転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第60話...和解と協定

俺から見て右と正面にルベリオス一行が揃って座っている。真正面にいるヒナタの後ろには、ソファーに優雅に腰掛けたルミナス。

対してヒナタから見て右と正面にテンペストの幹部達、そして後ろにはだらしなくソファーに寝っ転がったヴェルドラが読書に勤しんでいる。

 

え? ウチの自由ハイエナちゃんはどうしたって? もちろんラルタも会談には参加している。

もちろん席には着いていないが...今回は窓際にも部屋の隅っこにもいない。

じゃあどこにいるのか...ヴェルドラの上である。足をばたつかせて休日の男子高校生かのように漫画に惚けているドラゴンのその上。

ふわふわと浮かせた杖の上にだらりと眠っているのが、そうテンペストNo.2その人である。人化もせず器用に体を杖に乗せて細い棒の上で寝ている。

自由人もここまで来るとどうしていいのやら。

時折しっぽや耳が動いていることから、完全に夢の国に旅立った訳ではないんだろうが、聖騎士たちの困った反応を見ると申し訳なくなってしまう。

 

 

ひとまず、会談に参加するメンバーはきちんと揃っていた。

ラルタの杖の先に着いているランタンの火が弾ける音が時たま空気を揺らしながら、シオンの開会宣言とともに会談が開始された。

 

「本会談は両国間に起こった出来事について情報を共有し、そして和解に向けた条件等の提案、決定を目的としています」

 

おぉ...シオン秘書らしいことをしている。

昨夜のうちにシュナに叩き込まれたんだろうな。頼もしくなったじゃないか───

と思ったんだが、満足気に座ったシオンを見る限り司会進行はしないらしい...んー100点!

 

 

さて...あちらさんの状況認識については魔王ロイの死以外は大体想定通りだ。

魔物の殲滅を旨とするルミナス教としてはこの国を放置することは出来なかった。だからファルムス王国が侵攻してくる際、神殿騎士団の出動を許可し、ここの盟主である俺を直接殺そうとしたと───行動原理としては理解できるが...

 

「ひとつ気になるんだがいいかな? 俺がここの盟主だと知っていたのは“密告”あったからだと言ってたよな。それは誰からの密告だ?」

 

情報源を見過ごすわけにはいかない。そいつはヒナタを利用し、俺を殺させようと動いた者だ。放っておけばまた何かしらの形で仕掛けてくるだろう。

 

ユウキかまたはヒナタに直接意見できるようなルミナス教の関係者か...あぁ、今考えるとセイジ・カミシロも怪しいな。

 

「───東の帝国の商人よ」

「え?」

「後になって考えれば、私も利用されていたみたいだけれどもね」

 

俺の予想してた人物の誰でもない? いや雇ったという可能性も...

 

「リムル様、よろしいですか?」

「なんだ、リグルド?」

「東の帝国といえばクレイマン城での調査で膨大な量の帳簿が見つかっています」

 

クレイマンが購入した商品、特に武具の大半は東の帝国から横流しされた品だったと言う。

ゲルド達が侵攻してきた時、膨大な豚頭帝(オークロード)達も武装をしていたが、背後にいたクレイマンが武具を用立てしたのならばその出処は同じく東の帝国になるだろうとのこと。

 

東の帝国の商人...予想もしていなかった人物だが、そもそもソイツは何で俺を知っていたんだろうな。

 

帳簿にも取引相手の名前は載っていなかったらしい。

クレイマンめ、さすがは十大魔王に名を連ねていただけあって要心深い。そう簡単にしっぽを掴ませてくれないか。

 

「東の商人...代表者はダームと名乗っていたわ。でもどうせ偽名よ、この名前で探っても意味はない」

「あぁ...それもそうだな。ヒナタは、そのダームからの密告を受けたんだっけ?」

「そうよ」

 

ヒナタはダームと名乗った商人から俺がシズさんを殺したと聞かされたらしい。

しかもその師匠の仇がちょうどイングラシア王国に滞在していると。

何もかもがヒナタによってタイミングが良かった。だからヒナタは自分自身の手で仇討ちをしようと、俺の前に立ち塞がった。

 

今考えても、あれは最悪のタイミングだった。

もしもヒナタがあの時俺の前に現れなければ、シオンたちは...あんな思いをしないで済んだ。

──────あぁ、腹が立つ。

 

ダームでもその裏にいるやつでも、ソイツがいなければ......

 

「威圧するのをやめよ、未熟者め」

──────!

「怒りで“魔王覇気”が漏れておるぞ」

 

......あぁ感情に任せて覇気を出してたのか。ルミナスの言う通りだな、しっかりしないと。

後ちょっと恥ずかしいし...社会の窓全開にしてた時の気分だ。友好関係を築かなきゃなんだ、脅してどうする。

 

そういえばシオンがエドマリス王を脅して聞き出した話に、テンペスト産の反物を見てウチに目をつけたと、それを持ち込んだ商人がいたとも言っていたな。

ファルムスが交渉ではなくいきなり侵略を選択したのは王の欲を利用してそう仕向けた黒幕がいる。

クレイマン...いや、それよりも──────

 

「ヒナタの強襲もファルムスの襲撃もラルタの誘拐もタイミングが一致していた」

「待って、ラルタの誘拐ってなんの事?」

「あー話すと長くなるから簡単に言うとな、ファルムスが襲ってきた時の動乱と西方聖教会の張った結界の二つを利用してラルタがある貴族に攫われたんだ。色々と犯人の考察はしてるがな、何もかもを知ることが出来て誘導も可能、その上で今も生きてる事からファルムス王国新王セイジ・カミシロなんじゃないかと睨んでる」

「セイジ・カミシロ...ファルムスのギルドマスターね」

「ヒナタは会ったことは?」

「残念ながら、けれど彼は人格者として有名よ。ファルムス王国の為に誠心誠意尽くしている男と聞くわ」

 

そんな感じの男なのか。

冷徹で残酷な男なのかと勝手に思ってたけど、案外良い奴なのか。

本当にファルムスの為に尽くす男なのだとすれば、今回の件もそうなのか。セイジ・カミシロはファルムス王国の消失の危機に気づいたから起こしたのか。

とりあえず、ディアブロが和睦協定再結の会談の日付を決めてくれたら...その時見極めるか。

 

「俺達の間では一連の絵を描いたやつがいるという結論に至っている。セイジ・カミシロも候補には上がったが、一介の貴族がそこまで出来るかと言うと断言できない。それなら...」

「全てはクレイマンが東の商人を使って目論んだと?」

「いや、ヤツは表に出てきただけだ。真の敵は────」

「“あの方”じゃな。アヤツにしては天晴れなことに最期までその正体を口にせなんだな」

「...? なんの話しなの?」

「あぁ魔王達の宴(ワルプルギス)でな、ヤツは何者かの意思で動いてたみたいなんだよ」

 

 

虚偽の情報をヒナタに信じさせる影響力を持った存在。そう考えるとかなり限られると思うんだけど。もしかしたら──────

 

「その正体ってさ“七曜”なんじゃないか?」

「た...確かに、東の商人達を我等に引き合わせたのは七曜の老師でした。伝説的な英雄の紹介だからこそ、我等は疑うこともなく...」

「やっぱりか! となると───」

「貴様、妾に内緒で七曜が勝手に動いていたと申すのか?」

 

あっ...あーしまった...自らの手で粛清したとは言えかつての配下を疑われては面白くないだろう。憶測で話しすぎたか。

 

「...成程、その可能性は否定できないね」

「ルイ! 貴様までそんな戯言を!」

「ルミナス様、お聞きください」

 

ルイがルミナスを宥めるように説明する。

どうやら七曜の老師達はルミナスの寵愛を欲していたんだという。

寵愛───つまりは愛の接吻(ラブエナジー)

ルミナスが儀式を前回行ったのは百年以上も前のこと。最初は週に一度だった儀式は徐々にその間隔を伸ばしていき、元人間の七曜達は老いていった。ルミナスが不老不死だった為に失念していた事実だ。

だから七曜はルミナスがこれ以上お気に入りを作らないようにとヒナタを俺が返り討ちにしてくれればと考えた。もしその戦いで俺が死んでもヒナタが死んでも七曜には損は無い。

もしも七曜が東の商人と手を組んでクレイマンを籠絡したのなら、理由は俺の覚醒。そしてヒナタを俺に殺させるため。

結果的にはクレイマンが死に俺が魔王となったわけだが、最初の方の展開は確かに七曜の望む物だった。

 

ルイの語った内容は、俺の思いつきで言った七曜黒幕説を裏付けるようなものだった。

ふふっ、済まないな智慧之王(ラファエル)先生。俺の知性が冴え渡りすぎて役目を奪っちゃったかな?

《......。》

 

ん...待てよ?

七曜ってことは全部で七人いるんだよな?

ディアブロが三人、ルミナスが三人...てことは

 

「おい、あと一人───!」

「それは心配ないわ。さっき本国の枢機卿から連絡があったのよ。最後の一人、日曜師グランを“霊子崩壊(ディスインテグレーション)”で始末したと」

「あ、そう......」

 

いや、待て待て待て。

霊子崩壊(ディスインテグレーション)って言った今!?

 

「枢機卿...あぁお主に惚れ込んでいるニコラウスじゃな? あのグランベルを倒すか」

鍵言(トリガー)式の術を仕込んでおいたそうです。その不意の一撃をもって仕留めたと」

事前に準備してたってことか。

それでも霊子崩壊(ディスインテグレーション)を使える奴なんて危険すぎる。

 

「なるほどのう...グランベルも老いたものよ。そのような罠に嵌るとは......」

「......ルミナス様、グランベルというのは日曜師グランのことなのですか?」

「あぁそうじゃ、アヤツの本名はグランベルと言った。昔は光の勇者だった男でな。妾とも戦ったことがあるのよ。...勇者を名乗る者には因果が巡る、故にあの者も心の奥底では妾を恨んでおったのやもしれんぬな」

「───そう、ですか」

 

ルベリオスもルベリオスで大変そうだ。

けどまぁ、ウチとしてはこれでだいぶ不安要素も無くなった。

魔王クレイマン、七曜の老師...ファルムス王国はこれからだがまぁ何とかなるだろう。

 

「いやぁ情報共有が出来て良かったよ。東の商人の存在に気づかなかったらユウキが黒幕かと疑うとこのだった」

「ユウキ? 自由総合総師の神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)ですか?」

「ああ」

 

確かにあの時は俺の正体やシズさんのことを知っていたアイツが一番怪しかったが、商人を使って探られていたのならその限りではない。

 

「ユウキが黒幕...ね。絶対に違うとは言い切れないわね」

「おいおい今更同郷者を疑うのか?」

「あら、私はあらゆる可能性を考慮しているだけよ。それに黒幕が滅んだと考えるのは早計だと思うわよ。だってロイを殺した中庸道化連とやらもセイジ・カミシロとやらも残っているし、肝心の東の商人達は未だ西側諸国に根を張ってるいるのだから」

「そうか、そうだったな。七曜が“あの方”のことだってのも辻褄が合うってだけで証拠もない。今後とも要注意ということでいこう」

 

何より智慧之王(ラファエル)先生の同意がなかった。

否定もなかったから今ある情報から考えて的外れでもないのだろうけど、真相にはもっと深いところにあるのかもしれない。

 

 

シュナが持ってきてくれた軽食で少しの休憩を挟んで、会談はまだまだ続く。

 

「───それで今後のことだけれど。今回の件、私達の謝罪は受け入れてもらえたのよね?」

「ああ我が国としては、今後良好な関係を築きたいと思っているし、これ以上問題にするつもりはないよ」

「駄目じゃ。妾は借りを作るのが嫌いなのじゃ。今回は明らかに此方に責がある。よって何らかの形で賠償を行おう。手打ちはその後じゃ」

 

要するに、ヴェルドラにどういう形であれ負い目を作りたくないのだろう。

そんな睨みつけてやらんでくれ、暴風竜の威厳もなくヴェルドラが縮こまってる。

 

「ルミナス様もこう仰っているし、私としても迷惑を掛けたままというのは心苦しいわね」

「うーんだったら...俺達の国を正式に承認して国交を結んでくれないか?」

「構わぬ、馴れ合うつもりはないし、いずれはそこのトカゲを成敗するつもりじゃがな」

 

よし、もしも両国の関係性が悪化したらヴェルドラを差し出そう

 

「ちょっと待てリムルよ、お前今かなり酷いことを考えておらぬか!?」

「気のせいだよヴェルドラ君。君がお利口さんにしていたら何も心配することはないのだからね」

「待て待て、お前が“君”とかつける時は大概悪辣なことを考えておるではないか!」

 

全くうるさいヤツだなぁ...。

とりあえずシュナが軽食として持ってきたスコーンの残りを全部渡して機嫌をとるか。

 

「うむ! 両国の関係のため善処しようではないか」

 

ヴェルドラがチョロゴンで助かった。スコーンいっぱいに抱えて、うん、なんて素晴らしい笑顔だ。

 

「本気を出せば我が以前と違うとルミナスに認めさせるなど簡単な話よ! クァーハッハッハッ!」

「調子に乗るでないわ! じゃが暫しの間は休戦と洒落こもう。今後百年国交を結ぶ、それを妾からの詫びの証とするが良い」

 

おおお...!

ルミナスの決定ということもあり他の聖騎士も乗り気だ。これは良い流れかな?

 

「リムル殿たちが信用できるというのには私も同意します。ですが...我等の教義をどう扱うのか、それ次第では西方聖教会への信頼を揺るがすことになります。さすがにそれは容認できません」

 

レナードの言うことも一理ある。

魔物の存在を認めないとする教義、俺達を認めるとなれば今までの教えはなんだったのかという話に───

「くだらぬ、その教義は妾が定めたものではない。当時の指導者たちが考えた規則でしかないのじゃ」

 

えっ!?

「えっ!?」

いや、聖騎士団長も驚いてますけど...!

 

「そうか、知らなかったのも無理はない。教義の大本となった原稿はかなり昔に紛失してしまったからね」

 

 

曰く───

教義とはルミナスを信仰する民を守る為のものなのだそうだ。ルミナスやルイのような上位者はともかく、下位の吸血鬼族は人の生き血を糧としている。

それも幸福感あふれる人間の血の方が格段に味が良いのだとか。

当時──つまりルミナス教の創始前、魔物の猛威が荒れ狂う世界の中で人々は生きるのに必死だった。必然的に吸血鬼族(ヴァンパイア)も質の悪い生き血しか得られず、それは死活問題となっていたという。

まぁ...辛いよな、飯が不味いって

 

「そこで新たな方針、つまり宗教を用いた信者には安寧な生活を約束することにした。済む地を移り替え...色々あったのを機にね」

「引っ越したのか? なんでまた」

「どこぞの邪竜のせいで都が滅びた故な」

 

あー、どこぞの邪竜が...ね。

 

「ゴホンッ、民の幸福を保つため、聖典には魔物から被害を出さぬためあの文言が次々と書き加えられた。我々が無辜なる民を守ることで彼らは幸福に生きていける。

スパイスとして魔王の脅威を演出し───それから守られることで安堵し自身の幸福を噛み締めるのだ」

 

つまり教義は人心掌握の為の方便に過ぎないわけだ。

 

 

「じゃがまぁ、全てがそうという訳では無いがな。死食鬼(グール)の項目については妾が自ら定めた」

「それは死食鬼(グール)が人間の数を著しく減らすからですか?」

「ヒナタよ、吸血鬼族(ヴァンパイア)死食鬼(グール)などといった荒唐無稽な劣等種に困るような種族ではない」

「ん? ならなんでわざわざルミナスが───」

 

俺がルミナスに純粋な疑問をぶつけようとした時だった。

ルミナスの座るソファーに据え置かれたサイドテーブル、その上に置かれたティーカップが高い音を立てて割れた。

いや、正確に言えば割られた。

 

「またかよ。どいつもこいつも顔を出せば語り出すのは死食鬼(グール)が、死食鬼(グール)は...そればかり。劣等種だ? 種族平均で死食鬼(グール)の足元も見れないくせによくもまぁほざくじゃないか」

「ラルタ!! お前言っていいことと悪いことが...!」

 

杖から飛び降りたラルタがヴェルドラの座るソファーの背を経由して地に降り立つ。

人化したラルタは苛立たしく髪をかき上げたが、その表情は言動にそぐわず無だった。

 

まるで何もかもを吸い込んでしまいそうな目がルミナス、そしてヒナタ達を睨みあげる。

そして一つだけ大きな舌打ちをついて扉へと歩き出した。

 

「ラルタ! 今は会談中だ。途中で退室はするな」

「命令してんじゃねぇぞ」

「ラルタ!」

「はっ、これはまぁ随分と“王”を気取るじゃないか。所詮は単細胞のくせに」

 

バンッ!と大きな音を立てて扉が閉められた。

外から響くラルタの足音もどんどんと遠くに消えていく。

 

「あー、悪かったな。後でちゃんと言い聞かせておくよ。それで、なんでわざわざルミナス死食鬼(グール)がについての教義だけ作ったんだ?」

「別に妾とて作りたくて作ったのではない。ギィからの願い出があったからじゃ」

「ギィ? なんで急にアイツの名前が出てくるんだよ」

「世界から逸脱した種族は世界を危険に晒す。それを避ける必要があったのじゃ。その上で宗教という形をとった妾は死食鬼(グール)を殲滅するには動きやすかった。それまでじゃ」

「世界から逸脱?」

「なんじゃ貴様、年単位で死食鬼(グール)と共に生活を共にして思わなんだ」

 

 

ルミナスの言葉に思わず首を傾げてしまった。全くと言っていいほど思い当たるものがない。それはベニマル達も同じなようで、一様に首を傾げている。

それに呆れたのか、ため息をついたルミナスは入れ直された紅茶を手に取りルイに目配せをした。

 

「はぁ、魔物の“固有スキル”であそこまで魔素を抑えることはこの世界に生きる魔物には不可能だ。それに死食鬼(グール)の繁殖方法は自身の魔素を一切利用することなく相手に依存している。同意を得ずとも種を植え付けるだけでその種は母体の力を吸い上げ死食鬼(グール)としてこの世界に生まれる。そのために死食鬼(グール)という種族は雄しか存在しない。それだけではなく、彼らは老いを知らない。生まれた瞬間から成体として存在し成体のまま寿命を迎える。上位者が不老であることはあっても種族全体でそのような事態なのは異常なのだよ」

「ルイの言う通りじゃ、死食鬼(グール)は世界の理に反する種族。だからこそ、ギィが妾に殲滅を願い出た。ギィが妾に借りを作るのじゃ、事の重大さはわかるであろう」

「ルミナス様、なぜ...死食鬼(グール)はそんなにも他種族とかけ離れているのですか」

「簡単な話じゃ、作られた種族だからじゃ。この世界の創造主である竜からこぼれ落ちた出がらし、名を“レブル”。世界を壊そうと何度も創造主に噛み付いた愚か者の名よ。今も名を変えながらさまよっていると聞くが、そやつが創造主への対抗として作ったのが死食鬼(グール)じゃ。人間と魔物を無理矢理にくっ付けたどちらにもなりきれぬ哀れな半端者じゃ。死食鬼(グール)は生みの親の手を離れ独自に進化を遂げ、今に至る。ギィもそんな種族をいつまで見過ごす訳にはいかなんだ。ただでさえ、レブルはたった今もこの世界を壊す機会を伺っているからな」

 

死食鬼(グール)ってそんな種族だったのかよ...。

人間にも魔物にも恐れられて嫌われてるくせに、死食鬼(グール)自体はどちらにもなりきれなかった半端者。俺が思っている以上に死食鬼(グール)という種族に絡みついた枷は複雑らしい。

それにしても“レブル”か。ルミナスの口ぶりから言ってまだ生きてるらしいが、関わりが生まれないことを願いたいな...。

 

 

死食鬼(グール)が教会の最優先討伐対象であった理由、教義の成り立ちについては理解しました。しかし...どうあれ現実問題、我らはその教義に従って生きてきたのです。信者や関連組織からの反発は大きいでしょう」

「それでもやるしかないのよ。サーレ達 山武仙の敗北もファルムスで記者たちに目撃されたのでしょう? それに百騎以上の聖騎士がここまで遠征してきたのよ。各国には筒抜けだと思うわ」

 

しかも戦闘の結果は俺達側の勝利だ。

魔物に負けて国交を強いられたと解釈されかねない。ヒナタたちも糾弾されそうな立場だが、「魔物=悪」のイメージもより強固なものになってしまう。それにウチにはラルタがいるから教会が死食鬼(グール)の存在を認めたとも取られかねない。

 

「あっそうだ。なら相討ちってことにしたらいいんじゃないか。俺はヒナタと、ラルタはルイと。ラルタとルイは戦ってないけど、死食鬼(グール)のいる国を認めるってなったら口実が必要だろ?

んで、戦いの最中七曜の悪巧みに気づいて休戦協定を結んだと。俺やラルタ異世界人の転生者って情報も追加で広めれば納得してもらいやすいんじゃないか?」

「リムル様、ラルタ様も転生者なのですか?」

 

あっ、やっべ...口滑らしたわ。

ラルタの意思を組んで黙って置くことにしたのに、後で謝っておくか...。

 

「まっまぁ、そんなとこ。

あ!なんなら相討ちより俺達が負けたことにした方が受け入れられやすいかな」

 

「あなたねぇ今まで人間に倒された魔王なんて本当に数少ない事例しかないのよ?」

死食鬼(グール)は冷酷と知られているんです。敗北して人間の言うことを聞くなんて、ラルタ殿なら誑かせると思われるかもしれませんよ!」

「そうです! リムル様が舐められるなんて許せません!」

 

うわビックリした。そんなに一気にまくし立てられるとは...後シオンはなんでそっち側にいるんだよ。

 

「一国で俺達と事を構えるだけの戦力を有するのはイングラシア王国くらいだ。それも百年の猶予を頂いた今、西側諸国で敵対してくる勢力は皆無と言っていいだろう。まぁ仮にそんな愚か者がいたならば俺が捻り潰して見せますがね」

「ベニマルの言う通りだ、安心しろ。手を出して来る者なんてそうそういないしいたとしても問題ない」

「すごい自信ね...それならば私としては異論はないわよ。その申し出をありがたく利用させてもらいます。この際だから七曜に毒された者たちの粛清も行うとしましょう」

 

怖っ...西方聖教会も一枚岩ではなかったから。

でもまぁ、これで小難しい話も終わり。これからのことを色々と考えなきゃ行けないが、とりあえずラルタのところに行かなきゃだな。

今回の会議での態度は目に余るし、色々説明やら謝罪もしなきゃ行けないしな。

 




レブル-反逆者
新しく登場したキャラでは無いです、既に出てきたオリキャラの別名です(ほぼ答え言ってる)

リムルのラルタに対する言動は国王としてはとても正しく、友としては間違ったものです。

ラルタ激おこ案件。
死食鬼にも感情はありますから、出会う人みんながみんな自分の種族に対して負の感情を吐き出してくればそりゃプツンとも行く。
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