麦わらのウタ   作:ヒラメもち

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第80話 麦わらの一味①

 

 私たちはゾロたちと合流してから、ピクニックシートを敷いた場所で屋台の食べ物を食べていた。

 

 フォクシー海賊団はデービーバックファイトを繰り返して仲間を集めているみたいで、私たちの何倍もの船員がいるみたい。仲間になった経緯はともかく、みんな楽しそうにやっているのは海賊として良いことだけどね。

 でもかつての仲間を気にしていない感じなところ、あまり好きじゃないかな。

 

「あんたたち、よく平然としてられるわね…」

 

「「ん?」」

 

 ようやくナミやウソップも喧嘩に挑む気になったみたいだけど、それはそれとして不安でいっぱいみたい。ゾロとサンジとロビンは勝つ自信に満ち溢れていて、チョッパーも立派な海賊になるべく奮起している。

 

「最悪の場合、3人があいつらの仲間になっちまうんだぞ。キャプテンウソップが狙われても仕方がない…」

「どうして3回なのよ… 絶対私とウタとロビンが引き抜かれるじゃない…かわいいから…」

 

「ゲームは多いほうが楽しいからな」

「だってみんな出れたほうが楽しいでしょ」

 

 私やルフィは焼きそばを食べながら、いつも通り声をかける。たとえ相手が強かったとしても負けるつもりはないけど、油断さえしなければ勝てる相手だよ。

 クロコダイルやエネルくらいの覇気も全く感じない。

 

「よく分かってるじゃねぇか」

「確かに見ているだけというのもつまらないわね」

「安心しなナミさん、俺たちは1回も落とすつもりもない」

「もちろん俺もがんばるぞ!」

 

 そんなチョッパーは綿あめを口いっぱいにつけているけど、そんなに気に入ったのかな。

 ゾロとロビンとサンジが追加で食べ物を買ってきてくれたから、ナミやウソップもやけ食いみたいに食べ始めちゃった。

 

「歌姫さん、ルールはどうなっているのかしら?」

「レース、球技、それと個人戦だね」

「よーし! 俺は3回とも出るぞ!」

 

 そういうとこがルフィらしいけどさ。

 

「1人につき合計2回しか出られないみたい。今回のリーダーは私なんだから、個人戦は譲りなさいよ」

 

「そうか。ならそれは任せる」

「俺は2回出せよ」

「俺も頼むぜ、ウタちゃん」

 

 レースは人数無制限だけど、確実に勝つために球技はロビンさんも入れておきたかったけど、この3人がやる気満々だから任せるとしますか。

 

「ならレースは全員参加、球技は3人で行こうか」

 

「足引っ張るなよ、クソコック」

「ああん? てめぇこそ球技わかってるのか?」

「キューギってなんだ?」

 

 うんうん、息ぴったり。

 喧嘩するほど仲がいいチームだね。

 

「あの3人が組むのか、すげぇ!」

「おいナミ、レースで絶対1回勝っておくぞ」

「ええ。あいつらに任せておけないわ」

「そろそろルール説明が始まるみたいよ」

 

 私たち全員で、レースのルール説明を受ける。

 

 タルを3つ、オール2本、それとロープだけで船を手作りする。海上レースで島の周囲をぐるりと1周して、先着したメンバーがいた海賊団の勝利ということかな。

 

 向こうがルールは決めてきたわけだけど、意外に公平性はあるね。ただし能力者が8人中4人もいる以上、海上というのは私たちが不利になる。しかも相手に魚人の船員も見かけたし。

 

「樽が3つでは4人乗りボートは無理そうね」

「なら3組になりそうか」

「だけど俺たちは泳げないから」

 

「じゃあ私とルフィで組むね! だって私は海に落ちない海賊だし!」

「俺だって海に落ちないぞ! しかもいつか泳げるようになる男だ!」

 

「あいつら何度も溺れているでしょ... こうなったら、ウソップとサンジ君、私たちで1チームは確実に勝つわよ!」

「は~い! ナミさ~ん!」

「そ、そうだな。1隻でもゴールすればいいわけだ」

 

 つまり私とルフィ、ゾロとロビンとチョッパー、ナミとサンジとウソップで、合計3組の出場だね。船作りって点でもこの分け方は良かったかも。

 

 ルフィが樽をバラバラにしたパーツを、2人で一緒に組み立て直す。材料も足りなくて、帆がないから全く海賊船っぽくはならないけど、ボートの形にはなるかな。

 

 早めに完成してから私とルフィは食べながら待っていたけど、スタート地点にたくさんの船が並ぶ。

 

「ちょっと、その魚はいいの!?」

「いやん、立派な仲間よ?」

 

 ウソップが主導で作った船は十分立派だけど、本職の船大工が作ってサメで引っ張る船は完成度としては1番高い気がする。

 

「ねぇ、あいつらのあれは何?」

「樽そのものだな」

「漂流した流木じゃねぇか?」

 

「ずっとそれ転がしていくのか?」

「ああ。本で読んだ船なんだ」

「接続部にとても不安が残るわね」

 

 ゴロゴロと転がる樽を動力にして、チョッパーたちの船がやってくる。私とルフィの船だって海にプカプカしていて、2人で立っていても全く沈没しないくらいすごいよ。

 

 巨大なタル3つで作った船まで作ってきて、向こうは数も多いね。でも私たちの船をバカにするのも、今のうちだから。

 

「私たちで勝つわよ!」

「その通りだぜ、ナミさん!」

「どれだけオールで漕ぐことになるか…」

 

「いやん、私たちに勝つつもりみたいよ」

「海で俺たちに勝つ気かい?」

「シャー!」

 

「さあ、位置について、レディー!」

 

 バンッと銃声が鳴った。

 

「よし、作戦通り行くよ!」

「あいあいさー!」

 

 私はムジカちゃんの腕を呼び出した。

 

「「「えええ~っ!!」」」

 って実況や周りが目を驚くのが面白いね。

 

 私とルフィは船をしっかりと握り込む。

 

「ウタウタのぉ~! ロケット!」

 

 ムジカちゃんは私たちの船を投げてくれて、サーフボードが空へ浮き上がるように前へ進んでいく。本来この速度で海に落ちれば、船に大きなダメージがあるけど。

 

「そろそろ!」

「おう! ゴムゴムの風船!」

 

 ふわりと海面に、バシャンと音を立てて乗る。

 できる限り丈夫に作っておいてよかった。

 

 後方を見れば、サメの船や、ナミたちが追ってきている。

 さらに遠くでは、ゾロがオールを上手く使って相手の樽爆弾を吹き飛ばしていて、レース開始直後からハチャメチャだね。

 

 海賊だから相手からの妨害はあると思っていたけど、正々堂々とレースってわけじゃなさそうだね。

 

「何度もやると船が壊れちゃうから一旦漕ぐよ」

「はっはっは! 俺たちが1番乗りだ!」

 

 でも実況が言っているように、しっかりと追ってきているみたいだね。それに攻撃体勢に入っている。

 

「攻撃が来るよ!」

 

「見せてあげて、魚人空手を」

「海面割り!」

 

「なんだ!? 水が迫ってくるぞ!?」

 

 海面を叩いた衝撃波が飛んできている。

 海上で急な回避をするには。

 

「ウタウタの(カーテン)! ルフィ!」

 

 すぐにルフィは理解してくれて、片腕で船を掴んでから。

 

「ゴムゴムの銃弾(ブレッド)!」

 

 私が創った五線譜を叩いた反動で、船は横方向に飛んで回避する。

 

「いやん! がんばって追いついて!」

「シャー!」

「腕が生えてきた!?」

 

 後方にはウソップやロビンもいるから、海上での妨害なんて余裕だよね。私たちを追いかけてくる船はどんどん遠ざかっていく。

 しかもゾロなんて。

 

「一刀流 三十六煩悩鳳!」

 

 飛ぶ斬撃で他の船を粉々にしちゃっている。

 

 その興奮もあってチョッパーの動きも速くなっているみたいだね。ナミやサンジが妨害に対してしっかり指示してくれて、3位と4位で追ってきてくれているし。

 

「良いこと考えた! ゴムゴムのスクリュー!」

 

 ねじねじと腕を動かして、ルフィが船の動力になってくれる。にしても思ったより距離が遠くて、まだムジカちゃんに飛ばしてもらうには早いね。

 

 前方へ見えてきたのは大きなサンゴ礁で、その中で海流がグルグルと渦巻いている。ナミなら余裕で越えられるだろうけど、私たちにとっては最後の関門になりそうだね。

 

「フェ~ フェッフェッフェ!」

 

 あのキツネのおじさん、しかも矢で煙幕を打ち込んできた。出場者以外から妨害してくるなんてとても海賊らしいね。

 

 モクモクとする中、海水に腕をつけていたルフィは限界でフニャフニャなっているし。

 

 そうだ。

 煙幕なら外から見えないじゃん。

 

 私はサンゴ礁に降りてから、ルフィと船を掴んでフワフワと風の歌で浮く。

 

「やった!」

 

 そうして、あたかもサンゴ礁を抜けたように見せた。

 

「あれ、いつの間に!?」

「運が良かったのかな。さっ、進もう」

 

 このレースに審判がいるか知らないけど、実況が気づいてないなら大丈夫そう。その間にルフィも復活したから、これでいつでもムジカちゃんでゴールできるね。

 

 キツネおじさんの妨害は止まらず、途中で看板に騙されたり、おばあちゃんのコスプレで一度止まっちゃったり、偽物のゴールでぬか喜びしたり、そうしていると遠くへ本物のゴールが見えてきた。

 

 それでも諦めず、追ってきているということは何かがあるということ。

 

「ノロノロビーム!」

 

「「ビーム!?」」

 

 謎の光線を受けて、私たちは大体30秒くらい動きがゆっくりになったのかな。思考はそのままでキツネの高笑いを見させられたけど、たぶん悪魔の実の能力者だろうね。

 

「よし、戻ったぞ! 今のうちだ!」

「ウタウタのロケット!」

 

 ムジカちゃんが投げてくれた船は、ゴムゴムの風船をしてくれたとしても、海に落ちた頃にもうボロボロだけど。

 

「あっ! お前ら! もう1発くらっていけ!」

「ぷぷっ、奥の手を見せちまったな、お頭」

 

 実況がゴールって言ってくれているから。

 今度こそ。

 

「私たちの!」

「勝ちだ~~!」

 

 お祭りムードだからか、敵の海賊なのに賞賛の声がする。もし船員や旗を賭けにしないなら、競い合って心の底から楽しめるものだったかもね。

 

 待ってる間、もう妨害しないようにキツネおじさんをポコポコと殴っていたら。

 

 続いてナミやサンジやウソップの船、ゾロとチョッパーとロビンの船も無事にゴールした。

 ナミやウソップはまず1勝したことに号泣していて、チョッパーも1人の海賊として頑張ったからゾロに抱き着いて号泣しているね。

 

「もう急造船で航海するのはこりごりだわ…」

「か、勝てたぞ~ 腕がしぬぅ~」

 

「俺もがんばったよな! なっ!」

「ああ。お前は俺たちの樽船で船長だったぞ」

 

「フフ、大番狂わせの結果ね」

「よく考えてみれば、あの2人が組めば最強か」

 

 

 そうして今回の賞品として、私たちはトンジットさんの馬であるシェリーを、まずは取り返すことができたんだ。『ありがとう』と頭を下げている1人と1匹が離れ離れになることがなくてよかった。

 

「それにしてもお疲れさま! みんなでゴールできたね!」

「よーし、お前ら! 屋台の食べ物で宴だ!」

 

「食ってる場合か!」

「あんたらは2回戦の準備しなさい!」

 

 こんな仲間や友達を賭ける喧嘩、あと2回とも圧勝してやろうね。

 

 

 

 

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