PSYCHO-PASS -confrontation of orphen-   作:鈴夢

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__プロローグ

 

 

 

 

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2120年10月中旬―――

―― 佐渡海上市国立病院

 

 

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「うん。経過は良好。また定期的に投薬は続けましょう。」

 

 

 

総合病院の診察室にて。

温厚そうな、若い男性医師はモニターに映されているレントゲン写真や、経過が記された書類を目にすると、目の前の椅子に座る女性に微笑みかける。

 

 

 

「良かったです。

――本当に、先生のお陰です。」

 

 

椅子に座る女性の横に立つ男性はそう口にすると、ホッと安堵した様子だった。

 

 

「外務省特別捜査官。守秘義務も多く、大変な仕事も多いと思いますが、良くここまで回復されましたね。今後とも、奥様には最高のスタッフを手配しますよ。九州の姉妹病院と連携を取りつつ、今後もしっかりと経過観察を行いましょう。」

 

 

「……ありがとうございます。」

 

 

椅子に座る女性も頭を下げ、礼を述べる。

そして、横に立つ男性を見上げるように視線を向ければ、嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 

 

 

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同時刻――

―― 佐渡海上市国立病院 総合受付

 

 

 

 

複数の人々が診察を待っていた。溢れんばかりの人々を前に、診察を終えた、とある夫婦が受付前で会計待ちをしていた。

 

 

女性は目に障害を持っているのか、右手には視覚障害者が使用する白杖を持っており、左手は隣の男性の腕をしっかりと握っていた。日本人離れした顔立ちに、ブラウンカラーのボブヘア。黄色いカチューシャを付けた可愛らしい女性。

 

女性の隣に立つ、スーツ姿の男性は、かなり身長が高く、目を引くような存在。女性と同じく顔立ちは、パッと見、日本人とはかけ離れており、切れ長で知的な印象を受ける。

 

 

 

 

「ごめんなさい。研修所を退所した次の日に、いきなり病院に付き合わせるなんて.......」

 

女性は申し訳なさそうに、隣の男性に謝罪を述べる。どうやら、2人は夫婦のようだった。

 

 

「大丈夫だ。それに、俺も"舞子"の目の様子を聞いておきたかったからな。今年中に手術が受けられれば良いんだが。……それに、"灼"も心配してる。今日の結果を、後で教えろと――」

 

 

2人が穏やかに会話をしていると、突如、隣の受付で怒号が飛び交う。

 

 

 

 

 

 

「いつまで待たせるんだ!?もう何時間も待たされているんだぞ!?」

 

 

眼鏡をかけた白髪の年配男性が、かなり怒った様子で受付の看護師に怒鳴りつける。その様子に、困りきった女性看護師は必死に宥めるように口を開く。

 

「申し訳ございません。順番に対応しておりますので……」

 

「順番順番と、一体俺の番はいつ――」

 

怒り狂った男性がふと隣に立つ夫婦に目を向ける。すると2人に指を差せば、再び怒りが籠った声を上げ始めた。

 

 

 

「入国者が何で先に診察を受けてるんだ!?入国者なんて、最後の最後で良いだろう!?……さっさと俺の順番を――」

 

 

 

困り果てた様子の夫婦の前に、とある2人組が盾になるように現れる。重圧感のあるその2人を目にした老人は声を詰まらせれば、何か言いたげにじっと睨みつけていた。

 

同時に、怒号を浴びせられていた入国者の夫婦は、目の前のに立つ2人に驚いた様子で目を向けていた。

総合受付前で受信を待つ人々も、その様子に緊張した様子で見守る。

 

 

 

 

 

 

 

「静かに。ここは病院なんだが?」

 

 

トレンチコートを羽織った高身長の男性が、目の前の老人に宥めるように言葉を放つ。すると、その老人は、その隣に立つ白髪の女性に的を搾ったように再び指を差す。

 

 

「何だお前たち?…それに、その女も入国者か?何だこの病院は?外国人を易々と受け入れおって!コイツらのせいで、日本は――」

 

 

刹那、必死に怒りを押え、黙り込んでいた"白髪の女性"は、堅い笑みを浮かべたまま、相手の老人の腕を掴む。決して力は込めないものの、掴まれた手からは怒りの様子が伝わっていた。

 

 

「これ以上ことを荒立てるなら、私の知り合いの公安局のお偉いさんに突き出しちゃいますよ?おじいさん?」

 

「…………それ以上はやめろよ、"舞白"」

 

 

隣で老人の腕を掴む自分の"妻"にあたる人物は、何をしでかすか分からない。今までの経験上だと、すでに目の前の老人を背負い投げでもしているだろうと想像する。しかし、それを本当にやられてしまえば、かなりマズイことになりかねない――

 

 

「ッ……お前みたいな奴に、公安局の知り合いが居るだと?嘘をつくな!外国人!」

 

白髪の女性、宜野座舞白は浮かべていた笑みの裏で何かがプツンと切れる感覚に襲われる。しかしこれ以上、手を出すことはご法度。思わず掴みかかろうとする衝動に駆られるも、なんとか心を落ち着かせるように、深く息を吐く。

 

すると、相手の老人にだけ見えるように、自分の身分証をかざせば、老人の顔が青ざめていく。

 

"外務省"その文字が見えただけで、恐れた表情を浮かべる姿は滑稽だった。

 

 

「嘘じゃないです。それなりに、関わりはあるんですよ。……それに、一応私は日本人です。外国人って言われても構わないけど、全然。」

 

「くっ…………」

 

舞白は老人から手を離せば、追い打ちをかけるように隣の男性――宜野座伸元も言葉を放つ。

 

「こっちも騒ぎを起こす気は無い。とにかく、ここの職員の指示に従うべきだ。入国者だからと、罵倒する事は許されない。皆平等に、きちんと診察は行われていますから――」

 

宜野座と舞白の後ろで静かに様子を見守る夫婦は、その背中に何か感じるものがあった。特に声を発さず、ただただ様子を伺い続ける。

 

 

多数の人々が見守る中、まるで論破されるような、自分が酷いことを行っていると言われる様に怒りは頂点に達していた。

 

 

 

 

「ワシは認めんからな!入国者共に、この国は好きにさせん!渡さんからな!!」

 

声を荒あげ、大声でそう言い散らせば、老人はその場から逃げるように消えていく。それを見ていた人々も、しばらくすれば何事も無かったかのように振る舞い始めていた。

 

 

 

 

 

「……舞白。」

 

「あー……ムカつく。……あーいう人、本当に許せない。」

 

「お前があの老人を投げ飛ばさないか、ヒヤヒヤしたさ」

 

舞白は両手を腰に当て、盛大なため息を吐いていた。とりあえず大事にならなかった事に安心した宜野座は、舞白の背中をポンポンと叩く。

 

 

 

 

 

 

「あの……すみません。僕達を――」

 

まるで自分たちを庇ってくれたように盾となってくれた見ず知らずの2人組。

 

そんな2人の背後で立ち尽くしていた夫婦。宜野座と舞白はその声を聞いて、思い出したかのように後ろに視線を向ける。

 

 

「いや、黙って見ていられなくてな。」

 

「本当本当……あんなこと堂々と言う人がいるなんて、信じられない」

 

 

 

むーーっと口をとがらせる舞白。傍らで"やれやれ"と言わんばかりの視線を向ける宜野座。強引ではあったものの、外国人に違いは無い自分達を守ってくれた2人に感謝を示していた。

 

 

 

 

「あなた?助けてくれた方が前にいるのよね?」

 

「あぁ」

 

舞子という女性は目が見えない為、宜野座と舞白の人物像が伺えない。しかし、お礼を述べたいと、深々と頭を下げる。

 

 

「ありがとうございます。……あの、もし宜しければ名前を」

 

「ぜひ、僕からも。なにかお礼を――」

 

 

そんな大したことをした訳では無い。舞白はブンブンと手を振れば、隣の宜野座と同じく首を振る。

 

 

「そんなそんな、むしろ勝手に、何か大事にしちゃったし……」

 

「少々、妻は乱暴でね。……逆に、もう少し揉めていたら多分殴―」

 

「もう!さすがに病院で人様に怪我を負わせるような…………って!時間!やばいよ!美佳ちゃんに文句言われるし、早く行かないと」

 

 

デバイスで時計を確認すれば、この後の霜月との約束の時間が迫っていることに気づく舞白。

 

 

「えーーっと。というわけで、私たち行かないといけなくて……」

 

「悪いが、お暇させてもらうよ。」

 

 

2人は有無を言わさず、移民の夫婦の前から立ち去る。せめて名前だけでも聞いておきたかったと、男は後悔している様子だった。

 

 

 

 

「いい人たちだったわね。」

 

「ああ、そうだな。……俺たち移民にとって、彼らのように理解を示してくれるような存在は心の救いだ――」

 

 

出入口へ向かう2人の後ろ姿を目で追う男性。

手を繋ぐ、仲睦まじい様子の2人の背後を、微笑ましく見据えていた。

 

 

 

すると、その2人と入れ違うように1人の青年が小走りで出入口から現れると、男性は見覚えのあるその姿に、小さくため息を漏らした。

 

その青年はキョロキョロと総合受付の広い空間を見回し、探していた2人の姿を見つけると、ブンブンと大きく手を降れば、陽気な様子で駆け足で向かってきた。

 

 

「けーーーーい!!舞ちゃーーーん!」

 

受付に響き渡る声に、おそらくは"ケイ"という名前を持つ男性は呆れたように息を吐く。

 

「……灼」

 

 

2人の前に姿を現した青年。栗色の髪の毛がふわふわと跳ね、まるで子犬のように可愛らしい印象を持った人物。

舞子はその声の持ち主の存在に気づけば、自然と笑みをこぼしていた。

 

 

「あっちゃん!わざわざ病院まで来てくれたの?」

 

「へへへっ、待っていられなくてさ?そろそろ診察が終わる頃かな〜って、見計らって飛んできたんだよ?それに、退所して暇だったし」

 

「……"灼"、ここは病院だぞ?声が響くんだ、全く……」

 

「ごめんごめん、久しぶりに舞ちゃんに会えて嬉しいんだよ、"炯"」

 

 

"参ったな〜"と申し訳そうに頭を搔く仕草をする灼。

 

しばらくすると、会計待ちの順番が来れば、舞子の夫である炯は支払いをする為にその場を離れる。

 

 

 

「それより、何かあった?……炯の表情を見る限り、ついさっきここで何かあったとしか思えないんだけど?」

 

敏感に2人の様子を察知した灼は、舞子に問いかける。

 

 

「うん。さっきね、私と炯を助けてくれた人がいてね……名前も、何も聞けなかったんだけど、すごくいい人達で……」

 

舞子の言葉を聞き、灼はふと出入口に視線を向ける。既に、その人物の姿は無いが、なんとなく、すれ違った2人組を思い出す。

 

 

「……そっか。良かったね。舞ちゃん」

 

「移民、外国人……大変なことばかりだけど、優しい人たちもいるって知る度に安心するの。……本当に、さっきの人たちにはお礼をしたかったんだけど――」

 

「僕も会いたかったな。舞ちゃんがそこまで言うなんて。」

 

いつも表情が硬い舞子が穏やかな笑みを浮かべていた。その様子を見た灼は、心底その2人に会ってみたいと心の中で考えていた。

 

 

そうしていると、会計を終わらせた炯が2人の前に再び姿を現した。

 

 

 

「会計も終わらせた事だし、帰ろうか。久しぶりに舞子の手料理が食べられる……」

 

「研修所のご飯。フードプリンターの合成料理ばっかりで、本当に味気なかったよね?」

 

 

公安局 キャリア研修所での食事を思い出した灼は、眉を顰める。同じく、炯も目を細め、あまり口にしたくない、なんて呟いていた。

 

 

「ふふふっ……じゃあ今日は、2人の退所祝い、それと公安局入局のお祝いも兼ねてご馳走作っちゃおうかな?」

 

「やった〜!舞ちゃんの手料理!」

 

「あまり無理はするなよ?舞子。俺達も一緒に作るからな?」

 

 

舞子は幼なじみの灼と夫の炯に挟まれると、3人はゆっくりと歩みを進める。

 

「やっと、また3人で過ごせるね。炯、あっちゃん。」

 

「そうだな。舞子」

 

「僕も嬉しいよ。舞ちゃん♪」

 

 

 

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「はっ……はぁ……はっ……」

 

 

 

 

街中を駆け抜ける舞白。

 

 

 

 

そして、待ち合わせ場所にたどり着き、とある人物を見つけると、手を大きく振り、名前を大きな声で呼びかける。

 

 

 

 

 

 

「美佳ちゃーーーん!」

 

 

 

霜月は自分の名前を呼ぶ聞きなれた人物の声がする方を向けば、ギョッとした顔で見据える。

 

 

「ちょっと!舞白!!声が大きい!恥ずかし――」

 

「会いたかったーー!美佳ちゃん!」

 

 

その言葉を完全に無視すれば、思いっきり霜月に抱きつく舞白。しかし、右腕が義手ということもあり、思いっきり抱きしめられると微かに硬い感覚を感じれば、"痛いんだけど!"と声を上げる。

 

 

「……舞白……投薬後に走り回るなと――」

 

 

あとから現れた宜野座は、ゼーゼーと息を切らす。しかし、舞白と霜月の対照的すぎる反応を見れば、思わず笑みをこぼしていた。

 

 

「ちょっと……ッ宜野座さん!あなたの奥さん、興奮剤でも病院で投薬されたんじゃないの?」

 

抱きつく舞白を押さえ込むように霜月が手で押し返す。

 

「失礼な!今日という日を楽しみにしてたのに!」

 

「だからって、こんな人だらけの所で恥ずかしいでしょ!私たちも、もうそれなりの歳なんだけど?」

 

「歳っていったって"まだ"24でしょ?」

 

「"もう"24よ!…本当に、あんたはいつまで経っても子供ね……」

 

 

いつもの冷めたような返しに喜ぶ舞白。霜月もその様子に、ため息を漏らすも、再会できたことに喜んでいる様子だった。

 

 

 

「ほら、さっさと行くわよ?あんた達の為に、とっておきのアフタヌーンティーを予約しておいたんだから、感謝しなさい?」

 

すると、スタスタと歩き始める霜月。その横で、霜月の腕を掴んだまま嬉しそうに笑みを浮かべ、会話を続ける2人。その手を振り払うことなく、むしろ霜月も気を許した親友と呼べる相手に、様々な話を口にしていた。

 

 

 

 

「――ね?ノブ…………あれ?いない?」

 

 

暫く歩いていると、ふと宜野座の姿が無いことに舞白が気づく。キョロキョロと2人は姿を探すように当たりを見回すと、何やら犬の散歩をしている男性と道の傍らで談笑する宜野座の姿を見つける。

 

 

「……ねぇ、宜野座夫婦ってこんなに自由なの?さすがにビックリなんだけど――」

 

「いや〜、うちの旦那様は動物に目がないから……特に犬は……」

 

やれやれと呆れた様子の霜月と、分かりきった様子の舞白は、宜野座の元へと向かう。

 

談笑相手の男性は宜野座と同じく高身長で、やけに整った顔立ちで、すれ違う女性たちは、必ず振り向く程だった。

 

 

 

「ムカつくけど、何か絵になるわね」

 

「へ?」

 

「何でもないわよ。……ほら、さっさとその旦那様を呼んできなさいよ!」

 

 

霜月は少し離れた場所で足を止め、舞白は宜野座の側へと近寄っていく。

 

 

 

 

「ボルゾイ……凄い綺麗な子ですね、うちもハスキー犬を――」

 

「あのーー、話してるところすみません。……ほら、美佳ちゃんも待ってるし、行かないと――」

 

 

目の前の男性に視線を向けると、その男性は宜野座と舞白に優しく微笑みかける。

 

 

「いえ。むしろ急に僕の愛犬が彼に反応しまして……こちらがご迷惑をおかけしたんですよ。」

 

穏やかな声色で、不思議とほっと心が落ち着く。

どうやら、彼の話曰く、愛犬のボルゾイが宜野座に襲いかかったとか……

 

むしろそれに気づかず、霜月と先を歩いていったことを申し訳ない……と心の中で謝罪していた。

 

 

 

「お怪我は無かったですか?コートの汚れ、弁償させて頂きたいのですが……」

 

「これくらい洗えば何とかなりますから、心配なさらず。」

 

砂埃のついたトレンチコートの裾をパッパと払う仕草をすると、宜野座は笑みを浮かべ、相手に断りを述べる。

 

 

「奥様ですよね?すみません、こちらで旦那様をお借りしてしまって」

 

男性は舞白に視線を向けると、薬指の指輪に気づいた様子で口を開く。

 

「綺麗な白銀の髪の毛ですね。それに、綺麗な方だ、羨ましい限りですね」

 

スラスラと舞白の容姿を褒める男性に、急に恥ずかしくなった舞白は珍しく顔を赤く染める。

 

 

「えーーっと……ありがとうございます」

 

 

へへへっと照れるように笑っていると、それを少し離れたところで見ていた霜月が、痺れを切らした様子で声をかける。

 

 

 

「宜野座夫婦ー……早くしないと予約時間に送れるんですけど〜!」

 

 

その声に3人が同時に霜月に目を向ける。

 

男性は霜月を目にすると、微かに目を細め、すぐに目を離す。

 

 

 

「……では、私はこれで。失礼するよ」

 

 

サッと挨拶を済ませれば、宜野座と舞白の横を通り過ぎていく男性。とくに2人はそこから気に止めることなく、霜月と合流し、再び目的地へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

愛犬を傍らに、先程の男性は足を止めると離れていく3人に目を向ける。

 

 

 

 

 

 

「……霜月美佳……。」

 

携帯端末を取り出せば、ID情報を開いていく。

 

 

 

 

「"ギノザ"……なるほど。あの2人は例の外務省の――」

 

男は微かに笑みを浮かべると、3人とは反対方向の道を再び歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ、時間のようだ。」

 

 

 

 

男は少し形状の違う携帯端末を取り出す。

 

"congressman"

 

"shizuka homura"

 

 

 

「賽の目が出ることを願っているよ。」

 

 

僅かなに口元に弧を描く。

 

そして男は銀杏並木の下で立ち止まると、来たるプロローグに、胸を高揚させているようだった。

 

 

 

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