麦わらのウタ   作:ヒラメもち

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ウタの新衣装投票がありましたが、白が似合うイメージだけど、黒も最高で妄想が広がった。公式が供給してくれて嬉しい。


第36話 クロコダイル①

 

 アジトが見えた。

 あそこってビビが言ってたよね。

 

「「突撃ぃ~!」」

「「ギャ~~」」

 

 レインベースっていうまた華やかな町に来たけど、私たちはなぜかモクモクのおじさんに追いかけられていた。まあ、このまま突っ込めば、戦力になってくれるかもしれないでしょ。

 

 凄く豪華そうな扉の先へ。

 

 どこにもクロコダイルがいない。

 

「バカ共に嵌められた……」

 

「俺たちなんで捕まってるんだ?」

「大変! 一旦整理しよ!」

 

 カジノってとこの人たちに案内されるがままに、私たちは豪華な扉だったこの部屋に飛び込んだ。そして、ガシャンって天井から鉄格子の牢屋が落ちてきたんだった。

 

「なんてやつだ!?」

「恐るべしクロコダイル!!」

 

 ポンッと手のひらを叩いて私たちは納得した。

 

 ゾロやナミやウソップもここにいるけど、サンジとチョッパーとビビは迷子になったみたい。サンジがいれば何とかなると思うけどね。

 

「私のバカァ~!?」

「ゾロ、この鉄格子を斬りたまえ!」

「いや、ただの鉄じゃないぞ」

 

「ああ。そう簡単には斬れないぞ」

 

 ケムリンがそう言ってることに、首を傾げてコツンってした私とルフィは鉄格子っぽい金属を触ってみる。

 

「「あ~れ~」」

 

 へにゃへにゃと力が抜ける感覚だ。お風呂に浸かりすぎた時のやつで、最近はナミやビビに助け出されているけど。

 

「ちっ、隙間が小さいな」

「モクモクしても無理そう?」

「モクモクしてもダメか」

 

 モクモクしないケムリンがグローブで触ってるけど、それなら大丈夫みたい。ケムリンは何か言いたそうに私たちを一瞥して、溜め息をついて、ドカッと床に座り込んだ。

 

「海楼石という特殊な金属だ。鉄より硬いだけでなく能力者を無力化することができる。インペルダウンの監獄は全てこれでできているが、前半の海でこいつを用意できるとなると、流石は王下七武海だな」

 

「端的に言えば、私たちの天敵なんだ」

「エースなら溶かしたりできねぇかな」

 

 私たちは恐る恐る指で触れると、またへにゃへにゃとしちゃう。

 

「どれくらい触れるか勝負ね」

「よっしゃ、負けねぇぞー!」

 

「「遊ぶなァ!?」」

 

「...こいつらいつもこうなのか?」

「...ああ。幼馴染みらしいぜ」

 

 珍しい面白金属だから、指でちょんちょんして2人で笑い合ってたら、ウソップやナミから叱られちゃった。

 

 サラサラとした音。

 砂が部屋に入ってきた。

 

「計画に支障をきたすこともなかったか。時間の無駄だったな」

 

 砂が集まって、それは人の形になった。

 オールバックの男の腕は金の鉤爪が輝いてる。

 

「……クロコダイル」

「フッ、俺は政府側のはずだが?」

 

 睨み合ってる。

 

 ヘラヘラと嘲笑してるけどクロコダイルって、砂に関する能力者なんだ。しかも自然系だから、不思議パワーを使えるエースならともかく、私たちはどうやって倒せばいいんだろう。この檻で閉じ込められないかな。

 

「そっちの麦わらがモンキー・D・ルフィだったか。名前もそうだが、どうにもあの英雄を思い出させやがる態度だ」

 

「おい! お前が へにゃ~」

「もうルフィ、触ったらダメ へにゃ~」

 

「「漫才してる場合かァ!?」」

 

 ルフィのおじいちゃんってそんなに海軍で有名なんだろうか。煎餅とカレーを食べて笑ってるイメージしかないけど。

 

「緊張感のないバカどもだ。余興にもならんな」

 

「今に見てなさい、こいつらがここから出たら、あんたなんか雲の上へ吹き飛ぶわよ!」

 

「「うがーっ!」」

 

 ナミの言う通りだもん。

 私たちはクロコダイルへ威嚇する。

 

「まあ、待ってろ。俺のパートナーが王女様を連れてくるからな」

 

 あっ、ウタなら効くじゃん。

 試してみよっと。

 

せーのっ!

「ウタウタのバズーカーー♪」

 

 衝撃波で砂が撒き散った。

 やっぱりウタは最強だよね。

 

「うおおお ウタ! 最強~!」

「ナイスよ ウタ!」

「ウタ、やったれー!」

 

「……ほう。ウタウタの実か」

 

 砂が戻ってやっぱり無傷な姿が現れた。

 なんだか嬉しそうな声だけど。

 

「今回は私の勝ちじゃない?」

「俺だって出れたらぶっとばせる!」

 

 まあ、私だけじゃ厳しいと思うし、どうにかしてルフィをこの牢屋から出さないといけないよね。

 

「でたでた、負け惜しみ♪」

「なんだとー 壊れろぉー!」

 

 なんか周りが呆れたように見てくるけど、困ったときはルフィの運とか閃きとかに任せればいいって、昔からそう思っちゃてる。

 

 花が咲くような音だ。

 やんわりとだけど口が塞がれちゃった。

 

モゴモゴ……」

 

「ギャー 腕が~!?」

「こんなのすぐ外してやるからな!」

 

「王女様が無事でいてほしいなら、じっとしてなさい」

 

 あの女の人、クロコダイルのパートナーなんだっけ。葉巻が凄くてオールバックなクロコダイルって、なんかこうボスって感じで私は嫌だけど。

 

「くそっ、あの女と組んでるだと……最悪の流れだ」

 

 うんうん、ケムリンも最悪って分かってくれるんだ。あんなやつとのカップリングとか、趣味が悪いよね。

 

 そんなことより。

 

「み、みんな! あぐっ!? 」

「ビビ!?」

 

 突き出されたビビの身体に、砂が纏い始めた。

 

「そのウタ人間を抑えておけよ、ミス・オールサンデー。確かウタを聞くだけでも厄介なことになる能力のはずだ」

 

「ええ、一応ね」

 

 といっても、とオールサンデーが呟いた。

 

「勘だけれど、その力を使う気はなさそうよ」

 

「なに? 宝の持ち腐れだな。自分の寿命を削る類の能力だからか?」

 

 また難しそうなことを言ってるけど、私のギア2はともかく、普段のウタは別にそこまで疲れることもないかな。

 

「信条、かしらね」

「ハッ! まあいい。俺なら有効に使える」

 

「ビビから離れろ! ウタに近づくな!」

 

 海楼石をギュッと握りながらも、歯を食いしばって耐えながらルフィが叫んでる。

 

「ガルルル」

「檻の中の犬なんぞ、滑稽だな」

 

 鍵を持ってクロコダイルがこっちへ近づいてくるので、ゾロたちはそれぞれ武器を構えて機を待っている。

 

「おっと動くなよ、王女様がミイラになるぞ?」

「ルフィさん! 私はいいから……ぁが!」

 

 遠隔操作の砂で首を絞められてる。

 ここは、従うしかないかな。

 

「おい! ウタから離れろ!!」

「あんたウタをどうする気!?」

 

「お前が船長だったか、麦わらのルフィ」

「そうだ。文句あるか」

 

「こいつの使い道を知らんとは勿体ないな」

「ウタは道具じゃねぇーよ」

 

 ルフィがそう言ってくれて嬉しさを感じつつ、私は自ら牢屋から出て、今度は砂で口が塞がれた。

 

「さて、この鍵も必要なくなったな」

 

 そしてポイッと牢屋の鍵を、仕掛け床に落としちゃったんだ。一瞬見えたけど水中っぽかった。とりあえず私ではあれを取りにいけないってことか。

 

「お前に選択をさせてやろう。こいつらを助けるために時間を使うか、それとも急いで反乱を止めにいくか」

 

 嘲笑しながら両手を広げて、ビビへ選択肢を突きつけた。

 

 砂で開けた部屋の窓のカーテンからはたくさんのワニがいて、そのうちの1匹が鍵を食べちゃった。ビビは1人でこれから水中であのワニたちと戦わされるということになる。

 

「所詮、お前には殺す価値もないし、戦う力も足りない」

「クロコ、ダイル……!」

 

 私を砂で縛ったまま、どこかへ連れていくつもりだ。クロコダイルとオールサンデーは叫ぶルフィたちに背を向けた。

 

「この国にはバカが多くて助かった。反乱軍が雑魚で小物だらけなのが残念だったが、拠点としたユバの町を何度も刺激して、ようやく本格的な反乱を始めてくれた」

 

「まさかあの砂嵐は!?」

「カラカラのおっさんのとこか!?」

 

 ビビやルフィの質問に、嗤い声で返事をしただけで、クロコダイルたちは私を連れ出していく。

 

 プルプルプル、と独特な鳴き声。

 

 オールサンデーが電伝虫の受話器を取った。

 

「何者だお前」

『俺か? 俺はMr.プリンス』

 

 まあサンジから電話が来て、話していくうちに、面白いくらいにクロコダイルの余裕も崩れていく。

 

 居場所を教えろ、だなんて言うわけないじゃん。

 

「クソッ 俺をコケにしやがって! ミス・オールサンデー、そいつを抑えておけ!」

 

「ええ、分かったわ」

 

 私を砂から解放してどこかへ飛んで行っちゃったけど、冷静さを失ったクロコダイルってちょっと小物っぽいね。

 

 サンジのほうが何倍も策士ってことだ。

 チョッパーも付いているしなんとかなるかな。

 

「申し訳ないけど、私にも面子があるの。来なさい」

 

 オールサンデーはニコッと微笑んで、別にもう私を拘束する気もなさそうだし、やっぱり優しい人なんだ。まあ、あとはサンジが上手くやってくれれば、そのうちルフィたちも来るでしょ。

 

「どこに行くの?」

「女の勘よ」

 

 町の入り口でもあって、出口でもある。

 

 アルバーナっていう王都に行くには、ここをまっすぐ行けば1番近いんだって。

 

 チョッパーが連れてきてくれた大きなカニさんに乗って、ビビたちは先にアルバーナへ向かったらしい幹部たちを倒しに行ってくれた。

 

 砂漠の果てへ小さくなっていく姿を、私たち3人で見守っていた。

 

「よう。バカワニ、遅かったな」

 

「……おい、これはどういうことだ?」

 

 イライラしたような砂が集まり、クロコダイルが降り立った。

 

「取り返されたところなの、彼に」

「取り返されちゃった♪」

 

 示し合わせたようにクロコダイルを騙す。なんだかオールサンデーとは仲良くなれそう。

 

「いけるか?」

「いつでも」

 

 パシンって私とルフィはハイタッチした。

 

 たとえ自然系で七武海が相手でも、ルフィと一緒に戦えるなら怖くない。だって、出会った時からなんとなく凄く大きなことを成し遂げると感じたけど、どんどんルフィが強くカッコよくなっているのを私は知っている。

 

 海賊王になるなら七武海なんて壁、越えなきゃね。

 

「俺は今機嫌が悪いんだが? 何のつもりだ?」

 

 アラバスタの王様になりたいのかどうか知らないけど、こいつが上に立つ国なんて、そんなの自由じゃなさそうだし。

 

「「喧嘩!」」

 

 ここでクロコダイルを倒したら、あとはビビたちがなんとかしてくれるでしょ。




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