ん~、今度はトイレ~?
私は目をこすりながら、起き上がったルフィがトイレしてるのをボーッと見つめて待つ。
ピュ~って、やっぱり水鉄砲みたいできもちよさそう~
「ん~ ん!?」
「んー? ん!?」
びっくりした。
周りになんかいっぱい人が倒れてた。
浅い斬り傷だから皆生きてはいるけど。
「た、たいへん!?」
「本物の、ウタちゃん……?」
何かに怯えているこの人、私のファンになってくれた人じゃん。しかもいろんなところに綺麗な血飛沫もできてるし、これはさぞ凄腕の剣士がやったに違いないよ。
「誰にやられた!?」
「あんたらといた剣士、と……ガクッ」
「気絶しちゃった!」
私たちは全速力で駆ける。
目が冴えた私たちは激怒した。
必ずかのじゃちぼーぎゃくのゾロを1発殴らなければならぬと決意した。
「「ゾロ~~~!!」」
「どうした? お前らもナミに何か言われたのか?」
通りすがりのサングラスのおじさんはともかく、またゾロは知らない女の人と仲良くしてるみたいだけど、さてはお姫様と彼女を同時にナンパして、修羅場になったんだね。
まあ別にいいけど、ちゃんと2人とも責任とってあげなよ。
「ひどい! よくも私のファンの皆を!」
「うまいもんいっぱい食わせてくれたのに!」
「はぁ!? ルフィはともかく、ウタのほうはお前!」
この可愛いウタちゃんがなんだって?
「さてはてめぇ! おい魔女! いるなら起きやがれ!?」
ゾロがごちゃごちゃよくわかんないこと叫んでるけど、もう私たちは反省するまで殴るのをやめないよ。私たちはプルプルと拳を見せる。
「おいよく聞け。あいつら全員な、敵」
「言い訳すんなァ!」
「素敵な人たちだったでしょう!?」
まずルフィがゾロへ殴りかかる。
避けるなんて往生際がわるいんだから。
「ごめんなさいしたら許してあげるから! ねっ!」
「ハンマーだとぉ!? あぶねっ!」
「へぶぅ!?」
もう!
避けるからゾロの彼女さんに当たっちゃったじゃん。
「うおおお ゴムゴムの突撃ぃー!」
「うおっ!? 息ぴったりだな!」
「ぐぉ!?」
また避けるから、通りすがりのおじさんが吹き飛んじゃったじゃん。
「お前ら落ち着け。この町の連中は全員賞金稼ぎで、つまり敵なんだ」
「アタシらをムシすんなぁぁ」
「ウソつけぇ! 敵が飯を食わしてくれるか!?」
「ここは俺が」
「ゾロの分からず屋! 彼女の話は聴きなさい!」
ほら、彼女がゾロに向かってドシーンって重い一撃を当てようとしてるのにまた避けるんだから。女の子のそういう重いところを受け止めてあげるのが男ってものでしょ。
通りすがりのおじさんは少し黙ってて。
「ウタ! 俺が1発ぶん殴ってくる!」
「やっちゃってルフィ♪」
「さては強化しやがったな!? 畜生!」
音符を纏って強化されたルフィは勢いよく腕を伸ばして、あの強力な一撃の技の体勢に入る。
まだ抵抗をするらしく、ゾロは2本の刀を回しながら奥義の体勢に入る。
「ゴムゴムの!」
「これしかねぇ! 三刀流奥義!」
「バズーカ!!」
「三千世界!!」
ドォォォンと、すごい衝撃波だ。
技以上の何かがぶつかるような音かも。
「「互角かッ!?」」
「てめぇらナメやがって!」
「キャハ! まとめて踏み潰してやる!」
「「勝負の!」」
『邪魔だァァァ!』あ、2人の喧嘩を止めようとしてくれたのに、ゾロの被害者さんと、通りすがりのおじさんが吹き飛んじゃったじゃん。
「こうなったらとことん決着つけるぞ!」
「ああ。俺とお前どっちが強いか!」
ルフィは斬撃が弱点だから不利だけど、靴の裏で刀を打ち返しているし、ルフィとゾロの喧嘩の余波には、今の私じゃ踏み込めない。でも私だって1発おしおきしたいのにな。
「おい、まさかてめぇら!?」
「ギア2だ! やるぞ、ウタ!」
「いくよルフィ! ウタウタの~」
それを汲み取ってくれるのもさすが幼馴染だ。私たちの力を合わせればゾロなんてけちょんけちょんだもんね。
「さっきから卑怯だぞ! 麦わらカップル!?」
「やめんかぁーー!?」
「「「へぶぅ!?」」」
ドゴン ドゴン
ゴツーンって、痛いよナミ……
「あんたらのせいで!
私の10憶ベリーが危ないじゃない!?」
「「「ご、ごめんなさい」」」
よく分からないけど、ナミの10億ベリーのことで叱られちゃった。そんな大金、どこかにやっちゃったっけ。弁償する必要があるならシャンクスに頼んで10億ベリー ポンッて貰うしかない。
「まあ結果的には良かったけどね」
「俺は殴られ損じゃねぇか!?」
えーと、ナミが言うには、お姫様って本当は王女様のビビで、あのオペラ歌手の町長が実はその護衛で、ゾロが倒した人たちとか、さっきの2人組とか、実は悪者だったみたい。
王女様のビビが言うには、国が革命だとか乗っ取りだとか、難しそうな感じで、とにかく今かなり危ないらしくて、自らバロックワークスっていう悪の組織に潜入して、いろいろと探っていたらしいんだ。
「黒幕って誰だ? 強いのか?」
「そいつをぶっ飛ばせば解決じゃん!」
「ダメダメ!聞かないで! 命を狙われるわ!」
「そうね。とんでもなくヤバいやつよね?」
ビビはすごく怯えているし、そんなにすごい人なのかな。
「いくら強くても決して勝てないわ。
王下七武海クロコダイルには…………」
クロコダイルって、へぇー、しちぶかいなんだー
「ギャー――!?」
「言っちゃってごめんなさい~!?」
「ミホークさんクラスぅ~!?」
「いいね、腕試しにはちょうどいい」
「ししし いつか超えるべき相手だしな」
まだ早いって!
船斬るような領域の人たちだよ!
「もう無理! 10億ベリーは惜しいけど!」
「まずいわナミさん! そっちに奴らが!?」
あ、鳥とラッコさんだ。
えーと、リーダーは誰だ、かな。
「なんだ! 船長は俺だぞ!」
ビビに視線を向けた後。
ルフィやナミをじっと見つめた。
「麦わらのルフィ! 海賊王になる男だ!」
「あんた、バカぁ!?」
ラッコさんがサササって絵を描いたらしく。
綺麗に描けたルフィと、ついでにナミが。
ご丁寧に名前まで書いちゃってるね。
「わぁ~うま~い ってなんで私まで!?」
「私また何か言っちゃいましたか!?」
「おもしれぇラッコだな~」
「これで逃げられなくなったわけだ」
えっ、まじで、あと1か月のうちには、ミホークさんレベルと戦えるようにならないといけないってことなんだよね。
「なんかぞくぞくするな~」
「ミホークさん、連絡、どうすれば……」
「あんまりよ……賞金首になるより最悪……」
「私の貯金50万ベリーくらいならあるから」
「よっぽどヤバいんだな、お前らの国……」
このとき私は。
今までの私たちは。
たぶん、まだ甘くみていたんだ。