デストリームアーカイブ   作:トマトーラス

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互いに愛し合うことの他は、誰にも借りがあってはならない。人を愛する者は法を全うする。


第5話 回顧の過去と葛藤と謎のメダル

 

 

「きっかけはありふれたものさ。バイク事故で意識不明の重体。そこからは、あちこちの病院をたらい回しにされた」

 

 

そう彼が始めると、部屋の空気はセリカが出ていった時よりも重苦しいものへ様変わりしていた。だが、彼女たちはすぐに思い知るであろう。

 

これは()()()()()()()()のだと。

 

 

「そんな時さ。俺に目をつけた政府の軍事研究組織があった。

 

 

 

 

それが『ノア』。奴らは俺に悪魔の始祖『ギフ』ってバケモノの細胞を移植させ、悪魔の力をもって悪魔を狩る―――デビルハンター、『仮面ライダーベイル』として俺を蘇生させた」

 

 

ギフ、仮面ライダー、デビルハンター、悪魔。

確かに、少しばかり常識離れしたキヴォトスであっても聞かないような荒唐無稽で馬鹿げた話だ。信じる信じない以前に、普通であれば聞き流す程度の無価値な法螺話にしか聞こえないだろう。

 

だが()()姿()を――――彼女たちは目の前で見せられたのだ。本来であれば信じないであろう与太話も、アレを見せつけられれば否が応でも信じるしかあるまい。

 

 

「俺は、目覚めた時には事故の衝撃で記憶喪失になっていた、もう自分の名前すら思い出せなかっんだ。そこからノアの連中は俺を実験体として使い潰す一方で、俺に悪魔狩りの仕事を課した。…………選択権はなかった。変に歯向かいでもすれば、いつ()()()されても可笑しくなかったからね」

 

「そんな……」

 

 

全てを忘れ、残されたのは実験体として使い潰される道と、ノアの言いなりになりデビルハンターとして生きる道だけ。

もはや目覚めた時から彼に自由の道は残されてなどいなかった。

 

 

 

「……そうして俺は悪魔狩りをする日々の中で、両親を殺した『赤い悪魔』の記憶を取り戻した。そこからはその悪魔への復讐を誓って、更に悪魔狩りを続けた。

 

 

 

  

 

…………もう、この頃の俺は自分の記憶のことなんざどうでもよかったんだと思う。家族を、記憶を、自分から全てを奪った悪魔を殺せれば、たとえ民間人がどうなろうと」

 

「「「……………………」」」

 

 

あまりにも重々しすぎる言葉を聞いて、三人は思わず顔を歪める。もう、借金に苦しむ自分たちが霞むほどに壮絶過ぎる彼の過去。特にホシノが沈痛な面持ちになっていた。もはや、自分と同じ――――否、そんな比ではない。

 

絶望で埋め尽くされ、一片の救いすら許されない最初からバッドエンドの彼の物語と自分(わたし)の物語を比べるなぞ――――

 

 

 

 

――――おこがましいにも程がある。

 

 

「そんな終わりのない戦いに明け暮れる日々で、俺は気が狂いそうだった。

 

いつになったら終わるんだ、いつになったら失った記憶が戻るんだ、いつになったら日常へ戻れるんだ、いつになったら仇の赤い悪魔をこの手で殺せるんだと――もう、限界だったんだ」

 

 

自由を奪われ、悪魔退治に明け暮れる日々。ついこの前まで日常を謳歌してた青年であれば、とっくのとうに発狂していても可笑しくないであろう。

 

 

「そんな時さ、俺はある女性と出会った。

彼女――――幸美はわざわざ俺を保護して、マトモな食事を摂らせてくれて、風呂も貸してくれた。……暖かった、彼女の温もりは荒みに荒んでた俺の心を癒してくれたんだ。本当に、嬉しかったんだ」

 

 

幸美との出会い、そして彼女との短いながらも長い触れ合い。アレが無ければ、自分はとっくに戻れない所まで行ってしまっていた。

 

 

「俺は次第に幸美と打ち解けていって、彼女も俺と同じように両親を亡くして悲しんでたことを打ち明けてくれた。それがきっかけで、俺は少しずつ惹かれていって……しまいにはこの人と家族になれば幸せだろうなとも思った」

 

「「「…………」」」

 

 

いつの間にか三人の目からはボロボロと滂沱の涙が溢れていた。というより泣かない方がおかしいだろう。

 

 

 

「普通ならここで終わってハッピーエンド!無事に物語は大円団を迎えました〜!ってなるんだけれども――

 

 

 

 

 

 

――現実はそうはいかない。ノアは武装部隊を差し向けて、脱走した俺を幸美ごととっ捕まえに来た。

ま、結果はお察しの通りさ、逃避行をしようにも生身でのステゴロは素人に等しい俺がその道のプロに勝てる訳もない。抵抗虚しく、幸美と共に連行されて軟禁生活に逆戻りさ」

 

「幸美はノアの最重要機密――――仮面ライダーの正体を知ってしまった。だから奴らは彼女をみすみす見逃す訳にはいかないから俺と一緒にとっ捕まえて殺処分する腹づもりだったらしい」

 

 

彼女は触れてはならない秘密に触れてしまった。そうともなれば、ノアは『政府公認の科学組織』の体裁すら取り繕うことは出来なくなる。ある意味奴らにとっても死活問題であったのだ。

 

 

「その後色々と紆余曲折あって、幸美ともどもノアから抜け出すことには成功したんだ。そこからは心機一転、幸美との逃亡生活が始まった。そんな逃亡生活の最中、俺は連中(ノア)の追手を薙ぎ払うため、『声』に従ってベルトの力を解放した。そうして出てきたのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――俺が探し続けていた仇、『赤い悪魔』だった。皮肉な話だろ?ずっとベルトの内から聴こえてた、復讐を手伝うパートナーがあろう事か仇だったなんて」

 

「その赤い悪魔、ベイルはこう言った。両親を殺したのは自分、そして奴を生み出したのは他ならぬ俺自身、それを全て仕組んだのは――

 

 

 

 

――ノアだ……ってね」

 

「…………は?」

 

 

ホシノは思わず呆けたような声を漏らす。なんだそれは、いや、まさか、そうだとするならば――

 

 

「それに奴は知りたくもない真実を俺にプレゼントしてくれた。バイク事故すらもノアが仕組んだモノだったということ。そして俺が今まで殺してきた悪魔は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして俺の戦いは、データ収集と事実隠蔽のための裏工作に過ぎなかったということ」

 

 

――マッチポンプである。全てがノアによる自作自演だったというあまりにグロテスクで冒涜的で黝い真実。

なんだそれは、狂っている。一体どうしたらあるべき最低限の倫理観も何もかもをかなぐり捨てた行為をできるというのだ。

 

 

「真実を知った俺は当然怒り狂ったさ。その時の俺はもう『赤い悪魔』への復讐心なんざかなぐり捨てて、心中はノアへの憎悪でいっぱいいっぱいだった。

そうして悪魔の囁きに呑まれ、ベイルに身体を乗っ取られた俺は変身してノアを襲撃。無我夢中で何もかもを破壊し尽くして、ノアの所長もこの手で嬲り殺した。もう、正気すら定かじゃない、傀儡に成り果てていた」

 

「だけれども、幸美の体を張った必死の説得でどうにか正気を取り戻すことが出来たんだ。それをベイルは『裏切り行為』と見なして憤慨していたけれども――――もう心は決まっていた。俺は再び変身してベイルを相討ちになりながらもどうにか撃破して封印した」

 

 

「…………まぁ、こんなところかな。タハハッ、だいぶ長話だし語るのもヘタだしで、申し訳ない限りだけれど、これが俺の過去――――いや、罪の原典だ。

 

本当に、最後まで聴いてくれてありがとう」

 

 

――――実際は、戦いの後に再び記憶を失い、二十五年間も幸美と共に過ごした逃亡生活、忌々しい戦いの日々も忘却していたのだが、そこら辺に関しては伏せることにした。

 

 

(…………こんなに喋ってよかったのかな。いや良くねぇよな常識的に考えて。

 

 

……あ、俺やらかした?え、やっちゃった?嘘だろおい!?助けて!ママさん助けて!!一輝に大二にさくらァァァァァ!!!誰でもいいからどうすりゃいいか教えてェェェェェェェ!!!!)

 

 

――――完全なる蛇足ではあるが、彼は内心このように酷く後悔してた模様。だが後悔先に立たず。やってしまったことはどう思おうが訂正不可である。ここにはいない家族に助けを求めるという現実逃避は諦めて、目の前の現実を直視するべきだろう。

 

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

 

「……………………」

 

隣の部屋で壁越しに話を聞いていたセリカは、うなだれていた。

 

「……セリカちゃん、先生は少なくとも、悪い大人なんかじゃないと思いますよ?」

 

「……分かってる、分かってるわよ」

 

そんな彼女を見兼ねて、気遣うように声を掛けるノノミであったが、逆効果のようでセリカの声音は更にどんよりと澱んでいた。ノノミの言う通りだ。命懸けで誰かを守った先生が、悪人なわけがないだろう。

 

そんなのはセリカでも分かる。だけれど、だけれども――――。

 

「…………でも、それでも、今更虫が良すぎること言われても、私は……」

 

ギリギリと拳を握りしめ、苦々しく歯噛みするセリカは、いたたまれなくなったのか背中を向け、空き教室から立ち去った。

 

「セリカ、ちゃん…………」

 

その様子をノノミは、引き止めることなぞできずにただただ、見送ることしか出来なかった。

 

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

 

「――なるほど。()()仮面ライダー、ですか」

 

静まり返った夜のアビドス郊外、ある高層ビルの屋上にて。黒いスーツと眼鏡を着用し、左腕に()()()()()()()()()男性が事も無げにそう呟いた。

 

「であれば、試す価値があるかもしれませんね。……所詮紛い物、不完全な複製(ミメシス)ではありますが仕方ありません」

 

彼がポケットから取り出したのは恐竜らしき絵柄が刻印された()()()()()()

 

「…………仮面ライダーベイル、否デストリーム。五十嵐元太、果たして最新鋭のライダーシステムがどれほどのものか。試してみる価値は大いにありそうです」

 

そう言い、メダルをポケットにしまった男性――――真木清人ことドクター真木は、音もなくその場から姿を消した。

 

 

 

 

――――元太はまだ何も知らない。本来いるはずも、あるはずもないイレギュラー(不確定な要素)は、自分だけではないということに。

 

彼は、まだ何も知らない。

 

 

 

 




……正直言いましょう。今回は上手く書けたのか自分でもよく分かりません!!!分かるかァ!!!

いや、一応精一杯努力はしましたが私の文才ではここらが限界ですチクショウ!!!!


まぁ、そんな与太話はおいといて、今回はかなり賛否が別れる話だと思います。……とりあえず、今話を読んでも「うるせぇ!行けるところまでついていくぜ!」という酔狂な方だけついてこい。……投稿ペース上げたりと、努力はします。






余談ですが、ドクター真木はオーズのあのドクター真木です。そしてキヨちゃんも変わらず登場です。

一体いつから、リバイスだけをクロスオーバーすると言った?
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