PSYCHO-PASS -confrontation of orphen- 作:鈴夢
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
2118年 6月
アメリカ合衆国 ハワイ州オアフ島
"パールハーバー"
昔、太平洋に浮かぶ自然の楽園と言われていたこの地。
美しい空、美しい海、暖かい気候に、人々。
まさに"楽園"という名が相応しい場所だった。
しかし、荒れた世界紛争に巻き込まれ、その楽園は
"地獄"へと成れ果てていた。
自然は失われ、海は濁り、空には鳥の姿はない。
1941年に真珠湾攻撃に襲われた地。
それからというもの、この地域にはアメリカ海軍太平洋艦隊の司令部、太平洋空軍の基地などになっていた。
2118年の現在
アメリカ合衆国の強大な軍の基盤として、
ありとあらゆる軍事施設が併設されていた。
・・・・・・・・・
異常に広い広間の中央に置かれた、長いテーブル。
それを囲うように、様々な人物達が椅子に座り、互いを見合っていた。
性別、年齢は様々。
肌が白い者、黒い者、瞳の色も様々。
ありとあらゆる人種の面々が揃う。
そして、広間にとある人物が現れる。
皆と同じように、軍服に身を包み、白い髭を蓄えていた。。
歳は60そこそこだろうか。
しかし、やたら大柄で筋肉質な風貌に威厳と格式高い雰囲気を醸し出す。
「昨晩、アンゲロスと通信が途絶えた。
……これで子供たちを7人失った……」
その男が席に腰をかけた瞬間、言葉を発すと、周りの人間たちがザワザワと声を上げていた。
「「7人も……、もう打つ手はないのか?」」
「「嘆かわしい……」」
「「ユーピテラ様、次は誰を……」」
彼の名は"ユーピテラ"
ローマ神話に出てくる神の名前、
そしてギリシア神話では"ゼウス"を意味していた。
「大丈夫だ
まだ、信頼なる子供たちは沢山いる……」
肘をつき、顔の前で手を組むと、鋭い目付きで見据える。
「カストルとポルックスを次は送り込む
……彼等なら、上手くやってくれるだろう。」
"カストル""ポルックス"
また、その名もギリシア神話に登場する神の名前だった。
双子の兄弟、その名前を出した瞬間、
再び広間はざわめき始める。
「「確かに……彼等なら……」」
「「まだ幼いが……大丈夫なのだろうか?」」
ユーピテラが手を叩くと再び静まりかえる広間。
男はニヤッと妖しげに笑みを浮かべ、天を仰ぐように、両腕を広げる。
「我々は必ずmoG作戦を成功させる。
……そして、本当の正義を、神々の力を……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
荒廃した浜辺
轟轟と鳴り響く爆撃音が聞こえる
地平線の向こうは灰色に染まり、まるで世界の終わりだった
その浜辺に、2人の少年の姿があった。
「兄さん、僕達、日本に行けるの?」
栗色の髪色をした少年、青く澄んだ瞳
ふわふわと無造作に跳ねさせた髪の毛は細く、華奢な印象を与える。
「そうだ、次は俺達が向かう。」
座り込んでいた青い瞳の少年の隣で、立ち尽くしていた"兄"
弟と若干似ているように見えるが、兄は左目は茶系色、右目は青、
髪色は真黒で、弟とは違い直毛の美しい髪の毛だった。
彼らは二卵性の双子だった。
「やっと……、やっと僕たちの番が来たんだね。」
弟はゆっくり立ち上がると、少し背の高い兄を見上げる。
「……復讐だ……、やっと
……奴らを地獄の底に落としてやるんだ。」
じっと地平線を見据える2人。
手を握り合い、無意識に力が込められていく。
「父さんと母さんを裏切った、あの国を滅ぼしてやる」
兄は、血が滲むほど唇を噛んでいた。
・・・・・・・・・・・・・・