転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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⚠︎BLシーンあり
ストーリーに進展がある訳では無いので苦手な方は自衛をお願いします。


第26話...国王不在のその間

数日後、アルビスとスフィア達は配下達を残してユーラザニアに帰っていた。

 

いやぁ、この数日間は中々に大変だった。

まず保管していた酒が綺麗に無くなった。急性アルコール中毒にならないか心配してしまうほどに毎晩ガバガバと飲んでいた。

俺も酒は好きだが、あの飲みっぷりは少し引いた。

それからもう1つ、スフィアがうるさかった。

初日に俺と一戦やったのがどうも楽しかったらしく、もう一度やろう、今度は魔法もありでやろう、もっと本気でやろう、とまぁしつこく誘ってきた。

お前は仕事で来たのであって戦いに来た訳じゃないだろうと宥めるのも骨が折れた。

スフィアとの一戦は俺も楽しくはあったが、疲れるからそう何度もしたくない。

 

色々大変ではあったが、国同士の交流として見れば大成功と呼べるものになった。

 

使節団が帰ってからも、残った配下たちはこちらの技術を学ぼうと熱心に工房に通っている。

ヨウムと戦ってたグルーシスはゴブタ達、狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)に混じって見回りをしているらしい。

リムルの役に立てるよう頑張ってくれているようで、俺としても嬉しい限りだ。

 

 

その数日後にはこちらから送った使節団も帰ってきた。

今回は俺もちゃんと席について報告を聞く。

軍事面はベニマルから見ても流石だと言えるものだそうで、一兵卒までもが徹底的に鍛え上げられているそう。

ユーラザニアにとって魔王カリオンと獣王戦士団の影響は強く、王宮と一般市民には明らかな贅の格差があるらしい。けれどそれは住民たちが望んでそうしている事らしい。

ユーラザニアもとい獣人は、強者を讃える姿勢が強いように思える。

 

それから報告とは別にもう1つ。

ユーラザニアからお土産として使節団が果物を持って帰ってきた。

運ばれてきた果物を待ってましたとばかりに口に入れる。このためにわざわざ席に着いたんだ。これがなかったら窓枠にでも腰掛けてる。

 

俺が食べたのはメロン。

甘い、それにみずみずしい。果肉も肉厚で香りもいい。

この果物は全て、何代にも渡って品種改良がなされたものらしい。

これなら、ブランデー以外の嗜好品も色々と作ってみるのもいいかもしれない。フルーツティーとか女の子は好きそうだが...流石にもったいないかな。

 

次回の使節団には生産管理部門から人を選出し、この技術をテンペストに取り入れるようにするらしい。

それから、今度の使節団の団長はベニマルではなくリグルに任せることが決まった。

ベニマル自らがリムルに願ったことだ。魔王カリオンは信用にあたる人物であり、ベニマルがユーラザニアに行くよりもテンペストで国を守る方が有用という訳だ。

 

それから、ベニマルもとい脳筋野郎。

カリオンに喧嘩を売ったらしい。コテンパンにされた挙句笑っていなされたらしいが...。

相手がカリオンじゃなかったら国交樹立の話が消し飛ぶような行動だ。

フォビオには勝ったらしいが...。

俺とリムルは一瞬見つめ合い、こいつはもう外には出さないと誓い合ったのだった。

 

 

ドワーフ王国へ行く準備のため、リムルが部屋を出るとベニマルが俺に話しかけてきた。

 

「ラルタ様、実は一つお願いが」

「ふぁに?」

「カリュブディス戦でのラルタ様の緻密な魔素の操作とても素晴らしいものでした。出来れば、俺にもその技術を教えて欲しいんです」

「やふぁよ。なんで、俺がふぉんなこと」

 

果物を食べる手を止めずに返事をする。

ベニマルが言ってるのは、俺がメガロドンを灰にした時の事だろう。

その後すぐ使節団の話が出て、俺に話をするタイミングがなくて今になったんだろうが。

はっきり言って、めんどくさい。それに人に教えるのとか苦手だ。

そうベニマルに説明しても、折れることなく俺に願ってくる。

時間で言えば3分ほど。けして長くは無い時間だが、俺がベニマルの押しの強さに負けるには十分な時間だった。

果物を飲み込んで嫌々ながら返事をする。

 

「はぁ、わかったわかった。教えるから」

「本当ですか!ありがとうございます」

 

今日はベニマルも疲れているだろうから、明日リムルがドワーフ王国に向かった後で教えてやると約束した。

リグルにもゆっくり休む様に伝えて部屋を出る。リムルがいない間の仕事の引き継ぎをしなくてはいけない。

 

 

 

 

 

翌日、リムル達はドワーフ王国へと向かっていった。

メンバーはシュナとシオン、ランガにカイジンとドワーフ三兄弟。護衛としてゴブタ率いるゴブリンライダー。

 

多くの住民に見送られた一行は、すぐに姿が見えなくなってしまった。

 

 

国王代理の仕事はそこまで大変じゃない。

たまに会議や視察なんかの予定はあるが、外からの面会はリムルが片しておいてくれたらしい。だから俺は執務室に籠って書類と睨めっこをすればいいだけ。

 

 

カーテンを締め切った薄暗く静かな空間で黙々と仕事をこなす。

外から微かに聞こえる住民達の楽しげな声をBGMに書類を片付けていけば時間も忘れて仕事に没頭できた。普段やっている量に、リムルの分が加わってはいるがそこまで増えたとも実感しない程度だ。

 

今日分のノルマが片付けて、紅茶を飲みながら休憩をしていると楽な格好に着替えたベニマルが入ってきた。

 

「ベニマル、見回りはどうしたんだ」

「どうしたって、もう夕方ですよ。見回りは今終わって報告に来たところです」

 

カーテンの隙間から外を覗くと、空が青からオレンジに変わっていた。もうそんな時間か。

 

見回りでは特に問題は起きなかったらしい。

ただ、いくつかの魔物の死骸が転がってたとか。死んでいた魔物はそこまで強いものではなかったらしく、そこまで警戒する程でもないらしい。

 

 

報告を聞き終えて少し早めの夕食を済ませた後、いつもの川沿いにベニマルと共に向かった。普段一人でしか来ない場所に誰かと行くのは、なんだかむず痒い気もしてしまう。この場所にベニマルと来たのは昨日の約束を果たすためだ。

 

昨日の夜、どう教えるのが1番か色々考えた。

やっぱり口で説明するのが無難かなと最初は考えたのだが...

《告。個体名ベニマルが主様(マスター)の説明を理解出来る確率は極めて低いと推測》

だとさ!なんか失礼だよね、俺はそう思う。

だから俺他の方法を考えました。

そこでベニマル君には体で覚えてもらおうと思います!

 

近侍者と俺の感覚を繋げて、無理やり覚えさせようということ。

手のひらに、血液を球体状にしたものを乗せてベニマルに差し出す。

 

「はい、ベニマル。食べろ」

 

 

 

 

うっすらと笑みを浮かべたラルタ様が差し出してきたのは、黒い液体だった。

利口に球体を維持する液体をラルタ様がずいっと俺の口に近づけてくる。

俺の記憶が正しければこの液体はラルタ様の所持するスキルのものだ。これを食べる?

俺は魔素の操作方法を教えてもらうはずだ、その方法がこれか?

 

「早く。大丈夫だって、俺の体の一部みたいなもんだしさ。ほら」

 

1歩1歩近づいてくるラルタ様から逃げるように後ずさった俺の背が木にぶつかった。

差し出されたそれをなかなか食べずにいる俺に痺れを切らしたラルタ様が舌打ちを一つして、その手に持った液体を消す。

 

「ねー、食べろってその方が楽なんだよ」

「...その、なんかすみません。その液体が自我を持って動いてるところを何度も見てきたせいで抵抗が、あって」

「はぁ、めんどくさいなぁ」

 

その瞬間、伸びてきたラルタ様の手が俺の頭を鷲掴みにして引き寄せた。

間抜けな声が一音漏れただけの俺の口はすぐさまラルタ様に奪われた。

開いた口にラルタ様の舌が乱暴に侵入する。逃げ惑う俺の舌を器用に捕まえ、下顎に押し付ける。

そして俺の口に液体が流し込まれた。

暴れる俺を木に押し付け、空いた手で気道を塞がれる。息が口から漏れてとうとう苦しくなってその液体を飲み込んだ。

 

飲み込んだことを確認したラルタ様はすぐに俺から離れた。

腰が抜けて地面に崩れ落ちる。

俺から離れたラルタ様はその様子をクスクスと笑って見ている。

 

「...はっはっ、んぁ」

「大丈夫?ベニマル...キツイのはこっからだから頑張って」

「え?...んぁ!あ゛っ...ぐっ、あ゛ぁ!」

 

体の中を何かが動き回る。

何か、先程注ぎ込まれた液体だ。胃まで落ちたそれは俺の体に染み渡り神経を撫で回しながら広がっていく。

体が内側から犯されていくような感覚。

口からは意味をなさない音だけが絶えず溢れ出る。

 

 

数時間、いやもしかしたら数分の事なのかもしれない。液体は動きを止めて、我が物顔で俺の中に居座った。

荒い呼吸を繰り返しながらラルタ様を見上げれば、心底愉快そうに俺を馬鹿にする笑みを浮かべていた。

 

「馴染んだ?じゃあ始めようか」

 

人差し指をクイッと上に曲げると、俺の体の中で液体が蠢き勝手に立ち上がる。

 

「あ゛ぁっ!...んっ、はぁ」

「これ、ゲルドからもらった木材の端切れ。これに魔力妨害をかけてあるから。最初は俺がお前の体を動かしてこれを灰にする。少しずつお前の意思でやらせて、最後実践。いい?」

「...っ、はい」

 

返事をすれば、俺の意思とは関係なく腕が上がり魔力妨害のかかった木材へと手を伸ばす。

体の魔素が勝手に使われ、黒炎獄(ヘルフレア)がいとも容易く木材を灰にした。

 

他人事の様にその光景を眺めてはいるが、息は上がりあられもない声が零れる。

それでも、頭は冴えていた。

いとも容易く体を奪われた怒りが、自分に対する怒りが、そしてラルタ様への怒りが俺の頭を冴えさせた。きっと、これすらもラルタ様に踊らされた結果なのだろう。

 

もう一度とラルタ様が言ったそばから、また一つの木材が灰になった。

緻密な魔素の操作が、体を蠢く液体によって行われている。それを俺の頭は理解しようと必死に回っていた。

 

何度も何度も繰り返され、少しずつ俺自身の意思で体が動くようになると、先程の指示通りに同じ作業を繰り返えす。

最初はまともに成功しなかったそれも、無理やりにできるようにさせられた。

 

気づけば日はとっくに沈み、夜がやってきていた。

 

「だいたい様になってきたね。じゃあ後は自分だけでやってみて」

 

その言葉を合図に再び俺の体を液体が動き回る。先程とは逆に胃の方に戻って行く動きがまた俺に声をあげさせた。

 

「がぁっ...んぁ!あ゛...おぇっ」

胃に戻ったそれが食道を逆流して吐き出されると、地面につくより先に跡形もなく姿を消した。

 

ラルタ様が新しい木材を俺の前に浮かせる。

手を前にのばし、黒炎獄(ヘルフレア)を放つ。

魔力妨害をかき分けて、正確に対象を燃やし尽くす。跡形もなく木材はその姿を消した。

 

 

ラルタ様からは拍手が送られた。

ここまで早く達成出来たのは、ラルタ様の乱暴な指導のおかげだが...出来れば次はお願いしたくないものだ。

 

「おつかれー。汗だくだな、風呂入ってこいよ」

「えぇ、そうさせてもらいます」

 

ラルタ様は俺に手を振ると森の方へと姿を消した。俺も額の汗を拭って町へと戻る。

今は家にシュナもいないし、こんな時間まで何をしていたのか聞かれなくてすむ。

 

こんなキツイ訓練を頼まなくて済むように、俺自身もっと強くなろうと思えた。

 

 




ボーイズラブのタグついてるのに、それらしいシーンを書いていないような気がして書きました。
R15タグもついているので大丈夫だと思うのですが、問題があったらご指摘ください。
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