私たちは黄金を換金してから、もう一度1番ドックってところに戻ってきた。空島の冒険で手に入ったお宝で、それなりの額にはなると思ってたけど。
3つの高そうなカバンの中には、それぞれ1億ベリーが入っている。
ルフィの懸賞金は1億ベリーで、それも今まで全く実感がなかった。こんなにたくさんの札束になるんだね。ルフィやエースやサボと一緒に貯めた海賊貯金の何倍にもなる。
「それで誰に会いにいくんだっけ。アイス? ハンバーグ?」
「アイスバーグさんね。美味しそうな名前だけどさ」
全くもう、ルフィったらすぐ忘れるんだから。
「5メートルくらいの船大工なのかな~」
「あんなに強い職人さんたちのリーダーだからあり得るよね」
「た、たしかにおっかねぇやつかもしれねぇな」
「そんなに大きいなら見つかりやすくて手っ取り早いけどね」
合計2億ベリーのカバンを持っていることもあって緊張しているのか、ウソップが震えている。ナミも珍しく両手で1億ベリーのカバンを持っているけど、ルフィはともかく、なんで私まで手ぶらなんだろ。
まあいいや。
早速アイスバーグさんを探そうよ。
「「おじゃましま~す!」」
「やっぱウタのやつ、ルフィといると…」
「子どもになるわよね…」
真っすぐ中に入ろうとしたら、『おっと~』って、スタスタと歩いてきた職人さんに止められる。
ウソップのように鼻が四角で長いし、フレンドリーな雰囲気だし、しかも覇気で感じ取れる強さもすごかった。
「客か? それとも観光か?」
「客でもあるし、観光でもある」
「オーラで分かんないかな~ メガネクイクイ」
ルフィはともかく、今日の私は知的でクールビューティーだと思うんだけど。
「あーもう、あんたら話をややこしくしないの」
ナミが船の修理についてあれこれと説明してくれて、しかもココロさんの紹介状を見せている。
四角い鼻の職人さんは『ほう、ココロばーさんの紹介状じゃな』って納得してくれた。とても理解が早いみたいだし、ココロさんも有名なのかな。
「それで、アイスバーグさんって人にも会えるのかしら?」
「ははっ、どうやら知らんで探してたんじゃな」
彼が言うには、ウォーターセブンの市長で1番偉くて、ガレーラカンパニーの社長で1番偉くて、海列車の管理もしてて偉いんだって。
「「ほへー、偉いんだ」」
「どんな最強なやつなんだ!?」
「そんなに凄い人なら、スケジュールもいっぱいなのよね?」
「そうとも限らん。神出鬼没な人じゃ」
せっかくだから会ってみたかったけど、忙しそうなんだね。手持ち無沙汰だから、ルフィの二の腕をゴムゴムしながら聞いてた。
「ん~ どうせなら会って話して、費用を割引きしてほしかったんだけど」
「こいつそんなこと考えてたのかよ」
「ははっ、ようするに船の修理じゃな。それならワシが査定してこよう」
さてい?
私とルフィは首を傾げてコツンってする。
「そうすれば、アイスバーグさんとの話し合いも早かろう」
「なんだ、お前が直してくれるのか」
「出張サービス?」
って私たちが言ったけど、どうやら違うみたい。
『簡単に言えば、まずどれほどの損傷か見てくるだけじゃな』って教えてくれた。
メリー号を停泊させた場所や、羊さんが目印って私たちから聞くと、彼は屈伸運動を始める。
「すぐに見てきてやるから、それまではこの辺りで待っとれ」
それだけ言い残して、地面を勢いよく蹴った。
「あいつ速いぞ!」
「ルフィくらいのスピード!?」
手足の動きは高速で見えないし、どんどん遠ざかっていく。
しかもこの中心街の手すりから勢いよくジャンプして降りていった。あんな風に街の中を飛んだり跳ねたりする人って、ルフィ以外にもいるんだ。
「あいつ何者なんだ!?」
「ここの職人にはあんなのがいっぱいいるの!?」
「んまーあいつは、カクはうちの職人たちの中でも特別だ。ガレーラカンパニーの1番ドック大工職職長だからな」
今度は、鼻をほじほじしているおじさんが、私たちに話しかけてきた。
だいくしょくしょくちょーって言ってた気がするけど、覇気で感じ取れる強さからも、あの四角い鼻の職人はトップレベルっぽいよね。
「なぁカリファ、こいつら海賊か?」
「ええ。調査済みです。」
モンキー・D・ルフィ 1億ベリー、ポートガス・D・ウタ 8600万ベリー、ニコ・ロビン 7900万ベリー、ロロノア・ゾロ 6000万ベリー って、おじさんに説明している。
「すごい! 完璧なメガネクイクイだ!」
「そういやウタは、なんでエースと同じ名字なんだ?」
そのままにしてたけど、海軍の誰かに直してくださいって言えばいいのかな。でもそれだと、モクモクしてる人みたいに追いかけ回されるかも。
「結成はイーストブルー、現在8人の麦わらの一味です」
「どうやらお見通しってわけね」
「やべぇ、全部バレてるぞ!?」
「しかもメガネ似合ってるし!」
「いや、メガネ関係あるのか?」
だってハイヒールも似合ってるんだもん。
「……そうか。俺はアイスバーグだ。よく来たな、麦わらたち」
それにしても、もうロビンのことまで知られてるんだね。あの海軍の要塞でも隠れて行動していたのに、青キジが情報を伝えたのかな?
胸ポケットから白いネズミが顔を見せているから、こっちだって私の推理で驚かせてやる。
「そっちこそ、そのかわいいネズミはペットなんだよね、メガネクイクイ」
「んまー、さっき拾ったがな。名前はそうだな、ティラノサウルスにしよう」
「ティラノサウルスか! かっけぇ名前でよかったなお前!」
「チュー?」
あれ、今日からペットになるんだ。まあ良い名前までつけてくれて、このおじさんは愉快だね。
「なぁどこにツッコミすればいい?」
「あいつらと同レベルの人だったのね」
「それでこっちはカリファだ。んまー優秀な俺の、秘書」
「うー メガネ似合っててクールビューティーすぎるよ」
「アイスのおっさんより凄そうじゃないか?」
職人さんたちだけじゃなくて、秘書のカリファさんまで強いなんて、確かに海軍がいつも街にいなくても安全かもね。
「アイスバーグさんのことをおっさんなどと、無礼者!」
サンジの足技にも匹敵する速さで、キックを連打してきた。私とルフィは慌てて回避するけど、避けきれなかった人がいて。
「あまりカリファを怒らせるなよ。こいつは怒ると、見境がないからな...ぐすん」
「「「「かわいそう」」」」
たぶん手加減されたとはいえ、地面に背中をつけちゃってるよ。
「失礼、つい取り乱してしまいました」
あれだけ動いても冷静だし、メガネクイクイしてるし、カリファさんこそが本物のクールビューティーだよ。
「そうだ、貴方がアイスバーグさんなのね。ココロさんにこの紹介状を渡せって」
「んまー あの人らしい」
ナミから受け取って中身を見た瞬間に、ビリビリって破かれちゃう。
私たちは『あ~~!』って声をあげた。
「頼むよ、金ならあるから船を直してくれ!」
「もうかなりボロボロで、プロの船大工さんに頼むしかないの!」
「いいよ」
「「いや、かるっ!?」」
アイスバーグさんが言うには、キスマークが気に入らなかったからビリビリに破いたんだって。
「それに、カクのやつが査定に行ったんだろう。なら、すでに商談は進んでる」
「さっきの四角い鼻のやつか!」
「まずどれほどの損傷か見てくるだけじゃな、ってことだよね!」
さていについて、もうバッチリ理解してるよ。
「んまー、そんなところだな。カクが戻ってくるまで、お前らも1番ドックを見学していけ。俺も散歩する」
「アイスバーグさん、そろそろ次のご予定の時間ですが」
手帳を見ながら伝えたカリファさんに対して、『面倒だからキャンセルで』って鼻をほじほじしながら言って、しかもそれは了承されたみたいで。
「そんなこと言って、本当にいいの?」
「こうなることも予測していますので」
やっぱりメガネ似合ってて、かっこいいなぁ。
「おいおい、そんなのでいいのかよ」
「部下のやつらがみんな優秀だからな。俺はドンと胸を張ってりゃいい」
ウソップの質問に、アイスバーグさんはリラックスして答える。そんな彼が歩いていくと、職人さんたちが次々と近づいてきていた。
「でけぇやつだな~」
「ん、でっかい人だったね!」
挨拶を交わしたり、質問されたり、ティラノサウルスを見せたり、職人さんたちと和気あいあいとしているね。