転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第101話...不穏な気配

『帝国情報局特殊諜報員及び帝国近衛騎士団奇襲兵、兼将帥 』

 

やっぱり思うのだ。役職名に及びと兼が両方も着くのは如何せん宜しくないのでは無いかと。

力が全てにしても、俺がもし仮に、絶対に有り得ないけど死んだり裏切ったりして東の帝国から居なくなったら一体全体この三つの席をどうする予定でいるのか。考えてないのか?

あの皇帝様に限ってそれも無いと思うけど。

 

しかし三つも役職を持っていると、まぁそれは素晴らしい位に多忙を極めるのだ。

なんで一日のうちに、「あっ、俺午後から情報局に居ないんだよねー。午後は何するかって? 奇襲兵として近くで発生した魔物の群れを突いたら夜までは元帥様と作戦会議」なんてセリフを吐かなきゃいけないのか。

その時の情報局の同僚の顔は忘れもしない。貴方大丈夫か...?って顔してたもん。

 

別に三つの役職全てにおいて部下は持ってないし、達也以外に命令を聞く上司も居ないけれど。

でも役職毎に新しく仕事着を渡された時は、流石にげっそりした。さっき言ったみたいな日には一日三回も着替えなきゃいけない。何より奇襲兵ってのが、本当にイレギュラーに仕事が飛んでくるせいで今服着替えたのにまた着替えるみたいな自体が発生する。もういいじゃん、ずっと白の軍服で。

 

情報局は、白の軍服。

奇襲兵は俺一つで軍隊扱いなのか知らないが各軍の大将様と同じ黒の軍服。

そして将帥が、チャイナ服。

 

このチャイナ服に関しては、本当に必要かは俺自身も疑いの目をそらせられない。

いや多分元帥様であるグリンド───灼熱竜ヴェルグリンドに合わせたんだろう。

やっぱ要らないよ、こんなに服。

 

 

 

「あーやってらんね」

「君、さっきから余計な思考をしているようだが.........」

「やめてやめて、達也。まじで今日は苦情も嫌味も受け付けてない」

「今日は随分とゆっくりと作業をしているように思うが、一日情報局に居るのか?」

「そっ、だから今日はのんびり気味に仕事するって決めてんだー。絶対にイレギュラーは発生させない」

「まぁ問題が発生しないに越したことはない」

「でしょ?」

 

 

この多忙を知ってか、俺が東の帝国で唯一命令に従う存在 近藤達也はため息一つで俺の今日の怠惰気味な姿勢を許す事にしたらしい。

 

仕事着は三つになった時、このままだと執務室が三つ与えられて管理が面倒くさくなるのではと推測した俺は暴挙に出た。

情報局での俺の机を、達也の執務室に押し込んだのだ。奇襲兵と将帥は流石に別に部屋を設けた。軍団扱いな以上他の軍に席を置く訳にもいかないし、ヴェルグリンドと同じ部屋はなんか嫌だった。

まぁ、一つ管理する部屋が減るだけでも苦労は減るもの。減った苦労は達也に背負ってもらう。上司だろ? それくらいやれ。

 

 

「そーいえば、テンペストが真の意味で法治国家になるみたいだね」

「それは今得た情報か?」

「そう、報告書は今日中に出すよ......あーあ、嫌だね。あの国の三権分立を整えたのは俺だってのに」

「未だにそういう未練を持っているのか?」

「未練しかないね、俺は記憶できる過去は全部引きずるタチだから。でもムカつかない?

俺が丹精込めて作った法治をぽっと出の悪魔が我が物顔で代弁しだしたら」

「完全に理解が出来ないとは言わない」

「達也は無いの? なんか、未練とか」

 

 

どうせ、無いと否定されるか黙秘されるかのどちらだろうとは理解している。

これは戯れなだけの質問だ。

 

雑談もいいが手を動かせ、なんてお説教をされるのも嫌なのでいい加減報告書作成に戻る事にする。

 

 

『【報告書 -月-日 作成者名︰神代誠也 】

ジュラ・テンペスト連邦国の動向と今後の方針についての情報収集結果報告

 

先日、ジュラ・テンペスト連邦国(以下テンペスト)の首都リムルにて中央国家連合(以下連合)加盟国による首脳会談が執り行われた。

議題は、イングラシア王国跡地の復旧と今後の取り扱いについて。緊急で執り行われていた西側諸国評議会にて、イングラシア王国跡地を完全に明け渡す事を表明した事による今回の議題であると推測される。

 

(1)首脳会談の聞き取りメモは別途提出

 

現段階のテンペストの技術力を加味するに、イングラシア王国跡地の復興は一年程度であると予測される。しかし、空気汚染等が解消されるまでにかかる時間は数十年を超えるとされ、今後の利用は連合の軍事施設等の悪環境が体に被害を齎さない種が利用するのでは無いかと思われる。

 

 

殆ど時を同じくして、テンペスト国王リムル=テンペスト秘書 原初の(ノワール)ディアブロが、軍事強化を理由に三体の悪魔を勧誘。

リムル=テンペストはそれを受け入れ、名前と役職を与えた。

以下 原初名・名前・役職名 順に記載

原初の(ブラン)・テスタロッサ・外交武官

原初の(ヴィオレ)・ウルティマ・検察庁検事総長

原初の(ジョーヌ)・カレラ・司法府最高裁判所長官

これを持ってして、テンペストは法治国家の姿勢を完全に形成した事になる。

 

(2)テンペスト戦力拡大における調査資料は別途提出

 

原初の悪魔三体が連れていた部下については調査段階であるが、この報告書にては一体を抜粋し、今後の方針を考慮願う。

 

個体名︰モス

原初の(ブラン) テスタロッサの腹心であり、名付けにより悪魔公(デーモンロード)に進化した個体である。

能力の詳細は不明だが、分身体を用いた情報収集及び分析を得意としており、今まで隠密として情報収集を行っていた蒼影(ソウエイ)(現在は死亡)の穴を埋める形となった。

モスの能力は極めて危険であり、早急に対処を打つべきとある。

 

 

テンペストは現在、神聖国家ルベリオスとの文化交流の場を計画している。

テンペストと神聖国家ルベリオスの間には正式な国交があり、今後の交流によっては連合の加盟等も起こりうる。

 

以上。』

 

 

やっぱ俺報告書書くの苦手だなぁ。

絶対書き方間違ってると思うんだよね。後、なんでこれ手書きで書いてのか、パソコンが欲しい。もはやタイプライターでもいい。

父さんか達也に強請ったら貰えないかな、俺頑張ってるしそれくらい許されない?

 

 

「未練なら、ある」

「......え? あ、あぁ。言うんだ、無言だったから黙秘を選んだんだと思ってた」

 

多分、近藤達也という生き物は話始めが下手くそなんだろう。

 

 

「で、お前の未練って?」

「祖国を守れなかった事だ。それで一度は自死も考えた」

「祖国......前世は軍人だったの? あーだからお前の地位で中尉って呼ばれてるのか」

「あぁ、海軍戦の中で妖魔族(ファントム)に憑依された人間と対峙し、情報を祖国に届けた後に散った」

「へー......ん? 妖魔族(ファントム)って言った、今?」

「そうだ。別に変な事ではない」

「待って、いや...まぁ、そうか。こっちの世界と俺の居た世界がある以上、他にも世界があって何ら不思議は無いか。というか世界がたった二つである方が不自然か」

 

 

 

並列世界ってやつだろうか。

前世でも無いと断言する事は出来ない説だったけれど、転生なんて摩訶不思議体験をした後なら、並列世界は無いと言われても逆に困ってしまう。

そうか......ならもしかしたら、俺とリムルですら生きてた世界は違うかもしれないのか。

 

 

「で? どうして俺に話した訳?

俺はお前の事、だいぶ性格の終わった冷酷男だと思ってたんだけど。未練なんて弱味にしかならない話を、いつか命令を聞かなくなる日が来ることが確定してる俺に話したんだ?

絶対に俺を殺せる自信があるのかな」

「............さぁな」

「はぁ、今日は本当に珍しい日だ。

でもそうだなー、達也が弱みをめせてくるなら俺も一つだけ未練を話してあげる」

「あの男か?」

「マラカイト? 違う、それとは別の未練だよ。

俺さ、記憶が一部だけ無いっていうか変なんだよね。俺はスラムの出だけど、本当に突如として記憶が始まってるんだ。だから幼体の頃、どうやってあんなゴミだめで生きてたのかも分からない。

俺は変に殺しだとかの才能があって、何故か人よりも多くの知識を持ってた。

だからもしかしたら、この記憶のない期間が何かに関係してるんじゃないかって思ったりするんだ。俺は前世で十七歳って言ってたけど、それが本当かも怪しいしね」

「それが未練か?」

「記憶が無い物を未練って称する事が出来るなら」

「いつか、取り戻したいと思うか?」

「どうだろう...思い出したら壊れてしまいそうでちょっと怖いかも」

「......なら、思い出すな」

 

 

やっぱり今日の達也は少し変だ。

東の帝国に来て、そこそこ経つが最初と比べると達也の態度がやけに柔らかい。

柔らかいって言うか、急に変わったというか。

まるで、何かに気がついたみたいな......

 

考えても無駄かな。 多分、不必要な思考だ。

 

 

でも、なんだろうか。

この変にモヤがかかった感じは──────

 

 

 

「そういえばだが」

「何?」

「セイジが神聖国家ルベリオスを勇者であったグランベル・ロッゾと襲撃するという話はどうなったんだ」

「あーあれね。ちょっとだけ“お使い”を頼まれてるけど、それ迄だね。他は全部父さんがやるから」

「使い?」

「そう、ルミナスの秘宝があるんだって。それを取って来いってさ。何でもその秘宝はヴェルドラを封印した勇者様らしくってね、駒に出来たらっていう......建前上のお使い。魔王レオンも来るらしいし、姿を見られる前にちゃっちゃと帰ってくるよ」

「魔王レオンも来るのか」

「そっ、ユウキが煽ったみたいで、あれは必ず来る。まぁ今の段階でレオンなんてどうでもいいけど」

 

 

俺は達也に自信満々に笑いかける。

自分の未練に思考を回すのも山々だが、俺も忙しい身、東の帝国でのお仕事が全てでは無い。

 

けれど神聖国家ルベリオスの破滅までに俺がする苦労は殆どないと言っていいだろう。

 

 

 

「国も勇者も信仰も、何もかもが簡単に壊れるんだから」




次の話は、色々飛ばして飛ばして音楽祭本番になります。書けなくは無いのですが、リムルsideを書いても原作丸写しになるしあんましセイヤに関係ないのでカット。
こいつ描写不足だろって思ったら、申し訳ありませんが脳内の原作を開いてくださいませ。
今後、書籍11巻の内容はセイヤの言った最後のセリフに全部詰まってます。セイヤ的にはルベリオスがどうなるかは眼中に無いです。

【謝罪】更新が長らく止まっており、大変申し訳ありませんでした。何してた? 背骨折った。以上です。
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