麦わらのウタ   作:ヒラメもち

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ウォーターセブン
第90話 ココロとチムニーとゴンべ


 

 海軍大将の青キジとの戦いから数日が経過した。

 

 1度は逃がしてもらったとはいえ、海軍の追手が来るかもしれないから、私たちは急いで出航した。ルフィやゾロやサンジは氷漬けにされてしまったとはいえ、1日もすれば目が覚めたのはさすがだけど。

 

 もう少しは身体を安静にしないといけない。

 

「ジャーマンポテトに、フライドポテトに、ハッシュドポテト、芋づくしで美味そうだ!」

 

「あまり()ったもの作れなくてごめんね?」

 

 サンジの身体を休ませるためにも、とりあえず私とナミで料理を作ってきた。早速ルフィは喜んで食べて始めてくれて、寝起きなのに食欲があるようで安心する。

 

「あんたらが心配で、ウタがジャガイモを剥きすぎちゃったのよ」

「ちょっ、ナミ!」

 

 ナミは航海士として指示、ウソップは舵取り、チョッパーは仮眠していて、確かに私も『考え事』をしながら作業を続けてしまっていて。

 それで途中からナミもやれやれって料理を手伝ってくれた。

 

「なに、うちの船長が食べきってくれるだろ」

「おう、5食くらい食べ損ねたからな」

 

 ゾロと同じくらいのペースで、ルフィはゆっくりと食べ進めている。

 

「助かったよ、ウタちゃんとナミさんの手料理を食べればすぐに元気になる」

 

「そうね。私たちがサービスしてあげたんだから、ちゃんと返してもらわないと」

 

 サンジやナミのやり取りに、笑みをこぼしながら。

 私たちはそれぞれ頭の片隅で『考え事』をしてたと思う。

 

「それじゃあ、私たちは戻るわね」

「食べたらゆっくり休んでね」

 

「「「ああ」」」

 

 静かな部屋から出て、私とナミは甲板に戻っていく。

 

 

 天気は快晴だし、カモメが悠々と飛んでいる。

 春って感じで、薄着で過ごすのがちょうどいい。

 

 

「ウソップ~! そっちは平気~!」

「あ、おう! 異常なしだ!」

 

 ずっと舵を握っているウソップにナミが声をかけると、ちょっとぎこちない返事が返ってきた。結局は食事とかの時に降りてきたくらいで、それ以外はあの場所で過ごしている。

 

「ふわぁ~ みんなおはよ~」

「おはよ、チョッパー」

「もう少し休んでてもいいのに」

 

 私たちが手伝って以降は、深夜にもチョッパーは薬を塗り直すとかの看病をしてくれていたらしい。目をくしくししている小柄な身体を私は抱えるように持ち上げる。

 

「今は元気そうにご飯を食べているわよ」

 

「そうか。もう少ししたら様子を見にいくよ」

 

「ん、ならロビンとウソップも誘って、私たちもお昼ご飯にしよっか」

 

 みんなで今はたっぷり休もう。

 また強敵と喧嘩するときはくるだろうから。

 

 

***

 

 

 ルフィたちもすっかり元気になって、私たちは次の島を探しに航海を続けていた。

 

 そんなある日のこと。

 

 海をクロールで泳ぐカエルを見つけたり。

 海に浮かぶものにメリー号が乗り上げちゃったり。

 

 ギリギリのところで、巨大で長い船とぶつかるのを回避できたけど。

 

「あ、危なかったぁ~」

「なんだありゃあ」

「船が煙を出しながら進んでいったぞ…」

「すげー長い船だったな…」

 

「話には聞いたことがあるけれど、まさかあれが」

 

「そ、そんなことより、カエルさんがいたよね!?」

「そうだ! あのでっけぇ船に突き飛ばされたんだ!」

「たしか海に落ちていったよな!」

 

 私とルフィとチョッパーは慌てて海面を見るけど、浮かんでくる様子はない。私たちは泳げないから海の底まで確認できないし、生きていることを祈るしかないよね…

 

「あぁー、海賊だ~! ばぁちゃ~ん!」

「なぁに~ 本当か~い!」

 

 女の子とおばあちゃんの声がして、海の真ん中なのに灯台や一軒家がある。

 

「お兄ちゃんやお姉ちゃんたちは良い海賊?」

「海賊王になる海賊だ」

 

「んがががが、面白い男だね」

 

 ルフィが正直に答えてくれたおかげで、2人とも親しみのある笑顔を見せてくれる。海賊旗を掲げている時点で、海軍に通報されてもおかしくないのにね。

 

「私はチムニー、猫のゴンべと、ココロのばーちゃんよ」

「俺はルフィ」

「私はウタ」

「俺はチョッパーだ」

 

 私たち3人が代表して船から降りて、自己紹介を交わす。

 

 『タヌキがしゃべった~!?』『ニャ~!?』ってチムニーちゃんたちが驚いているけど、私としては猫がウサ耳なのが不思議なんだけど。

 

「海賊王で麦わら帽子、赤髪で麦わら帽子、んがががが!!」

「なんか楽しそう、どしたのばーちゃん?」

 

 ぐびぐびとワインを瓶を飲みながら つぶやいているけど、それより私たちは気になっていることがある。

 

「なぁ、あのカエルを突き飛ばした船はなんなんだ?」

「そうそう! スピード出しすぎで危ないよ!」

 

「カエル? ヨコヅナのことなら、あれくらいで死なないわよ」

 

 チムニーちゃんの話によれば、何度もあの『海列車』という船に対して、わざと立ち塞がっているみたい。多くのお客さんを乗せて運航しているらしいから迷惑しているんだって。

 

「そっか、一応無事ならよかったぞ」

「ド根性あるカエルじゃねーか」

「何か理由でもあるのかな?」

 

「部品も壊れるから迷惑してるのよ」「ニャー」

「んがががが、まあここの名物みたいなもんら」

 

 海軍に連絡して止めさせるとかはしてないのかな。

 クジラのラブーンがしていたように、カエルさん自身もどんどん傷ついちゃうのに。

 

「おめぇらは海列車を見るのは初めてかい? 海を見てみら」

 

 私たちは言われるがままに見てみると、海面にはぷかぷかと何かが浮かんでいる。

 

「その線路を海列車は通るのよ。毎日同じ道を行ったり来たり、お客さんや物を運んでいるの」

 

「すっげぇ~! 海列車って良い船じゃねーか!」

「あれだけ大きいならいっぱい運べそうだね!」

 

「んがががが! そうらろそうらろ!」

 

 もし海列車が、全世界の海にあったら、自由にあちこちの島に行くことができるじゃん。あれだけのスピードで丈夫そうな船なら、よほどの海賊じゃないと襲われないと思うし、新時代で海列車をいっぱい作るべきかもね!

 

「おめぇらの船を見るに、そりゃあ激しい航海をしてきたんらな」

 

 『どこから来たんら?』って聞かれたから。

 なんだか故郷が懐かしくなって私たちは笑顔になる。

 

「俺やウタはイーストブルーだ!」

「俺はドラム島だぞ!」

 

「てことはログポースでここまで? うひゃ~」

 

 航海士のナミに任せっきりだけど、グランドラインに入ってからは、島から島へ向かわないと、方角が分からなくなるらしいよね。

 

「それれ? 次はウォーターセブンにれも寄るのかい?」

 

 ココロおばあちゃんはお酒を飲むペースがどんどん早くなってて、ベンチに置いてあった箱からもう1瓶取り出した。

 

「水の都っていうくらいれ良い場所ら。そんれ、造船所もたっくさんあるんらわ」

 

「てことは、すげー船大工もいるのか!?」

 

 私たちは目をキラキラと輝かせる。

 メリー号の修理もあるし、仲間探しもできるかもね。

 

「そらあ世界最高の船大工のたまり場よぉ~! ガレーラカンパニーがオススメら!」

 

 『よっこらしょ』って言いながらココロおばあちゃんは、一軒家にゆっくり入っていって、やがて戻ってきてから紙切れを私たちへ手渡してくれる。

 

「簡単な島の地図と、ガレーラへの紹介状ら! これをアイスバーグってやつに渡して、しっかり船を直してもらうんらな」

 

「アイスバーグってやつだな!」

「ありがとう、ココロおばあちゃん!」

 

「私たちも近いうちにウォーターセブンに戻るのよ」

「ニャー!」

 

 なんだか明るい希望が持ててきた。

 

 観光もオススメされたし、冒険はこれくらいワクワクするものだよね。チムニーちゃんたちとも会えるかもしれないし、今度会った時は美味しいご飯を食べれるところ教えてくれるって。

 

「野郎ども、出航準備だ~!」

「みんなありがとう~!」

 

「気をつけてね~」「ニャ~」

「そうら! 政府のやつには気を付けるんらよ~!」

 

 私たちは手を振りながら、海の線路が続いていく先にメリー号を進ませていく。

 

 やっとメリー号を綺麗に直せるって喜んだり。

 どんな船大工がいるのかなって話したり。

 新しく仲間を誘うことも楽しみにしたり。

 

 空島から取ってきた黄金を運び出す準備をしたり。

 

 久しぶりに私たちは心の底から明るくなれた気がする。

 

 

 

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