転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第39話...魔王誕生

世と隔離された血肉が燃え上がる島の隅で、一匹の死食鬼(グール)が眠っている。

ラルタがハイエナだと称すその姿は穏やかに寝息をたてて、進化の眠りに抗うことなく深淵へと落ちていく。

 

 

《告。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されました。

身体組成が再構成され新たな種族へと進化します。》

 

《確認しました。

種族︰死食鬼(グール)から屍食精魔邪鬼(ディアボリックグール)への超進化...成功しました。全ての身体能力が大幅に上昇しました。

続けて旧個体にて既得の各種スキル及び耐性を再取得...成功しました。》

《新規固有スキル「無限再生・万能感知・魔王覇気」を獲得...成功しました。

続けて、新規耐性「自然影響無効・状態異常無効」「精神攻撃耐性・聖魔攻撃耐性」を獲得...成功しました。

以上で進化を完了します。》

 

 

世界の言葉が告げるラルタの進化。

それを静かに聞き続けていた概念知性(ユニークスキル)が動き出した。

ラルタの体を抱きとめて、涙を拭って、紡がれない言葉を、押し殺した願いを代わりに...。

 

《告。ユニークスキル「助言者(タスケルモノ)」より世界の言葉へ請願。「助言者(タスケルモノ)」の進化を申請。》

 

《...了。ユニークスキル「助言者(タスケルモノ)」の申請を受理。

助言者(タスケルモノ)」が進化へ挑戦。

───失敗しました。再度実行します。

───失敗しました。再度実行します。

───失敗しました。再度実行します。

───失敗しました。再度実行します。

....................................

...........................

..................

.........

 

───失敗しました。》

 

《告。「助言者(タスケルモノ)」が「変貌者(カワルモノ)」を統合(イケニエ)魔王への進化(ハーベストフェスティバル)祝福(ギフト)を得て進化に挑戦。》

 

途方もない試行の先に、主の願いを叶えることの出来る姿を概念知性(ユニークスキル)は見た。

それは、極小確率の出来事。無限に繰り返された試みへの褒美。

 

───何かが割れた音がした。

 

《......成功しました。

ユニークスキル「助言者(タスケルモノ)」が究極能力(アルティメットスキル)叡智之王(メーティス)」に進化しました。》

 

殻を打ち破り、概念知性(アルティメットスキル)は己が主のためにあれる極限へと至ったことを理解した。

 

叡智之王(メーティス)」は己の奥深くで燻られる何かを感知した。

意思なき概念知性(アルティメットスキル)に感情はなく、この奇跡的成功に喜びを見いだせない。しかし、主が目覚めた時にこの燻りを喜びだと言うのなら、「叡智之王(メーティス)」は己に自我が芽生えたことを認めるだろう。

 

 

進化は続く。

 

 

《「近侍者(ササエルモノ)」の進化を希求。「悲嘆者(ナゲクモノ)」を統合(イケニエ)に実行。》

《...失敗しました。

ユニークスキル「近侍者(ササエルモノ)」の持つ“魂”と個体名ラルタ=テンペストの“魂”との衝突を確認。》

 

 

世界の言葉が伝えた失敗を「叡智之王(メーティス)」は受け入れない。

 

そして、受け入れぬ者がもう一つ。

ラルタの中にいたもう一つの“魂”。それは神代誠也が死して世界と世界の狭間で引き寄せたもの。

 

ユニークスキル「諂諛者(コビルモノ)」に憑依し思うがままであった“魂”は、自分のいる器に身を寄せ“魂”にあった過去の記憶を統合(イケニエ)にユニークスキル「近侍者(ササエルモノ)」に進化した。

 

前世を完全に失った“魂”はラルタの中で新たな今世を得て成長した。

そして今、主のためにその“魂”すらも消し去る。

 

《ユニークスキル「近侍者(ササエルモノ)」より“魂”の削除の申請を確認。

近侍者(ササエルモノ)」の“魂”の記憶をラルタ=テンペストの“魂”に移植...成功しました。》

 

《再度、「近侍者(ササエルモノ)」が「悲嘆者(ナゲクモノ)」を統合(イケニエ)に進化を実行。...成功しました。

ユニークスキル「近侍者(ササエルモノ)」が究極能力(アルティメットスキル)悪心之王(アカ・マナフ)」に進化しました。》

 

二つが一つに混ざり合う。

 

 

それでも、まだ「叡智之王(メーティス)」は進化を止めない。

 

《続いて、「無法者(ハンザイシャ)」の進化を希求。「共存者(トモニアルモノ)」を統合(イケニエ)に実行。》

 

ユニークスキル「共存者(トモニアルモノ)

たった今、リムル=テンペストの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)祝福(ギフト)としてラルタに与えられたもの。

 

真なる魔王へ至ろうとする者がすぐ側にもう一人いることも、統合(イケニエ)にしようとしているスキルが祝福(ギフト)であることも「叡智之王(メーティス)」にとってはどうでもよかった。

 

《...成功しました。

ユニークスキル「無法者(ハンザイシャ)」が究極能力(アルティメットスキル)繚乱之王(サルワ)」に進化しました。》

 

 

これで、ラルタの進化が完了した。

 

次にあるのは魂の系譜に連なる者たちへの祝福(ギフト)。ラルタの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)祝福(ギフト)が、たった今リムル=テンペストとヴェルドラ=テンペストに配られようとしている。

 

しかし、「叡智之王(メーティス)」はそれを許さなかった。

リムルがくれた祝福(ギフト)のお返しだとか、ヴェルドラへのプレゼントだとかそんなものは関係ない。

ラルタの進化はラルタが強くなる為だけにあればいい。

 

 

究極能力(アルティメットスキル)叡智之王(メーティス)」の申請を受理。

個体名リムル=テンペスト、ヴェルドラ=テンペストに配られる祝福(ギフト)をラルタ=テンペストに讓渡......成功しました。》

 

《ユニークスキル「鷹揚者(シズカナルモノ)」と「慈愛者(アイスルモノ)」を獲得...成功しました。

続いて、「鷹揚者(シズカナルモノ)」と「慈愛者(アイスルモノ)」を統合進化...成功しました。

究極能力「繚乱之王(サルワ)」により書き換えを開始...成功しました。

ユニークスキル「背教者(ソムクモノ)」を獲得しました。》

 

 

やっと強欲な概念知性(アルティメットスキル)は満足した。

抱きしめていたラルタの体を揺する。ラルタの周辺は今安全ではない。無理矢理にでも起こさなくてはいけない。

 

《......起きて、主様(マスター)。》

 

 

 

 

この瞬間、新たな魔王が誕生した。

その者は誰にも見守られることなく進化を終えた。ラルタ=テンペスト、その者が魔王になったことをまだ誰も知らない。

 




ステータス
名前:ラルタ=テンペスト
種族:屍食精魔邪鬼
加護:暴風の紋章
称号:魔王
魔法:元素魔法、精霊魔法、内撃魔法
究極能力︰叡智之王、悪心之王、繚乱之王
ユニークスキル:背教者
耐性:物理攻撃耐性、痛覚無効、自然影響無効、状態異常無効、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性

近侍者もとい悪心之王に意思があった理由の説明回も兼ねてます。
全然文字数ないはずなのにめちゃくちゃ大変でした。ルビ振りがキツい...
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