転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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★第110話〜114話、同日投稿★
誰かさんの過去のお話


第110話...蛭子

今の世では誰も知らない御伽噺があります。

人間に“文明”を与えてくれた神様のお話です。

 

創造主様が人間を生み出し、早数年。

人間はいくつかの集団を作り、細々と暮らしておりました。

手を取り合い、食事を分け合い、笑い合う。

創造主様がお与えになったその生を、噛み締めながら終わりのない人生を楽しんでおりました。

そんな何処か現実味の足りない世界。

ある時、一つの村に創造主様の使いがいらっしゃいました。創造主様と同じ綺麗な鱗が体の半分を覆った神様です。

神様は、その村に文明をもたらしました。

元々あった火や縄をより強く。

武器や医学、装飾品に農業を新しく人間に教えといた神様。

発展した村は街になり、国になる。

そして、国は武器を手に取り他に侵略を開始する。

その神様の来訪は、夜と死をも与えました。

神様はその国を愛しておいででした。

文明を与え切って尚、その国を見守り続けてくださったのです。

しかし、その国の栄光はふと途絶えました。

戦争に勝ち進み、領土を広大にして行ったその国は、神様に禁忌を犯しました。語ることすら恐怖してしまうような禁忌です。

その国は一晩にして神様によって壊されました。

神様は痛く傷つき、涙を流します。

誰も居なくなった国に響く嗚咽が枯れた頃、神様は姿を消しました。

神様は今も何処かで、私達を見守ってくれています。

心優しき神様。人間を愛し続けた神様。

しかし、神様が立ち去っても世界には文明が残りました。夜だって訪れます。

我ら人間が、その存続によって神様を崇めなくてはならないのです。

 

 

 

 

───────所詮は作り話。

そう、だってこれは御伽噺。

一体何処に死や闇を受け入れる人間がいる?

答えは単純でたった一つ。そんな人間は居ない。人間だけでは無い、死も闇も世界に生きる全ては受け入れない。

そんな物に、怯え、憎み、狂うのが生物の性である。

 

 

これより語るは、巫山戯た作り話では無い。

本当にあった、神が神足りえた所以と、その後の話である。

 

 

『忌み子が生まれた』

 

ある村の仲睦まじい夫婦の間に、一人の男子が生まれた。

竜の様な鱗に体を半分覆われた、奇妙な赤子。

生まれて数秒で、何故だか開いたその目は虹彩が右に三つ左に二つ。ギョロギョロと動いて、己の両親を見つめていた。

女は叫んだ、己の腹からこんな異形な何かが出てきた事に。

男は即座に動いた、この異形な何かを隠さなければ“迫害”を受ける可能性があると。

 

どうでも良い事だがこの世にこれまで迫害等は無かった。

何故なら、この世には善悪等存在しなかったからである。急に芽生えた、恐怖。それは正しく“悪”への怯えであった。

その赤子が生まれたことで、悪が生まれたのだ。

誰も知りえず、理解せず。

誰一人認知せずに、世界が変わっていく。

 

 

男は妻を守らねばならない。

即座に動いた男は、その赤子を山奥に捨てた。

あそこには魔物がいる。すぐに食い殺されて死ぬだろうとタカをくくって。

結果はと言えば、失敗だった。

 

世界で初めて太陽が沈んだ次の日。

人々が太陽が出てこなかったらどうしようかと、怯えた次の日。

太陽の再来を笑う人々の中で、夫妻は顔を青くした。

 

異形な何かが、傷一つなく、家にいる。

 

男は何とか叫び出すのを我慢した。

叫べば村の者が来てしまう。こんなモノがこの家にいると知られてはいけない。

 

今度は川に捨ててみる事にした。

しかし、また同じように戻ってきた。

 

それならば......幾度か繰り返して、男は精神を病んだ。

規則正しく流れる光と闇の中、何も言わずこちらを見つめる何かが怖くてたまらなかった。

 

そこで、女は逆の発想を得た。

捨ててもダメなら、隠してしまおう。

なんと素晴らしい発想だろうか、きっと“臭いものには蓋をしろ”等という諺はこの女が語源だろう。

 

五十センチにも届かぬ赤子をツヅラに入れ、封をする。後は、部屋の奥の奥、誰にも見られぬ様にしまい込んでしまえばいいだけ。

所詮は赤子、放置すれば飢えて死はずだ。

 

 

さて、余談だがいい加減この赤子に呼び名が欲しい。赤子だの異形な何かだの言うのは長たらしくてかなわない。

そうだ、蛭子はどうだろうか。

ヒルコ、異形な赤子の神だ。それに一度この赤子も川に捨てられているし、そっくりでないか?

そうだ、そうしよう。

これより先、異形な赤子を蛭子と呼ぶ事にする。

 

 

約十年。

何の年月か? 簡単である、蛭子がツヅラにいた年月だ。

そう...約十年、蛭子はずっとツヅラにいた。

目を開けて、暗闇を見つめ何を思っていたのか。まぁ、何も思ってなんかいないだろう。

赤子は親に教えられずして自我等芽生えない。

 

腐敗臭はしなかった。

だって、蛭子は十年間水一滴も必要とせずに生きているのだから。

 

蛭子の親である、女男はその間に家を出た。

何処か遠方へと引っ越したのだ。

ツヅラだけを置いて。

 

ある老人が新しくその家の住人となった。そして、疑問に思った。このツヅラはなんだ?

この村には、使わなくなった物を置いておける場所があった。持ち主が使わなくなっても、それを必要としている人は必ずいる。その精神で、ありとあらゆる物が置かれるその場所に、老人はツヅラを置いた。

やけに重いとは思ったが、越してきたばかりの老いぼれにはツヅラの中身を物色するよりも重要な事が山ほどあった。

 

ある青年は入れ物が欲しかった。

だから、いつもの様に、ガラクタの山へと足を運んだ。存外に使える物が転がっている事を青年は知っていたのだ。

そして見つけた。

“十歳前後の子供ならスッポリ隠れてしまえそうな大きさのツヅラを”

青年はすぐにその箱を持ち帰ろうとした。だが、やけに重い。箱は必要だが、中身は要らない。

青年が蓋を開けた先に待っていたのは、ツヅラにミチミチと詰め込まれた成人男性程の何か。

箱に収まるためか、関節は至る所を向き、頭は胸が下向きにあるにもかかわらず真上を向いていた。

ギョロリと動いた目が、青年を捉えた。

 

 

村に叫び声が響く。

それに野次馬の如く集まった村人も青年と同じような顔をした。

女共は口を抑え、少数ではあるが、その場で嘔吐をした者までいる。

男共はすぐに武器を取りに家へと走る。

 

男共が槍を構え、固唾を飲む。

見れば見る程、ツヅラに詰まった蛭子は奇妙だったのだ。

その時、ツヅラが限界を迎えたらしい。

ツヅラの角が裂け、そこならなだれの様に四角に象られた人体が転げ落ちる。

ヒッと声を上げ、後ずさったのは一人や二人ではない。

蛭子は久しぶりに感じた、開放感に少しだけ体の力を抜いた。するとどうだろうか。

みるみると四角が人体らしい形を形成する。

バキバキ、ぐちゃぐちゃ。全く人体から聞こえていい音では無いが、まぁ良いだろう。

音なんぞがどうでも、蛭子を人間だと称する者は居ないんだから。

 

 

勇気を振り絞った一人の男が、槍で蛭子を突き刺す。他の男達も、それに続いた。

腹に槍が貫通する。今度は喉を。身体中に穴という穴が空いて、もはやただの肉塊となった頃、その肉片が動いた。

それを引き金に、うにょうにょと肉塊がもがき、人らしい形に戻ろとする。

蛭子は死が近づくと回復を始めるらしい。

 

もうそこからは阿鼻叫喚の地獄絵図である。

斧を持ち出した一人は頭を飛ばし、何度も何度も形が残らなくなるまで潰す。

しかし、潰した筈の頭は残された体からスルスルと生えて元通り。

ならば心臓はどうだと潰しても、結果は同じ。

人体比では有り得ない血だけが村を汚し、その中心には傷一つない蛭子が残る。

 

水に沈めて窒息死を計った。

結果は、一ヶ月水につけても死ぬことは無かった。

火で炙り殺して見ることにした。

結果は、先に火が燃え尽きただけだった。

 

ならば仕方がない。土に埋めてしまおう。

四肢を切り落とし、板に木釘で打ち付ける。

勿論、気色の悪い目だって、木釘で潰してやった。後は土を被せるだけ。

まぁ、言うまでもないが結果は失敗。

しかし失敗とは言うが、今まででは一番良かった。

三ヶ月あまり、蛭子を地面の底に留まらせる事が出来たのだ。

平穏が戻ってきたと笑う村人達が見たのは、何事も無かったかのように、自分が埋められていた場所に座り込む蛭子であった。

 

 

 

一年間、村の者達は蛭子を殺そうと奮闘した。

しかしそれだけ経てば万策も尽きる。

だが好都合でもあった。一年も経てば別の事に思考が向く。

村の者達は覚えたのだ。

『弱者を嬲る楽しみ』を。

 

殺す事が目的ではなくなった。

だが、この蛭子、何があっても死なないのだ。

何をしてもいい。どうせコレは抵抗しない。

やりたい事をやりたい様にやればいい。

 

思考が変わった。

手足を切り落としやすい斧から、わざわざ刃のギザギザしたモノを作ってそれを使った。

だって、切りにくければもっと痛いだろう?

──────そのギザギザとした鋸が木を切るのに適していると知ったのは偶然だった。

 

蹄の様な棘が無数にある道をわざわざ作って、そこに蛭子を引きずってみた。

髪を掴んで、まるで操縦士のよな気分で、棘の道に血肉で模様を描く。

 

髪がブチりと抜けた。

──────その髪が張りがあり引っ張ってもなかなかにちぎれない事を知ったのは偶然だった。

二本にすれば、もっと切れない。三本、四本、増やしていけばもう手では切れなくなった。

女が提案し、ぐるぐると巻くようにしてみればもっと固くなるのでは無いかと言った。

ソレは正解だった。

 

そういえば、コイツはやけによく燃えたな...と誰かが呟いた。

村の者たちは、何故蛭子がよく燃えるのか調べてみる事にした。

──────髪に着いた皮脂に目がいったのは偶然だった。

 

気ままに臓器を引きずり出していると、子供が腸を指さして欲しいと言った。

何に使うのかとみていれば、腸を左右で持って、真ん中で子供がピョンピョンと跳ねている。

──────子供たちの娯楽が作れると気づいたのは偶然だった。

 

 

木を効率的に伐採出来るようになって、家が立ち並ぶ様になった。

縄を利用して子供達の遊具や、狩りの道具が作れるようになった。

火が効率的に燃える方法を知ることで、鉄を冷やすことなく整形できるようになった。

 

 

このカタチなら、こう切れる。

あのカタチなら、殺しやすい。

そのカタチなら、使いやすい。

 

多種多様な武器が生まれだした。

都合のいい事に、試し斬りにもってこいな奴がいた。

 

その頃になると、人々は技術に目が行くようになり、蛭子を嬲り楽しむのは“オマケ”になった。

飛び道具が欲しいと思えば、蛭子の体を使い試行錯誤し、それらしい形が出来れば今度は蛭子を的に練習を始めた。

弓の誕生である。

 

しかしある男が気づいた。

蛭子の体は鱗に覆われた側からだと、どんな武器でも傷を付けにくいのだ。

鱗を集めれば、身を守れるのではないか?

 

蛭子から鱗を剥ぎ取り、髪の毛から連想を得た糸で縫い合わせてみた。鎧が生まれた。

 

なら木の板に付けてみればどうだ?

それなら持ちやすくて、片手剣とも相性がいい。狩りに赴く男達があれこれと意見を言い始めた。盾が生まれた。

 

 

狩りに行くには十二分すぎる装備をつけた男共はもっといい物を求めて森の奥へと進んだ。

しかし、装備が良くても怪我は免れない。

ある少年がいた。父が狩人、母が機織りのごく普通の子供である。

父が怪我だらけで帰ってくると、母はまるで自分が怪我をしたように泣く。父も父で、傷が痛んで、夜に魘される。

少年は思った。

『怪我を早く治す方法は無いのか』

 

少年は思い出した。

森には色々な植物がある。

食べてみると、急に苦しくなる物もあれば、傷の痛みが引く物もあった。

無意識下に少年は薬と毒を理解した。

ちょうどいい事に、実験台ならそこに居る。

少年は動き出した。

父の傷を直してあげたい、その善意が蛭子を傷つけた。

最初は反応の薄い蛭子に苦労もしたが、植物の特徴を記し、それを食べさせるとどんな効果があるのかを事細かく記しつ続けた。

蛭子に傷をつけて、植物の汁をそこに垂らして反応を見てみた。

すると液体の方が効果がある物も、すり潰して使った方が効果のあるものもあった。

少年の試行錯誤は、多くの種類の薬を生み出した。

その結果に父も母も大いに喜び、村全体は少年を称えた。

薬にも毒にも体を侵食された蛭子には誰一人として目を向けなかった。

 

 

 

村の運営はどこまでも順調だった。

しかし、その安寧も十数年でガラリと変わった。

周辺の動植物が激減したのだ。

理由は単純、狩りすぎたのである。

なし崩しに、村は食糧難になった。

どれだけ優れた装備があっても、狩る対象がいなければ意味が無い。

 

だが、焦ることもなかった。

だってこの村には何度でも再生する“肉”がある。

小刀で肉をそいで、いつもの様に火にあぶって食す。美味いかと聞かれれば頷きがたいが、不味いとも言えない味がした。

いつからか見慣れてしまった血を指にとって舐めてみる。こちらは肉よりかは食しやすい味がした。

血で喉を潤し、肉を食す。

体の一部には、焼くだけでは食べられないような部位もあった。

どうしたら柔らかくなるか? 人々は考えた。

臓器だって、上手くやれば食べられるのではないか? 人々は思考を止めなかった。

 

今の世では料理とは言えなくとも、当時の者達からしたら、ソレは革新だった。

もっと美味しく、もっと腹を満たしたい。

そんな欲が、発展を齎したのだ。

 

欲とは、悪に近い感情から生まれるのである。

 

そして、欲とはとめどないものである。

飢餓の原因は、突き詰めれば食生活を自然に頼ってきた事である。

自然的に生まれる動植物を待っていては村は賄いが効かない。

あぁ...そうか。この手で産み出せばいい。

思考は単純に、技術は上質に。

とめどない欲は、農業と養殖を生み出した。

 

勿論安定するまでには数年とかかった。

 

しかし家に籠っていた女子供が中心となって、それらの発展に尽力した。

普通であれば、農業と養殖を両立させるとなると養殖用の作物が必要になる。餌となる作物は育てなければいけない。

そんな手間をかけてはいられない。その作物は子供の腹を満たすには十分な量なのに、何故これから食うだけの家畜風情にあげなければいけない?

あぁ、そうだ。

“餌となる肉”なら丁度いいのがいるじゃないか。

毎日同じ時間、蛭子を柵の中に入れれば、動物達はそれを貪った。

器用に口や爪で臓器を引きずり出して、柔らかい所を食べる。中には好んで骨を食す動物もいた。

血肉で体を真っ赤に染めた動物が、足裏に臓器の破片を引っつけて這い回る。それを村の者たちは鑑賞物にもした。

 

あるたった一つの手間を省くだけで、農業と養殖は個々に発展を遂げることが出来た。

どちらかに足を引っ張られることもなく、正しく順調。

 

 

もはや村は飢餓など忘れてしまった。

 

 

全ての技術に置いて、その村は周辺の村よりも上位にいた。正確に言えば、世界の中で頂点に君臨していた。

周辺の村の者達は乞食のようにすがった。

しかし、単純に与えてやるなんてそんな不利益な事はしない。技術が増えれば、やれる事が増える。増えれば人手が必要だ。

上下関係と奴隷制度、そして主従関係、これらは全て同時に生まれた。

頭を下げる側も、下げられる側も、欲で動いている。

欲は善だけではなし得ない関係を形成した。

 

 

蛭子の居る村の者達は上位者である。

ならば身に纏う服が下僕と同じではいけない。

 

もっともっと手の込んだ煌びやかな物を身につけたい。彼らは装飾品で自己主張を始めた。

自分達は上質な糸で服を作り、劣等種には蛭子の皮膚を剥いで乾かした布を適当に与えた。

蛭子の鱗をブチブチと引き剥がし、耳飾りや首飾りを作った。

その鱗は陽の光を受けると、キラキラとまるで自分から発光してるかのように輝くのだ。

 

最初、村の者達が行う行動に、下についた者たちは嫌悪した。

 

だって、皮膚を剥げばその下の肉がデロリとこぼれ落ちる。

鱗を剥がせば、繋がった血管も一緒に着いてくる。

 

だいたいこの村は異常だったのだ。

どこに行っても血の匂いが充満している。肉がこびり付いている。

華々しい技術と残虐性が見事に両立していた。

 

可笑しいと唱える者はいなかった。

上位者にどうやって下僕がものを言えるか。

それにその村にずっと居ると慣れてくるのだ。

吐き出してしまいそうな程に濃い血の匂いも、見るも無惨な肉の塊も。

蛭子は抵抗をしない。抵抗したならば少しは罪悪感も生まれたかも知れないが、人間は罪に問われなけれどこまでも残虐に走れる生き物である。

 

そういえば、罪悪感とは悪行に歯止めをかける感情であるが、この感情をあまり善だと認識しないのは何故だろうか?

罪悪感を感じる事自体が、偽善だからだろうか。

 

まぁそんな事はどうでもいいか。

 

 

村に人の出入りが活発になった。

技術が村を中心に広がりを見せた。

 

蛭子が生まれて、はや六十年。

随分とたったと思うか、まだ六十年と思うか。

もはやあそこを村だとは呼べなかった。

当時、村に定義付けは無かったが、人口も手にする権力も全てが一級品。

誰かが言った、“そこは街だ”と。

世界が始まって、初の街の誕生である。

 

 

一定数技術が発達すると、発達した技術がまた新しい物を生み出すようになる。

所詮体一つしかない蛭子は、そろそろ用無しだった。

 

六十年、他より医学に長け平均寿命の長いその街でも、村であった当時を知る者はみんなあの世へと行った。

残された蛭子は、ただずっと一点を見つめていた。

もしかしたら、疑問に位は思ったのかもしれないが。最近、“痛み”を感じないと。

 

 

当時を知る者は居なくとも、文献は残った。

そこにはこう記されていた。

 

『龍の鱗を持つ、異形の神様が我々に文明を与えてくれた』

 

いやはやこれは実に面白い。

与えた? 否、蛭子に意思は無い。

しかしそれを真に受けるのもまた人間である。

 

神様を街の隅に、置き去りになど出来ない。

人々は森の奥にある洞窟に祠を立てた。

そしてそこに蛭子を座らせた。

逃げられては、流石に困ると足に鎖をつけて。

 

 

なんと! 無限に再生する便利道具から神に転職である。世の中、何が起こるか分からないものである。

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