば犯行が行われる前に阻止しなければならない。

 

「まあ、確かにそうですよね。

いきなり私達が現れたところで、爆破予告なり、何かしらの妨害は彼らは慣れっこでしょうから。"何を今更そんな事で"なんて思われても仕方ない」

 

霜月は怠そうに首を回すと、ホール外の敷地で叫び散らしている、過激な群衆に目を向ける。

彼らにとって、そんな犯罪よりも、この政治活動を優先したいに決まっていた。

 

「とにかく、危険物や不審者、テロに繋がりそうな要因を片っ端から調べて潰していきましょう。

あと…言い忘れてましたが…」

 

常守は言葉を止めると、新たに現れた車両に目を向ける。

 

同じ護送車とパトカー。

中から現れたのは三係のメンバーだった。

 

「緊急案件ということで、三係と共同で警戒を行います。この施設の規模から考えて、私達だけでは危険だと判断したので」

 

ゆっくりとした足取りでこちらへ向かってくる三係。

 

「…勘違いだった、じゃ済まないわね、舞白」

 

「勘違いであって欲しいけど…

それはそれで、何も無くて…」

 

トントンと隣の舞白の肩を叩き、耳元で霜月が囁く。

しかし、それはそれで何も無ければいいのだが…と

 

 

そして、三係の監視官2名、執行官4名が合流。

 

 

「三係監視官の宮舘 薫」

「同じく監視官、如月 亮汰」

 

男性監視官の2人。やけに敵視されているような視線を舞白は感じると、笑みを向ける。

 

「宮舘監視官、如月監視官。

この件に関して、私から…」

 

舞白は簡単に事を話そうと口を開く。しかしそれは遮られてしまう。

テロの疑いがあると言い出した舞白に対し、2人は眉を顰める。

 

「あなたの無茶な捜査、行動は日々の報告書で把握させて頂いてます。今回のテロの疑い、あなたのただの妄想であった場合、外務省に抗議させてもらうよ」

 

2人は、外務省の人間が補佐官として一係に身を置いている舞白を、快く思っていなかった。

 

「その背中に背負っているマークに、恥じぬ行動を心掛けてくださいね?狡噛監視官"補佐"。」

 

やたら"補佐"という言葉を強めて口にした宮舘。

公安局のジャケットを纏った舞白を指を差すと小馬鹿にするように口角を緩める。

 

一係の面々は何も言わないものの、全員眉を顰めていた。

しかし、舞白は笑みを崩すことなく、2人を見据える。

 

「いつも私がご迷惑を掛けてるみたいで申し訳ありません。」

 

へへへっと呑気に笑みを浮かべるも、瞳は笑っていない様子だった。

 

 

「…出来れば、私の妄想であって欲しいのですが、残念ながら私は黒だと考えてます。何も無ければ、それはそれで良かったと、思っていただければ嬉しいです。」

 

舞白の怯まない様子に、更に眉間に皺を寄せる2人。

同じく、執行官達もどことなく敵視を向けていた。

 

 

その様子に、常守は困ったようにため息を漏らすと。

再びブリーフィングを始める。

 

「とにかく、時間がありません。

今から指示を出します」

 

常守、須郷。

霜月、宜野座。

舞白、雛河。

六合塚は唐之杜と共に後方支援。一係は4つに別れて行動。

相手の出方が分からない以上、ある程度パワーバランスを考えてのペアだった。

 

三係は2チームに別れて。それぞれが決められたポジションにつく事に。

 

 

「雛河さん、よろしくお願いします。」

 

「よ、…よろしくお願いします。監視官」

 

雛河と2人行動は初めての事。

分析力に優れ、自分とは違う幅広い知識を持つ雛河の事を、舞白は心底尊敬していた。

 

舞白、雛河ペアは、主に議員たちが利用しているバックヤード、舞台裏を回ることに。

 

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霜月と宜野座。2人は会場内の客席の捜査を行う。不審者が居ないか、不審物はないか。目を凝らして確認していく。

 

 

「へぇ〜、小宮カリナ…、やっぱり政治家に転身するんだ」

 

客席の傍聴者が手に持っていたパンフレット。

それをよく見てみると、肯定党の演説者の目玉として、登壇するらしい。

 

「アイドル政治家、歳は最年少の18歳。

…シビュラの考えていることはよく分からないな」

 

宜野座も同じく、それを目にすると呆れ顔を浮かべる。

やけに傍聴者の中に、若い人物が多いと思えば、恐らくは小宮カリナのファン。

政治活動には興味が無さそうな、そんな身なりの若者も目につく。

 

「舞白、大丈夫かな」

 

「珍しいな、そんなことを言うなんて」

 

「そういう意味じゃなくて。あの子、小宮カリナのファンよ?捜査の手前、そっちにうつつを抜かされたらシャレにならない」

 

以前、2人で出かけた時に小宮カリナのファンだと(しかもかなり昔から)

公言していた舞白を違う意味で心配していた。

 

「控え室なんかに配置するべきじゃなかったかも。」

 

「さすがに、仕事中にそんな事で気を抜くやつじゃない。安心しろ」

 

「…まあ、確かに。」

 

そんなこんなで話をしていると、会場の照明が暗くなっていく。

2人は会場の端で全体を監視し続ける。

 

向かい側には、三係が待機していた。

 

 

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『会場内に入る際のセキュリティチェックは全員問題なし。登壇予定の議員全員のセキュリティチェックも同じく、何も怪しそうなものは見つかってないわ』

 

六合塚は会場外の車両にて待機。

あらゆる情報を精査していた。

 

『あと、一般傍聴者の年齢層は圧倒的に10代後半から20代。政治関係の催事に、ここまで若年層が集まるのは史上初よ。確実に小宮カリナの影響ね』

 

唐之杜も同じく、様々な情報を仕入れては開示していく。

 

「舞台裏から覗いても分かります。ここまで政治関係の催事に若年層が集まるなんて、ある意味悪いことでは無いですが…ただのファンじゃなければ」

 

舞台袖で様子を伺う常守と須郷。

前列は他の議員たちで溢れ、後方は一般傍聴者。ハッキリとした席の境目が分かるほどだった。

 

「しかし、こんな揉めている最中に討論会なんて。何を考えているのか理解できません。元都知事の件もあったばかりなのに」

 

須郷は舞台袖に控えている議員たちに目を向ける。明らかに不仲そうな関係性を見ると、サイコパスの悪化を恐れないのかと疑問視する。

 

「移民賛成派の優生党。移民反対派の肯定党。徐々に開国を初めて、帰化移民や難民の受け入れも増えてます。しかし、それによって関連した事件も増加傾向。テロの可能性はどうあれ、この討論会が無事に何事もなく終わるなんて考えられませんね」

 

常守も議員たちへ目を向ける。

互いが自らの正義のために、相手を打ち負かそうと。

一体、この公式の場でどのような討論が開かれるのか見ものだった。

 

 

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