転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第18話...国になる

ガゼルを正式に招待することになった。

武装国家ドワルゴンの3代目君主、英雄王とも名高いガゼル・ドワルゴ。

 

得体の知れない武装集団の襲来で、町は大混乱に見舞われた。

町の者達を避難させた後、あまりにもリムルが戻ってくるのが遅いため様子を見に行ったら何故かガゼルとリムルが一騎打ちをしていた。

近くまで行こうとすると、ハクロウに森の影へと引っ張られた。大事な勝負だから口を出してはいけないとのこと。

 

結局、リムルがガゼルの剣を受け止めるまで状況もよく分からないままハクロウと森の影に隠れる羽目になった。

後になって話を聞くと、ガゼルは一私人としてリムルを見極めるために訪問したそうだ。

見極めるために一騎打ちをするあたり大分武人思考なんだろう。

王様だから、出歩くのにそれなりの兵士を動かさなくちゃいけないのは理解出来るが、もう二度と来ないで欲しいものだ。

 

一国王を町に滞在させることも本当は反対したかったが、それをするのははばかられた。

何故かと言えば、リムルがドワーフ王国に訪れた際の裁判沙汰で随分と助けられたと言うから。それを迷惑だから帰れと言えるわけもなく、リムルが町を案内している間に俺は他の兵士の寝床を整えることになった。

 

 

日が沈み、畳のしかれた宴会席で各々が食事や会話を楽しんでいる。

昼間は俺もジェーンとか言う、宮廷魔導師(アークウィザード)の婆さんと魔法について話し込んだが今は1人で縁側に座り酒を傾けている。

この酒は俺が自分で作ったもので、魔物の血を酒でつけた物だ。前世で言うすっぽん酒に近い。前世は未成年だったが、なんやかんや父と共に主席した宴会で飲まされたりもしたから酒には詳しい方だ。

リムル達が飲んでいる酒と同じもので割ったが、ワインなんかが手に入ればそれで割ってみるのも悪くない。

 

俺の横で近侍者がポテチ擬きを咀嚼して酒を流し込むのを尻目に、宴会席に耳を傾けていると思いもよらぬ話が出た。

なんと、ガゼルがリムルに盟約締結を申し立ててきたのだ。それは言い換えれば魔物の集団を国として認めることであり、一国王としてはほぼ賭けと言ってもいい言動だ。

 

国と認めるにあたってガゼルは2つの条件を提示した。

一つ、国家の危機に際しての相互協力

一つ、相互技術の提供の確約

確かに、両国ともに利のある話だ。

条件を提示したガゼルが続けて言う。

 

「条件はこの2つだが、それとは別に…」

「なんだよ、いきなり渋って」

「気分のいい話ではないのだが。ラルタよ、そこに1人でおらずにお前もこちらに来い」

 

ガゼルがちょいちょいと俺を手招きする。めんどくさいと顔を顰めるが、引く気はないらしい。近侍者に引っ込んでもらい、酒を片手にガゼルの所に向かう。

リムルに横にずれてもらって、座布団の空いた半分に座る。

 

「うわっ、お前なんつー色の酒飲んでんだよ」

「あげないよ」

「いらねーよ」

 

魔物の血を使用したせいか、すっぽん酒の何倍もどす黒い色をした酒をみてリムルが顔をしかめる。これでも割る前よりは数倍綺麗な色をしているんだけど。

ガゼルが咳払いをして俺の方を見る。

 

「お前たち集団を国と認めるにあたって確認しなければならないことがある」

「確認?」

「ラルタよ、お前が死食鬼(グール)であるという事だ」

 

宴会席が静まり返る。

 

「おいおい、さっきまで俺の町にいるものに種族は問わないって言ってたじゃないか」

「町である内はな。だが、ここを国と認めるにあたっては死食鬼(グール)が正式な役職を持っているというのは危険なのだ」

「危険?」

 

ガゼルが死食鬼(グール)について語る。

死食鬼(グール)とは残虐的で欲に忠実な魔物だ。人間の肉を1番に好み、そこから亜人、人型の魔人、それ以外を食す。普段の食事と違い、死肉を貪る時に感じる性的興奮は死食鬼(グール)に欲という形で現れ、必要以上の殺傷を行う。

その殺傷すらも楽しみ、己を血濡れにしながらケタケタ笑う様は死食鬼(グール)の一般認識だ。

一個体でランクがAにまで平均して達するため、対処は困難であり人間の国では最も恐れられている存在だ。種族問わず門を開くドワーフ王国も唯一、死食鬼だけは入国することを許していない。

死食鬼(グール)は最も優先して討伐対象となる魔物であるが、固有スキルの人化は妖気の漏れをほぼゼロに抑えることができ人間との判別が極めて困難である。昔、ある一国の姫の執事を任せていた男が人間に化けた死食鬼(グール)であったために城に住まう者の全てを貪り喰われた事件があったほどだ。

人間、亜人、魔物。それらのほとんど全てが死食鬼(グール)を恐れ、嫌っている。

それが国で正式な役職を持つとなれば、周囲からの目は厳しい物になる。

俺がこれから先、人を喰わない保証もない。

 

「リムルよ、ラルタが死食鬼(グール)であるという以上周囲から厳しい目を向けられることは確実だ。魔物の国が世間に受け入れられる上でこれは大きな障壁となる。もしかしたら、ラルタが死食鬼(グール)であるということを利用した策略に苦しめられることもあるかもしれん。それでも、この盟約を結ぶか考えろ。」

 

 

 

 

 

「何、答えは急がんさ」

「…いや。この話喜んで受け入れようと思う」

「ふっ、王者に相応しい決断力だ。さすが俺の弟弟子よ!」

 

はっきりいって、死食鬼(グール)に対する世間の考えがここまでとは想定外だった。

ラルタはガゼル王が言っていた一般的な死食鬼のイメージと当てはまらない気もするが。

これから先、世界に俺たち魔物が認知されるにはいくつも障害があるだろう。

ラルタが死食鬼(グール)であるというのはそのひとつにしか過ぎない。地道にやっていけばいいさ。

 

「で、お前たちの国の名はなんというのだ」

 

え?やべ、なんも考えてない。

助け舟を求めて、横にいるラルタを見ればランガに寄りかかって酒を飲んでいた。

お前はいつのに移動したんだよ!

他の奴らに視線を向けても全員が首を横に振った。お前ら…

 

「あっいや…まだ国という段階でもなかったからな。俺はジュラの森の大同盟の盟主ってだけど国主ってわけじゃないし…」

「リムル様を王と認めない者がいるならこのシオンが…」

「こらこらこら」

 

大太刀を抜こうとするシオンを止める。

なんで、宴会席にそんな物騒なもん持ってきてるんだよ。

 

「国の主を決めるって話ならリムル様で決まりだと思うぜ?力ある者に従うのは魔物の本能だが、少なくとも俺たちはそれだけで配下になったわけじゃないしな」

 

ベニマルが俺を持ち上げる。

そんなこと言われたら照れちゃうでしょうが!

トレイニーさんが賛成の意を述べ、ラルタが酒を上に掲げてリムル国王ーと囃し立てる。

結局流れるように、国王になることが決まってしまった。

 

「では明日の朝までに国名を考えておけ。そして今夜は酒に付き合え」

「考える時間くれないのかよ!」

 

なんだかんだでドワーフとの宴会は朝方近くまで続いたのだった。

ラルタは途中から寝てたけど。

もうヤダこの子、自由すぎる。




死食鬼の説明回みたいになってしまった...。
リムルさん、貴方が見てないとろでは例に埋もれずちゃんとラルタは死食鬼らしいですよ。
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